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激辛料理が食べたい欲

なんなんでしょうね。
たまにやたらと激辛料理を欲する瞬間がある。先日も激辛を欲したため、一味唐辛子と豆板醤と山椒をたっぷり入れた純豆腐を食したばかりだ。

私は激辛を欲する日が急に訪れる。
いつからこんな身体になっちゃったんだろうと記憶を辿ると、意外にも大学時代まで遡ることに気が付く。マジか、そんな昔から激辛を求めていたなんて。自分でもちょっと驚いた。でももっと驚いたことは、激辛料理を起点に、当時の自分の心境が鮮明に蘇ってきたことである。

大学生の頃、留学先のイギリスで大好きな中華料理屋さんがあった。当時自炊をあまりしなかった私にとって、中華料理はかなり貴重だった。アジアンな味が恋しくなった時、そのお店に行って、胃と心を満たしていた。そのお店で大好きだったメニューが「CHINESE HOT POT」である。そう、火鍋だ。
仲間のみんなと円卓を囲んで、真ん中に圧倒的存在感のHOT POTが登場したときは、もう心の中で歓喜し夢中で食べた。胃がカッカと熱くなるのを感じながら、薄暗い店内をいいことに、ニヤリと怪しい笑みをこぼしていた。HOT POTが大好きだったのは、アジアンテイストの恋しさのせいかと思っていた。恋しくなってしまったものは、店に行ってお金を支払いさえすれば簡単に満たされていた。あの頃の私はまだ甘い甘い考えを持つお子様だったのだ。

そして大学卒業後、新卒で入社した会社の先輩とランチや夜ご飯の時に連れていってくれたお店のこともふと思い出した。そのお店には辛さが10段階くらい選べる坦々麺があったのだ。私はいつも3くらいの無難な辛さで注文していたが、韓国人の先輩はほぼMAXに近い9を頼んではペロリと平らげているのを見て、さすがキムチが有名な国の出身だけあるわと思っていた。先輩の頼んだ坦々麺は、表面がラー油の膜で覆われており、自分には到底破けない膜のように思えた。仕事も人生も全て辛口だと感じて八方塞がりになっていたあの頃が懐かしい。
すっかり大人になった今、あの店の坦々麺がやたらと恋しくなる時がある。店の場所は忘却の彼方、記憶の中だけでしか思い出すことができない。今の私にとって、あのラー油の膜くらい、いとも簡単に破けるだろうに。

麺といえば、現職でもランチでたまにいく中華料理屋でハマっていた激辛麺がある。真っ赤なスープの色をしたラーメンがメニューにあって、大抵その店では激辛のそれを注文し、口の中を辛さの嵐で爆発させていた。名前が思い出せないんだけど、「麻辣麺」というものかもしれない。仕事が忙しい時にそれを食べると、ムシャクシャした気分が晴れたような気になって気持ちが良かった。ただ、一度だけ本当に辛くて完食できなかったことがあった。悔しかったが、残しても仕方がないという自分の弱さに甘んじてしまった。
コロナ明けにリベンジしようとその店に入ったら、なんと「麻辣麺」はメニューから消えていた。なんということだ!私のリベンジは叶えられないものになってしまったようだ。今なら完食出来るだろうに。それくらい自分は成長したと確信している。

しかし現職もあと数ヶ月で退職し、新しい環境で新しい挑戦をすることになった。
人生の中で記憶に残る激辛料理たちは、自分の成長とともに辛さもパワーアップしているような気がする。

次はどんな激辛料理が登場し、自分の歴史に刻まれるのだろうか。楽しみだ。


0310 mint

ありがとうございます。元気をいただいたので、頑張れそうです!