フランスでショコラトリー店員になる#13 接客以外の仕事
ショコラトリーで仕事をし始めたばかりの頃、接客以外の仕事もした。
ショコラトリーで働くなら、絶対に必要な仕事。
チョコレートの箱詰めだ。
フランスには、大抵のショコラトリーには”バロタン”という、深さのある箱がある。大中小とサイズも様々で、250g・500g.750g…と、チョコレートをぎっしり入れた時の重量が目安だ。
店頭では、ショコラノワール(ビターチョコ)のみのアソートの他、ショコラオレ(ミルクチョコ)も入れたタイプ等用意していたので、その箱詰めを作るのだ。
案内されたドアを開けた途端、涼しい空気と共にカカオの香りが一気に流れてきた。す…すごい。これがストック部屋か…。しっかり温度管理された部屋は、右も左も、前も後ろもチョコレート!私は圧倒された。
その部屋には、”詰めの重鎮”(?)がいた。
慣れた手つきでどんどん詰めていく彼女の横につき、緊張しながらも必死で覚えた。
日本でも、ボンボンショコラの箱詰めはやっていたが、仕切りもないような深さのある箱にぎっしり詰めるのは初めてだったので、新鮮だった。
たまに、売り場から声が掛かると、売り場のショーケースのチョコレートのトレーにぎっしり並べ、陳列もした。これが結構重い。
働いていてつくづく思った。
チョコレートは重い!
焼菓子と違い、かさがあるわけではないので、一見コンパクトな補充ケースでも、ずっしりとしていた。コンパクトだから、2ケースとか、いっぺんに持ちたくなる。皆、「Miko、無理しないでね!」と言っていた。
しかし、念願叶って入社したのだ。張り切らずにはいられなかった。
職場に入ったばかりの頃、日本の職場でお世話になった先輩(パティシエール)から連絡があった。他の地方で長いこと仕事をしていた彼女が、リヨンを通るので一晩泊めてくれないか、とのことだった。
当時、私が寝泊まりしていたのは、語学学校に斡旋してもらったホームステイ先だった。(↓その時の記事はこちら)
自分の住まいという訳ではないので、私はステイ先のムッシュに恐る恐る確認をすると、快諾してくれた。
こうして、久し振りに再会したのだった。
いや、厳密に言うと、渡仏後に一度会っていた。その時は彼女の職場に私が行ったのだ。今回は逆バージョンだった。
ここに来るまでに色々なパティスリーの食べ歩きをしたようで、あちらこちらで買ったお菓子をテーブルに広げ、ステイ先のムッシュも一緒に味見をしながら互いの近況報告に花を咲かせた。
ムッシュに「お菓子作りは私のパッションです!」と話していた彼女の眼差しは、今でもはっきりと覚えている。
その晩、私たちは同じベッドで眠りに就いた。
異国の地で、職業は厳密には違うが同じ職場の仲間に会えるのは、とても貴重な出来事だ。目指している方向が同じだから、勇気が湧いてきて、また明日から頑張ろう!と思えたのだった。
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