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ベルナシオンのショコラは時価

✴︎✴︎この記事は平均5分で読めます(2100字)
✴︎✴︎フレンチショコラがお好きな方へ

フランスから輸入される高級ショコラの値段って、もともとが高い。

厳選された原材料に細やかな手作業による製造、デザインまでこだわり抜いたパッケージ、毎年リリースされる新作チョコレートの時代を先取るクリエイション。ほとんどが少人数のアトリエで、決して多くはない数、スモールロットを作り、それを冷蔵便にて輸入するのだから、高くなるのはいたし方ないこと。

サロン・デュ・ショコラで毎年人気なのは、1953年にリヨンで創業した老舗ベルナシオンのタブレットショコラ。一枚150gのお値段は、2023年現在、サロン・デュ・ショコラ価格で定番フレーバーが1枚3,996円、新作は少し高くて4,428〜4,536円。

フランスで購入すると6.90€ほど、およそ1,000円ですけどね。とはいえ、やはり現地でもお高い板チョコです。

タブレットに挟んだ気取らないスタイルのフィリングはボンボン・オー・ショコラに使われるものとほぼ同じなので、グルマンには味もボリュームも満足させてくれる一枚です。

わたしはベルナショックというヘーゼルナッツの香ばしいタブレットがお気に入りです。

これ、うまく綺麗に、パキッと割れないんですよ。
プラリネのスプレッドクリームが柔らかく、ヘーゼルナッツはゴロゴロなので、べっちゃり潰れてしまう……
もう、お行儀なんか気にせず、ばっくり噛み付くのが一番です!

初めの一欠片くらいは手がベトベトになりながらも息子にもシェアしますが、あとはもうこっそりと、ナイショでひとり占めしちゃいます。

学校から帰った息子が
「あれ?あのチョコは?」
と訊いてきてもスルーです。
息子には、あのチョコでも、わたしにはベルナシオンのタブレットショコラですから!

さてさて、このベルナシオン、1953年より続く老舗で、今どき流行りのビーン・トゥ・バー、カカオ豆からチョコレートまで一貫するチョコレート作りも昔から行なってきました。

今でこそ、ビーン・トゥ・バーは各ショコラティエでも作り始め、コンビニでも手に入るようになりましたが、私が初めてベルナシオンをお土産に頂いて食べた時、カカオってこんなにもワイルドで、こんなにも洗練されているんだ! と驚かされたものです。それまではクーベルチュールもブレンドで香料入りが主流だったのです。

ベルナシオンでは今でも家族を中心としたスタッフでチョコレートを手作りしています。包装もひとつずつ丁寧な手作業だそうです。

現オーナー、フィリップ・ベルナシオンの祖父は三つ星シェフで、フランス料理界の殿堂入りスーパースター、ポール・ボキューズ。大統領の晩餐会も担当する腕前の伝説のシェフです。ベルナシオンのショコラは、フランス料理の優良な血筋も引いているんですね。

ポール・ボキューズはフランスのレジオン・ド・ヌール勲章はもちろん、日本でも日仏の料理文化交流と日本食文化の普及に貢献したことで受勲されています。日仏双方のグルマンを満足させた功績です。

なるほど、ベルナシオンが日本人のフレンチショコラ愛好家に、これほどまでに熱望さるれわけです。

フランスでもベルナシオンはリヨン本店のみでしたが、2022年に待望のパリ店もできました。日本には店舗がありません。バレンタインシーズンのみ正規ルートで輸入した各百貨店のオンラインで購入できます。

とはいえ、こちらのオンラインは秒で完売。
百貨店でも朝イチの行列は必至ですが、購入できた人はラッキー。もちろん、今年のサロン・デュ・ショコラ会場でも完売です。

今年はベルシオンのタブレットにはありつけないと諦めていたところ……

なんとなんとなんとなんと!

と言うくらいの驚きと感動ですが、
私の住む地方都市の、百貨店のバレンタインフェアで、ベルナシオンのタブレットショコラが全種類並んでおりました!

チャーンス!
と行列に並んで待っていましたが、わたしの前の若い女性が全種類10枚ほどをまとめ買い!
レジの前で万札が五枚ほど支払われておりました。
チョコには糸目を付けない愛好家が、地方都市にもおりましたよ。

わたしの番になってまもまだ在庫はあったので、今季は三枚を購入。
●ベルナショック レ(ヘーゼルナッツ)
●アグリュム(3種の柑橘)
●マイス(トウモロコシとアーモンドのプラリネ)

無事にサロン・デュ・ショコラ適正価格で購入できました。

首都圏では完売ですが、メルカリにて転売されていて、ほぼ2倍〜3倍の価格が付いていたのにはビックリですが、それでも買う人がいるというのには、もっとビックリ! こちらも完売になるのは時間の問題。

ん、もう、鮑じゃないんだから……
どんどん時価が吊り上げられていきます。

そして、さらにビックリなのは、食べ終えた後のタブレットショコラの包装紙と、ベルナシオンのショッパーまでもが、メルカリにて売られていたのです!

鮑の貝殻までもが時価、高額取引とは…。

あ、うちにもあります、鮑の貝殻……

ともあれ、需要と供給のバランス。季節的にも日本では時価になるんですね。

それでも食べたい。
時価でふんだくられても食べたい。
それがベルナシオンのタブレットショコラ。

おっと、息子が帰ってきましたよ。
「あのチョコ」は3,996円にて購入したので、一欠片だけシェア。この一欠片、この一口でおよそ400円だよと、有り難みを感じさせるよう念を押して、甘くほろ苦いおやつタイム。

今度リヨンかパリに行ったら、現地の適正価格にて10枚ほどまとめ買いしたいと企んでおります。
ざっと69.0€、一万円ほどで済みますものね。

あ、でも航空代もかかるから、やっぱりベルシオンのタブレットショコラって、永遠に時価のままです。

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