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明日、30歳になる

今日で20代が終わる。

何もできない10年だったなあ…。
いや、そうかな。
10年前って、まだ大学生やぞ?

今とは違う。
けれど違うようで、きっと変わらないものも確かにあった。
少しずつ異なる毎日の連続で、明日がきて明後日がきて、1年、10年…いつの間にか今日の私が在る。

10年前の私って、どんなだったかな。


ずっと、色々なプレッシャーに縛られる生き方をしてきた。
逃げて。
そう言われて、気が付いたら自由の権利を手にしていた。
それが、大学に入った頃の話。

突然、私の支配者は「自由」という奴になった。
どうしよう、凄い困る。

ふと自分を振り返った時、驚くほどに何も無かった。
先を見据えた時、残酷なくらい何も無いことを突き付けられた。
やってきたことが無い。やりたいことが何も無い。
誰かに認識されないどころか、自分ですら自分の立ち位置が分からない。

意味を滲ませた言葉が出てこなくなった。
形作るだけの感情の材料が無いから。
どうやって笑うんだっけ、どうして泣くんだっけ。
ああそうだ、必要が無いと、全部捨てたものだった。

「あれ、なんか楽しいことあった?」
そう言われて、しまったと思った。変に思われないように、外面は笑うようにしていた。それが出来てしまっていた。楽しいことなんて、何も無かった。間違えてしまった恥ずかしさだけが、ずっと残っている。

人の言葉を模倣した。
もう言葉の通り。有名な言葉を、流行りの歌詞を、かつて好きだったはずの物語を、ひたすらに書き出した。
誰かになりたかったわけじゃない、ただ、私になりたかった。

私は何だ。

世界の彩度が少しずつ低くなっていくあの冷たい空虚感を、今でもずっと忘れられない。


だから、私はスイーツに救われた。

とある何でもない日にフラッと入ってみたとあるカフェにて食べた、ちょこっとお洒落なワッフル。黄金に輝くメープルを上からかける。「わっ、かけすぎちゃった!」と焦ってみたりして。ナイフを入れるとサクッと音が聞こえて、頬張るとまだ少し温かくて、贅沢に染み込ませたメープルの甘さが調和して、中心はフワッと柔らかで。ただシンプルにひとつ。

美味しい。

それだけ。凝った言葉でも何でもない、正直な感想。
けれど確かに、そこに自分を見つけた気がしたんだ。

それがカフェ巡りをするようになった、沼っていった、私の10年間のコトハジメだ。

2014年7月15日
ダロワイヨ

上京して、最初の頃の誕生日。
1人で自由が丘を散歩した。1,650円。当時の私にとって、その価格のデザートはまだ高級という感覚で。ゆっくりじっくり一口ずつ、「さすが専門店のチョコだ…うっま、幸せ〜」と噛み締めたのを、よく覚えている。

全然綺麗にとかではないけれど、最初の頃から「食べたものは撮っておく」という習慣があった。多分「自分の経験を、後の自分のために残しておきたい」的な気持ちがあったのだと思う。

2015年2月6日
カフェ アリヤ

こんなジュワッと柔らかなフレンチトースト食べたことない!驚いた、本当に驚いた。
今行っても、まだ感動するかなあ。

2016年7月20日
ディゾン

校舎が御茶ノ水になって、毎日毎日、カフェ散策で付近を歩き回った。ディゾン。カフェラテに可愛い〜絵を描いてくれるお店だった。雰囲気が良くてケーキも美味しくて。「お気に入り」も増えたし、「行ったことある」が格段に増えていく。

2017年3月23日
和光ティーサロン

パフェの流行り始めの頃かな。このパフェは、様々なランキングで筆頭出てくるやつで。そういうのが増えてきた。雑誌を見て、「これは行ったことあるあるぜ☆」ってさ。

自他ともに認めるカフェ巡り好きと言えた。
就職も食品会社しか考えていなかった。先の道にはもう、食に関わる世界しか見ていなかった。

2018年8月1日
職場近くのカフェ

希望していた、食品系のそこそこ大きい会社に就職できた。事務職だけど…とはいえ、趣味ではずっとカフェが、スイーツが好きだった。

2019年8月24日
Minimal

振り返ってみると、この頃から今でも大好きな店も沢山ある。

2020年3月15日

パフェ大学というのに所属していたことが少しある。それ以外にも、食品関係のイベントには沢山参加した。この頃はもう、週7のうち8本食べるなど…食がスイーツ中心になっていた。

2020年3月25日
パスカル・ル・ガック

パフェ単価3,000円を超えたのはココからって人は多いだろう。私もそうだ。
「スイーツ好きの人」から、「スイーツに狂った人」に変貌していく。加速度的に。

2020年12月12日
ドルチェカサリンゴ

SNSで話題になったお店には、グイグイ参戦する。お金のことは、そんなに気にしない。経験の拡大が優先だ。投稿用に、複数の角度で撮るようになった。自分の画像フォルダを見返しては、にやける。どれもこれも、私に蓄積された思い出たちだ。

noteの投稿を始めたのもこの頃だろうか。
食品会社にいるのに事務職で働く。矛盾と言ったら失礼だけれど、でも私は明確に「食」を軸に生きていたから。その先は?仕事で毎日数字のデータと向き合いながら、見えなくなっていく。ちょっと、じわりと結構きつい。

2021年2月23日
カフェ レクセル

行くお店も、写真の撮り方も、今と少しずつ近くなってきた。食事=スイーツが私の基礎になっていた。チョコレートを見て「可愛い〜美味しそう〜」と黄色い声を上げた。チョコレート1粒に全部感想をメモするような人間になっていた。


将来が不安になってきた。

自己啓発本なんか読み漁ってきたりして、自分の人生を振り返ってみた。気持ちを整理すればする程、はっきり分かる。自覚する。

スイーツが好きだ。

未来もずっとスイーツと共にありたくて、でも当時の自分が生きている世界線の延長にはそれが見えなくて。
転職も考えた。

2022年4月10日
フランス展 エンメ

サロンドショコラなりフランス展なり、もうこの界隈の人は行くよね〜的なやつへの参戦は、私の日常になっていた。

2022年9月19日
メズム東京

かなり高級なお店でも、「好き」「気になる」の気持ちがあれば足を運ぶようになった。

もう自分の生きている場所が、よく見えている。
入社してからずっと希望していた、お菓子の企画部署への異動が決まった。

2022年10月23日
ザ・ラウンジ by アマン

アフタヌーンティーの行き始めから少し。
ここから、時間軸としてはそんなに経っていないけれど、本当〜に色々なアフタヌーンティーに行ったなあ。

2023年8月5日
green bean to bar chocolate

ずっと好きなお店。
何度も行った。以前よりも、写真を綺麗に撮れるようになった。

2023年10月28日
ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ

可愛い。
もうただただ可愛い。

「好きなことは仕事にするべきじゃないよ、嫌になるから」
何度も言われた言葉だけれど、私はまだ、きっとこれからも、ちゃんとスイーツが好きだ。

2024年1月7日
ブノワ・ニアン

2024年4月7日
VERVE COFFEE ROASTERS EBISU

2024年5月3日
パッセージコーヒー

2024年6月23日
インターコンチネンタル 東京ベイ

私の20代は、一体どれだけの糖分を含んだものなのか。

街を歩いていると、「あっ、あの時行ったお店だな。その時こんなことを考えていたな」と思い出せるんだ。
好きなチョコ屋さんの前を通ると、記憶が生み出す味で口の中が幸せで満たされるんだ。

10年前は、過去の軽さに絶望した。いや、今になって考えると、以前だって大切な私の欠片は沢山あったに違いないのだけれど。それらを拾い出せる程の経験値が足りていなかったのだ。

今思い出す10年間は、分かりやすく色々な経験をしてきた。
何百、何千のスイーツを食べてきた。色々なイベントに参加した。昔の自分からは想像できない程に沢山の人と関わった。失敗して沈むこともあれば、心が弾むことだってある。

良い感じにまとめたかったけど、ちょっと書ききれないや。
そうこうしているうちに、あ…もう20歳も終わっちゃう時間だ、推敲もできないや。誤字とか惰性文が多かったらごめん。
兎にも角にも、うん、そうだね。そりゃあバッテンを付け出したらキリがないのだけれど、そういうのを引っくるめて花丸に変えられるくらい、頑張った!合格です!!

お疲れ様でした、20代の私。
明日、30歳になる。

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