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この言葉が誰にも届かなくても、〜ラウンジバンブー〜

書き始めに迷う。

書きたいのは素敵なスイーツとの出会いの物語。
それぞれに語りたい想いはたくさんあって、いざ書き始めてしまえば一気に書き進めることができるのだろう。

でも、書き始めに躓いてしまう。

お店の名前と商品名と感想と。
それだけ書くと自分ルールを決めてしまえば楽なんだろうね。
楽、なんだろうけれど、楽しくない。

昔から自分は話したがりでなく、聞き上手の人間だと思っていた。
でもやっぱり私の中にも湧き出てくる気持ちは沢山あるらしい。
言いたいことが沢山あった。
しかし思考の回転が遅いのか、あがり症だからなのか、口から発せられる言葉で伝えることは苦手だ。だからこそ、熟考できる文字による言葉を好んだ。

「最近の若い人は電話を嫌ってメールで済ましがちなんだよな」と怒りと諦めの気持ちが込められた溜息と共に出てくるそんな言葉をよく耳にする。
あぁ...耳が痛い。
でも、電話や実際に足を運ぶのが億劫だからメールで済まそうとしているわけじゃないんだよ。その方が相手の時間を取らずに適確に内容を伝えられると思うから。反省はしているけれど、直すのはなかなか難しい。

長文LINEが嫌われることは承知している。
だから無駄に長い文章は送らないよ。
でも、不必要な部分を削って削って、それでも3行くらいには平気でなってしまう。3行なら大丈夫?不快感を与えずに読んでくれる??

皆、どうやってあんなにトントンと短い言葉が出てくるのだろう。
それで伝わるのだろう。

「りょ」というたった1.5文字で十分なのかもしれないけれど、私はどうしても「了解です、連絡ありがとう」まで書かないとむず痒い。そういうところの積み重ねか。

多くの人との差が顕著に表れてしまうから、LINEのやりとりは苦手だ。


ああホラやっぱり。
書き始めに迷う、とか書きつつ、結局前置きが長くなってしまうんだよね。
もう今年は320日も毎日noteを続けて、それでもこうなのだから。
これが私の書き方のスタイルなのだと受け入れる方が良いのかもしれない。


カフェ巡りのことを書く時は「どうしてそのお店に行こうと思ったの?」というところから残しておきたい。
でも、いつも理由があるわけではない。
だから、迷うのだ。

その日は白金台に行った。
買いたいチョコレートがあったから。

CACAOCAT

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気を遣わせない程度に気軽に渡せる、それでいて「この店何?」とか話題にもなって美味しいチョコが欲しかった。
渡したい相手の一人にほうじ茶好きがいたから、ほうじ茶味があるとベストだった。私の中にあるデータベースで、このお店がヒットした。

で、白金台に向かったもののどこのカフェに行くかを決めていなかったので、電車の中で慌てて調べる。

私の心を捉えてしまったのが、ホテルのラウンジだった。
フラリと行くところではないのかもしれない。
しかし、フラリと行ってしまった。

実はそういうお店は、席数も多いし接客の質もピカイチだから、案外フラリと訪れてみても非常に高い満足感で楽しむことができるのだ。
ただ自信をもってそれを可能にするためにも、休日のお出かけはいつだってそれなりにお洒落をしておく。

シェラトン都ホテル東京 ラウンジバンブー
丹波栗モンブラン

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ケーキをいくつか運んできて「どちらが良いですか?」と確認する時に使うようなワゴンに何やら機械を乗せて運んできた。

そしてその場で、モンブランのクリームを、絞る!!!
え、マジか、凄い。
あっという間に、形が出来上がっていく。
まるで3Dプリンターでも見たかのようだった。
その場でトッピングを添えたりして仕上げて。
まさに出来立てホヤホヤといった感じ。
その時点でもう、最高過ぎる。

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紅葉のエディブルフラワーなんて聞いた事ないけど、これ食べていいんだろうか。わざわざ今乗せて、何も言われないってことは、多分良いんだな。
ムシャムシャ・・・。

栗そのもの!!
というような、濃い、濃い濃いな栗クリーム。
一本一本の形がハッキリしながらも、流石絞りたての破壊力。
凄く軽やかだ。

寿命が30秒とか言われるモンブランがあるのも頷ける。
これは最近話題になっているような糸のように細いものでは無いからもう少しは長い寿命を楽しめるかな、という気はするけれど。
それでも少し時間が経つと、ズンと重くなってくるのが分かる。

ただ、それはそれで美味しい。
まるで栗きんとんのようで、栗の味わいは更に深く伝わるようになる。

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メレンゲの分厚さが印象的だった。
モンブランの大きさに対して、メレンゲの割合はなかなか大きい。
そしてソレは、確かな美味しさを秘めていた。

メレンゲというと、スポンジ以上にオマケ的に考える人も多いように思う。
けれどこのメレンゲは甘さをはっきりとアピールしていて。
サクッと軽く砕けた瞬間にサラサラと、その甘さをフワリと広げながらサラサラとほどけていく。
紛れもなく、メレンゲが美味しかった。

おや?
よく見るとメレンゲに何か色濃い…飴?
メニューの説明文を読み返してみると、どうやら胡桃のキャラメリゼらしい。そういう細かいところまで行き届いた工夫が、ホテルスイーツならではだ。

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珈琲はセットでも1,000円と、まあホテルコーヒーらしい価格設定なのだけれど、減ると丁寧に継ぎ足してくれて、長くホットな状態を楽しめる。

視界の先には全面ガラス窓が広がり、外の溢れる自然を魅せてくれる。


朝から、あるいは何日も前からワクワクと楽しみにしているカフェ巡りも最高なのだけれど。
たまにはこうして、直前にめちゃくちゃ高級感あるお店に立ち寄ってみるのもいいものだ。

思いもよらない突然の非日常に、心の変化は追いつかない。少し遅れて、ハッと感動したりして。

そんな色々な感動の感覚は、人生を少し、豊かにしてくれる気がしている。そんな体験を繰り返して、少しは紡ぎだせる言葉も豊かになっただろうか。


コミュニケーションの本にはよく、「私が〜」と強調するのではなく、聞き上手になろう、ということが書いてある。それは最もだ。
しかし少し、違和感も残る。

聞き上手が好かれる、ということは結局、話したがり屋が多いんだ。じゃあ、円滑なコミュニケーションの為には話したい気持ちを押し殺せばいい?

教科書的な正解は、聞き上手になって7聞けるようになれば、3は相手も気持ちよく聞いてくれるよ。みたいな、バランスの問題。

だからこそ、SNSというものが流行るのかもしれない。

そこに「人からの承認」という欲求まで絡ませると危険だけどね。

誰かへ。別に届かなくても気にしないけれど、もしかすると届くかもしれない誰かへ。
ちょっと私の抱えきれない気持ちを聞いてくれない?

そのくらいの気持ちで利用する。

話すのが好きな人は、話すのが好きなんだ。
書くことが好きな人は、書くことが好きなんだ。
どこまで行っても何をしようとも、それはなかなか、覆せるものではない。

それができる場所を見つければいい。

誰かへ。
届くかな。

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