ユーザーに優しいマニュアルを作る5つのヒント
この記事は、「マニュアルのUXはどうあるべきか?」の後編です。
前編はこちら >>
例えばこんなことはないだろうか。
あなたは、カレンダーアプリを開いている。家族とイベント情報を共有したくなったが、どう操作すれば分からない。
膨大なマニュアルの中を探し、たくさんのページを開いたら、詳細なシステム仕様の中にほんの少しだけ「どうすればいいか」が書いてあった。
やれやれ、10分も使ってしまった。これなら家族にはLINEで伝えたほうが早かったよ。
マニュアルは資産である
マニュアルは、チームの知的資産である。お問い合わせ回答であれば1対1で終わってしまうが、その案内をもとにマニュアルを作成しておけば使い回しがきき、ユーザーが自己解決をする手助けになる。
しかしながら、更新されず放っておかれたり、ユーザーストーリーに沿わない文章であったり、探しにくい場所にあったりすれば、資産としての有効活用が出来ない。
そんな自体にならないために、我々が出来る改善のヒントを書いてみよう。
デザイナーができること
1. マニュアルのPVをチェックする
前編でも書いたように、PVは重要な指標である。マニュアルで使用するツール(zendesk、wordpress、他にも色々)の中で、GAのタグを埋め込む機能を探し、活用する。
2. マニュアルだけ孤立させない
例えば「商品カテゴリ設定」に関するマニュアルが存在するのに、実際の「商品カテゴリ設定」からリンクが貼られていなかったりすることがある。
該当画面の該当項目からピンポイントでマニュアルを表示できるようにすれば、ユーザーは自分で、あるかも分からないマニュアルを探しに行かなくて良くなる。
3. ヘルプの表示手法を蓄えておく
さあコーヒータイムだ。ソファで、あの機能のマニュアルでも読むか。
そんなユーザーはいない。
マニュアルを読みたがるユーザーは、必ず何かに困っているはずである。
ユーザーが困るタイミングは様々だ。
だから色々なトリガーに対応できるよう、オンボーディング、バルーン、テキストリンク、ウィジェット、アラート、チャットボット、など、マニュアルをグッドタイミングで表示する様々な選択肢をあらかじめ用意するべきである。
4. 競合のマニュアルをチェックする
競合サービスのマニュアルにはヒントがたくさんある。同じ構造で悩んだユーザーの痕跡がある。ぜひ一度、一覧を見てみて、自分のサービスで見落としている点がないかチェックすべきだ。
5. マニュアルを参照するところまで含めたユーザーテストをする
困りごと起点で作ったストーリーを用いて、マニュアルを使いながらユーザーが自己解決できるかのテストを行うべきである。
CS(カスタマーサポート)ができること
1. マニュアルの構造を見直す
マニュアルにおいて「トラブルシューティング(〜したいとき)」というカテゴリと、その根拠となる「具体的システム仕様」というカテゴリがなるべく分かれているようにする。
「実際の画面」「トラブルシューティング」「具体的仕様」という順で辿れるように意識する。
また、「トラブルシューティング」の中でも「ターゲットユーザー」「タイミング」などでカテゴリ分けをしておくと分かりやすい。
2. キャプチャに頼らない案内
画面は施策によって細かく変更が行われていくものであるので、なるべくキャプチャ画像に頼らない記述にしておいたほうが、運用コストが少なくて済む。
マニュアル内のタイトルにidを振っておけば、このようにidを目印にリンクを貼ることができる。
また、下記のような文章の場合
送付先は、設定>お客様情報>ご住所にてご変更ください
この場合は「設定」「お客様情報」に管理画面へのリンクを貼っておけば、キャプチャに頼らずとも、ユーザーは場所を探せるようになる。
3. ユーザーの動きに合わせた記述
例えばユーザー同士のトラブルを自己解決してもらいたいためのマニュアルにおいて、「このようにお伝えください」と記述するだけでなく、具体的な返信文例を記述しておくことで、ユーザーは文体や形式に悩むことなく、トラブルを解決できる。
このユーザーの動きについては、ユーザーテストを活用し観察する。もしくは、実際のユーザーのやりとりのログを見ながら仮説を立てる方法もある。
4. 開発側のとの定期的なMTGを設ける
システム仕様の変更の伝え忘れがなどがないようにする。
5. 上記の施策が自動で回る運用体制の構築
上記で述べたことが、その場の啓蒙だけで終わらないよう、マニュアル公開時のチェックリストに入れ込むなどする。マニュアル記述時に自然とそうなるような体制を作る。
最後に:マニュアルはチームで作る
上述したように、ユーザーに真に寄り添ったマニュアルを作ろうと思うとき、特定の職種だけの努力では困難である。
逆に言えば、マニュアルというものの運用を通して、よいチームビルディングを行っていくことができ、同時に、システムを透明化できる。
マニュアルを資産として認識し活用していくことで、ユーザーにさらに良いソリューションを提供し、世の中をよくする小さな一歩になるだろう。
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