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メンバーをコミュニティの主役にしてアウトプットの機会を最大化する方法

母親アップデートコミュニティ』の主宰者・なつみっくすさんをお迎えしてPodcastでインタビューさせていただきました。この記事はその書き起こしです。コミュニティ運営のヒントがつまったインタビューをぜひご覧ください!




インタビュー内容まとめ

『母親アップデートコミュニティ』の主宰者・なつみっくすさんをゲストにお迎えし、コミュニティ運営について語っていただきました。会社員をしながらの複業で、5年もの間「母親を、もっとおもしろく。」という理念のもと、コミュニティ運営に尽力されています。母親アップデートコミュニティでは、メンバーが自主的に部活動を立ち上げるなど、自発的な活動が盛んです。そんな活発なコミュニティが5年も続いている秘訣は「メンバー自身のアップデート」を軸に、メンバーのアウトプットが次のアクションに繋がるような循環ができているからだそうです。コミュニティ内で「きっかけ」と「見返り」をデザインし、それが連鎖させるという話も必見です。また、母親アップデートコミュニティでは、運営チームを半年ごとに入れ替え、作り手を増やすことを重視しているそうです。アウトプットを最大化し、一人でも多くの人が作る側に回ることを目指している。部活動は40以上もあるそうで、特に本を使った活動が継続しやすいのだとか。活動の継続はゆるく、やる側が楽しむことを大切にしているとのこと。メンバーにとって居心地の良いコミュニティ作りを目指しているのが伝わってきます。イベントも工夫されていて、登壇者を呼ぶだけでなく、事前準備、当日、終了後の振り返りまで、メンバー同士の交流やアウトプットを重視しています。さらに、母親アップデートコミュニティでは、企業の組織開発にもコミュニティで培ったノウハウを活かし、心理的安全性の担保などの支援に取り組んでいるんだとか。実際、コミュニティ内の心理的安全性は、「誰も否定しない」というたったひとつのシンプルなルールを全員で共有することで実現しているそうです。なつみっくすさんは、コミュニティ活動を通じて、メンバー一人一人の変化や成長が見られることが何よりも嬉しく、やりがいを感じていると語ってくれました。

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左:黒田悠介 右:なつみっくすさん

インタビュー書き起こし

黒田悠介(以下黒田): 今回は「コミュニティ探訪」という新シリーズを始めようと思ってまして、いろんなコミュニティの方をお招きして、インタビューしたりディスカッションしたりしながら、コミュニティの未来を一緒に考えていく時間にしたいなと思ってます。初回の記念すべきゲストは母親アップデートコミュニティのなつみっくすさん。よろしくお願いします!

なつみっくす(以下なつ): よろしくお願いします。コミュニティの話をすることは結構あるので、今日はリラックスしてお話できればなと思ってます。

黒田: そうですね。なんだかんだなつみっくすさんとは議論メシと一緒にイベントやっていただいたりとか、こちらの配信にちょっとお付き合いいただいたりとか、意外とご縁があったりするので、私も緊張せずにまったり話せたらなと思ってます。早速なんですが、軽く自己紹介として、なつみっくすさんが何者なのか、母親アップデートコミュニティってどんなものなのか、ちょっと最初に概要をお聞かせいただけますでしょうか。

なつ: 改めまして、なつと申します。母親アップデートコミュニティというコミュニティを丸5年やっておりまして、その運営母体として一般社団法人母親アップデートという団体の代表をやっております。実は会社員でもありまして、複数の立場で活動をしております。母親アップデートコミュニティなんですけれども、経済メディアのNewspicksでの番組観覧をきっかけに立ち上げました。今は200名超で全国と一部海外からメンバーが参加しております。私たちは「母親を、もっとおもしろく。」という理念を掲げて活動してます。自分の人生をもっと面白くっていうことと、社会にある母親というイメージをもっと面白くということで、日々コミュニティの中での活動もそうですし、外への発信などの活動もしております。

黒田: はい、ありがとうございます。早速の驚きなんですけど、そういえば会社員だったんですね。副業でこの規模のことやってらっしゃるのは、すごいことだなと改めて思いました。いまは結構チームが出来上がってきて、チーム戦でやれてるような感じなんですか。

なつ: そうですね。コミュニティっていうことで言うと、最初の1年とかは結構立ち上げ期って感じだったんですけど、2年目以降、色々自主的な活動が盛り上がっていて、メンバーが自発的に部活動と言われるものを立ち上げています。例えば読書部とかマインドフルネス部とか、自分の興味のあるものを活動として立ち上げて、そこにはやりたいって言った部長がいて、副部長という形でサポートする人もいるという感じです。自主的な活動が盛り上がっていて、その運営母体という形で、もっと運営が良くなるようなチームとしては、運営チームを半年に1回リニューアルしたりとかしています。あとは、一般社団法人としては、そのコミュニティというもの以外に、コミュニティで培ったノウハウを企業の中での組織開発みたいな形でプロジェクトとして展開したりってことをやってたりします。

黒田: 面白いですね。Newspicksの観覧からスタートされたっていう話をされてましたけど、こんなコミュニティ聞いたことないんです。そこから今、何年続いてらっしゃるんでしたっけ。

なつ: 5年ですね。

黒田: きっかけはすごく些細なことのような気がもするんですけど、そこから5年続いてきたのって、なんか求心力というか、旗が立ってるからなのか。なつみっくすさん的に感じるとこってありますか。なぜ今まで5年、続いているのか。

なつ: そうですね、5年経ってみて改めて思うのは、私たちアップデートっていう言葉をコミュニティの名前の中にも入れてるんですけれども、だからこそですね、このアップデートっていうのは、結構やっぱり活動の軸になってるなって思ってます。どういうことかっていうと、例えばイベントとかって、コミュニティ活動としてはメインの軸としてあると思うんですけれども、イベントも一方通行とかではなくて、双方向で、参加者は参加したことをアウトプットして、次の小さなアクションにつなげていくっていう、次のアクションがまた次のイベントに繋がってとか、イベントじゃなくても、その人個人の活動に繋がってって言って、ぐるぐる回っていくっていうことなので、必ずなんかその1回の活動が次のスモールアクションにつながっている、で、アップデートが続いていくみたいなことの連続なのかなっていう気はしてますね。

黒田: ああ、面白いですね。なんか、その個人のアップデートが、他の人のイベントとかアップデートにも繋がっていくみたいな感じで。で、その結果、コミュニティもアップデートするし、世間の母親観みたいなものもアップデートされていくし、その中心地に母親アップデートコミュニティがあるという、そんな感じがしますね。

これめちゃめちゃ大事な観点だなと思ってるんで、もうちょっといくつか聞きたいことがあるんです。どうやってその循環が発生するようにしているか。なんか、ほっとくとそういう熱量ってどこかで消えてしまうケースあるなと思うんです。コミュニティの中で生まれた熱量とか、そのアップデートの力を巡らせるためにやってる工夫とかって、なんかあったりするんですか。

なつ: 最近私がすごい思ってるのは、全ての行動にきっかけと見返りがあるっていう話で。そのきっかけとか見返りをいかに生み出せるかていうことに私自身は注力しています。もちろん私だけじゃなくて、そのきっかけとか見返りを誰かが生み出してると、あ、それいいねっていうことで、他の人がどんどんやってくれるようになる。

具体的にはどういうことっていうと、例えば雑談とかランチ会みたいなところで話してる中で、実は最近こういうことに興味あるんだよねっていう些細な一言を聞いて、それじゃあなんかもっと話聞きたいからイベントにしましょうよっていうことを言ってくれる人がいる。これ、きっかけの1つだったりして。で、見返りっていうのは、誰かがそのイベントやるとかっていう大きなことだけじゃなくて、コメントしてくれるとか、返信してくれるとか、何かアクションしてくれたことに対して、ありがとうとか、それいいねとか、それだったらもっとこうしようよとか、なんか投稿とか、いいねとか、応援とかっていうことが連鎖していくってことかなと思っていて。この良いきっかけと良い見返りをくるくるしていく。

黒田: なるほどですね。今、議論メシの方でも、自律分散型でコミュニティを運営していこうと思っていて、私が会社員になったのでちょっと使える時間が少し減ってしまったんで、メンバーが自主的に動く形にするにはどうしたらいいかってすごく考えた結果、おっしゃる通り、きっかけと見返り、その2つが必要だなと思っていて。で、見返りの方は、私、分かりやすくイベント開催したらいくら、みたいな報酬でやってます。これも1つのやり方かなと思って試してるところなんですけど、きっかけ作りの方は、メンバーが自主的に他のメンバーに1on1をして「最近どう?」みたいなことやってくださってたりするんで、そのあたりもすごく似てるなと思っていて。

意外とそういうちょっとした発言とか、ちょっとした雑談とか、ランチ会の些細な一言が、イベントになったりとか、次のアクションにつながるっていうのは、本当にすごいわかる気がしますね。母親アップデートコミュニティさん自体も、些細なそのNewspicksの観覧からスタートしてるので、そういうところをなんか見逃さないみたいなのはすごい大事なのかなと思いながら聞いてましたね。この生まれかけたものをどうにか実らせたいみたいな気持ちが皆さんあるのかもしれないですね。

なつ: まさにですね、見逃さないとか、なんかそういう種を拾っていくと、こう新しいことが生まれるんだっていうのを、小さな成功体験を持った人が、また良いきっかけを作る方に回ってくれて、みたいな。

黒田: なるほど。きっかけを作る方に回っていくのっていいですね。で、他の人にとってのきっかけがまた生まれて、で、見返りを受けて、で、またじゃあ別の人にきっかけを提供していこうっていう風に、それがペイフォワードされていくというか、前に進んでいく感じがしますね。

メンバーの中にも、運営的な立場というか考え方で関わってくださる方が結構いるのかなと思ったんですけど、実際にその運営チームですっていうくくりにされてる方たちと、そうでなく、メンバーなんだけど自主的に関わりを持ってくださってる方って境目があんまりない感じで、溶け合ってる感じなんですか?

なつ: そうですね。もはや運営チームっていうのが明確な線引きがなくてですね、この間も、5周年イベントっていうのをやったんですけど、その時も全部で11日間、18セッション。メンバーがやりたいやりたいっていうのを組み上げたって感じなんですけど。

黒田: ちょっと待ってください。5周年イベントが11日間あったんですか。普通1日とか、多くても2日、3日やったらすごい長いイメージがあるんですけど、11日っていうのは何があったんですか。なんでそんなに長くやったんですか。

なつ: やりたいっていうセッションを連ねたらそうなったって感じですね。

黒田: それだけやりたいって声が自然と出てくるってことですね。それはすごいな。運営チームとして肩書きがある人たちだけじゃない、一般のメンバーの方たちもそこで手を挙げてくださったということですね。

なつ: そうですね。運営とか実行委員をやりたい人とか、企画をやりたい人とか、その都度募っています。私たち、イベントとかいろんな企画やるときに、いかに作る側に関わっていただく人を増やしていくかっていうことを大事にしていて、もうそこはどんどんありがたいことに増えて。いい意味でカオスになっています。

黒田: 世の中一般のコミュニティだと、もちろんそういうことしたいって思ってる方もすごく多いですし、私もやりたいなと思ってるんですけど、意外とそういうふうに自主的に動いてくださる方が、わさわさ出てくるケースってあんまり聞いたことがなくて。さっきおっしゃってたようなそのきっかけと見返りがちゃんとループするとか、アウトプットの機会を作って、それが他の人を触発していって、アップデートが連鎖するみたいなことが背景にあるんだろうなと思うんです。特になつさんの中で、なんかこれをやってきたから今のその盛り上がりがあるなとか、この5年間続けてきた、これがあったからこの5周年イベントがうまくいったなみたいな、積み重ねみたいのってあったりしますか。

なつ: そうですね、そういう意味では、小さな役割みたいなものをたくさん作って、たくさん募集してきたと思います。

黒田: それは例えばどんなことですか。

なつ: 例えば、その5周年イベントでいうと、最初に実行委員っていうふうに募集して、企画チームとか広報チーム、イベントのコンテンツ作るチーム、リアルイベントを企画するチームって最初は4つだったんですけど、また細かい役割で、じゃあリアルイベントも、受付と装飾と司会とお土産ととかなんか作ると、6個ぐらいになるわけですよね。で、それをまたこれやってくれる人みたいな感じで、どんどん、細分化していくみたいな。

黒田: なるほど。そういう自分に任されたものがあったりすることで、コミュニティに対して自分が貢献できてる感じもするし、居場所感みたいなものにもつながっていきそうですね。

なつ: まさにですね。

黒田: ちょっとそれに関連して、運営チームを半年でリニューアルするっていうことをおっしゃってたと思うんですが、気になっていて。運営チームをリニューアルしない方が、それまでの積み重ねが生きるというか、安定感が出てくるような気がしたんですけど、あえてその運営チームを半年でリニューアルするのはどういう理由なんだろうなという興味があります。

なつ: そうですね。やっぱり作る側に回る人を増やしたいっていう風に思っていて、それでやっぱり参加すると作るで結構違うと思ってまして。作る側が楽しい。で、その作る側の気持ちがわかると、参加するのもより楽しくなってくる。

あとは、作る側が、そこで例えば広報みたいなことを仕事ではやったことないんだけど、ちょっとこういうことやってみたらSNSとかちょっと楽しいかもとか新たな興味が生まれてくる。単に参加してるだけだとインプットだけになっちゃうけど、アウトプットすることによって、よりそういった経験が深まると思ってるんですよね。

なので、作る側の人がいかに増えていくような、機会とか小さな役割みたいなのを増殖させていきたいみたいな感じですかね。

黒田: 半年に1回、新しい役割や、役割を持った人が生まれていくっていうことですね。元々運営メンバーだった人たちも、その後コミュニティにとどまって、むしろサポート側に回ったりとか、別の形で活躍してくれたり。

こんなにアウトプットにこだわってるコミュニティも少ないというか。ライターのコミュニティとかだったらわかるんですけど、母親アップデートコミュニティがアウトプットをそこまで重要視するのは、なつみっくすさんの想いとか気持ちもあるんだろうなと思うんです。アウトプットって、なぜそこまで重視されてるんでしょうか?

なつ: もう、めちゃくちゃありますね。で、その半年に1回のリニューアルっていうことでいうと、私たち、母親アップデートラジオっていう音声メディアをVoicyで番組としてやっているんですね。丸4年やっていて、2000回ぐらい放送してるんですけど、私はパーソナリティの数を増やしたいんですよ。

なぜかと言いますと、女性の登壇者とかプレゼンターとかリーダーもそうですけど、少ないっていうジェンダーギャップの課題がある。もっと発信する人がいることによって、多様な100人100通りのサンプルを見せるっていうことを大切にしていて。それをやるためには、いろんな人がパーソナリティーとしてチャレンジしてもらうっていうことが大事かなっていうことで、半年に1回パーソナリティもリニューアルしています。

黒田: なるほどな。そこも役割をつけ直すことによって、作り手に回る人を増やすっていう工夫をされてるんですね。すごいな。これは結構コミュニティを運営される方にとっても重要な観点だなと思っていて。どうしてもこう、内と外に固まりやすかったりとか、運営メンバーができたらすごく大事にしすぎちゃって、一緒にずっとやっていきましょうねみたいなふうになりがちなので、あえてそこで入れ替えていくっていうのは、こういう意味合いでやってくんだっていう、アウトプットの量を最大化するためにとか、作る人の数を増やすためにっていう想いがないとできないことだなっていう気がしたんで、やっぱユニークだなと思います。

そこの話に関連して、部活動もそういう役割があるんじゃないかなと思ってるんですが、この部活動も、コミュニティによっては立ち上げたくてもあんまりうまくいかなかったなとか。1個だけしかコミュニティの中で主要な部活が存在しないとか。そういう状況をたまに見かけるんですね。 母親アップデートコミュニティーさんの中で、部活動って今どんな状況なのか、どんなものがあるのか知りたいなと思いました。

なつ: ありがとうございます。2020年の、ちょうどコロナ禍の時に、部活動ってことやり始めて生まれた数っていうことで言うと、40個以上生まれていると思います。ただ、コロナの時代って、結構オンラインバブルみたいな形で、オンラインの参加者がすごい一気にわっと増えたタイミングだったかなと思っていて。それが、ちょっと落ち着いて、1個1個の部活、続いてる部活がどれぐらいあるかっていうと、もはやですね、何が続いてて、何が続いてないか、ちょっとわからなくなってるんですね。

でも、それでもいいと思っていて。ゆるく続けてもいいし、もう極端な話、年に1回だけやりますとかでもいいし、なんかそこをプレッシャーにか感じてもらいたくなくて。やる側が楽しくやっていただきたいと思ってるので、出入りも自由だし、辞めてもいいし、誰かが引き継いでもいいしって感じなんですね。

継続的に続いてるものは実は特徴があって、本を使ってるものなんですよ。

黒田: やっぱり本っていいコンテンツですよね。誰でもアクセスできるし、思いをそこに載せて人に伝えられたりもしますし。

なつ: 一番の理由は、主催する側の負担がないってことだと思ってます。主催する側にとっては結構負担で、それを続けていくっていうのが大変になっちゃうと思うんですけど、本っていう共通のコンテンツがあるといい。これって読書部だけじゃなくて、マインドフルネス部も本を軸にやってますし、例えばアドラー心理学部っていうのもアドラーの本を読んでやるみたいなことがあったりとか。本を持ってきて、それを一緒に読み合って気づきをシェアしようっていうだけで、結構コンテンツになるかなと思います。

黒田: いいですね。しかも、その本の内容だけじゃなくて、そこに触発されて考えたこととか、自分の経験を紐付けて話したりすると、意外と本だけの話じゃなくなっていきますしね。

なつ: そうですね。

黒田: なるほど。いや、面白い。すごいな。部活動もいっぱいあって、周年イベントもすごく盛り上がっていて。それ以外の日常的な部活動以外のイベントってどんなことされてるのかも興味があるリスナーの方がいると思うんですが、「母親アップデート」っていうことに絡めたイベントがやっぱり多いんですか。

なつ: そうですね。なんか「母親」ってつくと、結構子育てとか教育の話をしていると思われがちなんですけど、それって1割ぐらいなんですよね。で、それ以外は「自分アップデート」っていうか、例えば、何かちょっとしたワークを手帳を使ってする会があったりとか、マンダラチャートって大谷翔平さんがやってたってことで有名になってますけど、ああいうのもなんかフリーの素材として使えるので、みんなでマンダラチャートやってみようみたいなこととか。ちょっとしたプチワークと雑談みたいなことで、イベントがランチの時間にあったりとか、夜の時間にあったりとか。オタクの会みたいな感じで、好きなアニメとか推しについて話し合おうみたいな会もあったりとか、いろんなものがあります。

黒田: いいですね。めちゃくちゃ共感するのが、登壇者を呼んでその人の話を聞きましょうみたいな会が話として出てこなくて、やっぱそうだよなと思うんですよね。私も議論メシでコミュニティを6年ちょっとやってたりしますけど、外部からゲストを呼んできてっていうよりは、むしろメンバー同士の交流の中で新しい何かが生まれていくっていうのの方が、やっぱ価値があるんじゃないかなと思っているんです。母親アップデートコミュニティさんでも外部の方を呼んでっていうよりは、メンバー同士の交流とか化学反応みたいなところを目指してる感じですかね。

なつ: そうですね、基本的には。ゲストをお招きしてイベントする時もあるんですけど、これもすごいこだわりがありまして。一方通行にしないで、双方向で、ゲストにも喜んでもらう、参加者にも喜んでもらう、企画メンバーも喜ぶっていうのをどうやって実現するかっていうこと。企画ミーティングを、毎回ではないんですけど、3回ぐらいですね、ゲストをお招きする時にやったりとか。みんなで依頼書を練り直して、どういう文面だったら来てもらえるんだろうっていうことを一緒に書いて、返事が来なかったらどうしようっていうこととか、喜んだりとかして。

当日迎えるまでのプロセスだったり、あとはその当日の後のプロセス。こういうことよかったよねっていう。イベント当日ももちろん大切なんですけど、全体のプロセスで私たちがいかに気付きとか、そこに対してアップデートがあるかっていうことを大事にしてる感じですかね。

黒田: 私も色々な場に登壇で呼ばれていきますけど、そんなにちゃんとしたプロセスは多くありません。大体、黒田さんなんかじゃあ30分お話お願いしますみたいな感じとかですし、じゃあ今回もいつも通りな感じで話そうかなってこっちも思ってしまうんですけど。そういうことじゃなくて、依頼書を事前にちゃんとみんなで作り込んで、しかもそれで双方向な場を作り上げるっていうのはあんまり聞かないし、やっぱそこもこだわりがあるんだろうなって感じますね。

なつ: そうですね。ケースバイケースではもちろんあるんですけれども、やっぱり依頼するまでのプロセスを共有することによって、今度他の人が企画できたりとか、別に私たちのコミュニティに限らず、こういうふうにすればゲストの方が来てくれるんだとかっていう、ノウハウの展開にもなるじゃないですか。そういうのって全てが学びだなと思っているので。その事前のプロセスがあることによって、やっぱり当日の楽しみがより深まるみたいなこともありますし。

黒田: お祭りみたいに、自分たちで用意したものがちゃんと動くのはすごく嬉しいでしょうし。これもまたアップデートとアウトプットの機会になってますね。作り手を増やす、アウトプットを増やすっていうのはやっぱりコミュニティ全体の根底にあるんですね。

なつ: そうですね。

黒田: 今の話に少し加えて、コミュニティ全体でのアウトプットについて聞いてみたいです。先ほどおっしゃってた、組織に対するコンサルティングのような動きもされているっておっしゃってたと思うんですが、実際にどういうことされてるのでしょうか?

なつ: 私たちがコミュニティーの中でやってきていることって、例えば心理的安全性をいかに担保して、それがあるから一人ひとりが自分の可能性をより発揮できるというか、もっと本音を言えたり、もっとこういうことやりたいってことが言えて、それの次のチャレンジに繋がってるみたいなことなんですね。それが組織の中にあると、組織の中でトップダウンの命令で動くだけじゃなくて、ボトムアップでそれぞれがやりたいこととかっていうのがもっと開かれるよねってことで、リーダーの方に向けて研修の機会を提供しています。

また、「母親アップデート」っていう団体なので女性社員のコミュニティやメンタリング、一対一の斜めの関係を作るみたいな形で、組織の中で部署を超えて信頼できる関係があることによって、安心して相談ができるみたいなこととかあるので、その斜めの関係を作る企画をして、伴走支援をするみたいなこともやったりしています。

黒田: コミュニティの中で生まれてきたものとか、カルチャーとか、手法とか方法論みたいなものを、外部の企業さんに提供するっていうのは面白いアウトプットのかたちですね。

先ほどおっしゃってた心理的安全性は会社だと担保されにくかったりすると思うんですけど、コミュニティの中だとまだ実現しやすい部分もあると思いつつ、一方で、コミュニティマネージャーの方も心理的安全性の確立を課題に感じてることがよくあります。母親アップデートコミュニティさんの中で、どういう工夫をしてその心理的安全性を高めてるかっていうのも、コツがあれば聞いてみたいんですが、いかがでしょうか?

なつ: たった1つのルールとして、「誰も否定しない」っていうのをシンプルに掲げています。最初は気軽に言い始めたことなんですけど、実は今でもすごく大切にしていて。ルールをたった1つにしてるので、わかりやすくて覚えやすいっていうとこもありますし。

そのうえで、誰も否定しないっていうことはどういうことなのかとか、どうやったら私たちなんかそれに近づけるのかっていう対話とかをしたりするんですね。そうやって自分ごとに落とすっていうことがすごく大事で、それがまさに心理的安全性なのかなと思っていて。

私だけじゃなくて、メンバーの方がですね、私たちこういうこと大事にしてるんですよって、いろんな場面で口々に言ってくれてるんですよ。自分の言葉で。共通言語になってるっていうのがめちゃくちゃ大きいなと思います。

黒田: 確かにそれが共通言語になってれば、否定されることはないから、とりあえず言ってみようとか、やってみようとかっていうふうな勇気も出てきますね。

ちょっと最後にこれも聞いてみたいなと思っていたのが、母親アップデートコミュニティをやって5年間立っている中で、素晴らしい瞬間というか、これはやってて良かったなって思う瞬間にはどんなものがありましたか?エピソードというか、思い出せる範囲でちょっと聞いてみたいです。

なつ: めちゃくちゃあります。1人1人の日々の小さなアップデートに気付けるっていうことの積み重ねが嬉しいっていうのはもちろん前提にあります。例えば、最初はオンラインのイベントにカメラオフで耳だけで参加してたんだけど、カメラオンになって発言してくれた、とかですね。最初は参加するだけだったんだけど、ファシリテーションする側とか、イベントを企画する側に回ってくれたとか、そういうのはもう本当に嬉しくてですね。

コミュニティーの中で変化が起きるのももちろんですけれども、コミュニティの外で、会社の中で、上司にこういうこと言ってみたよとか、パートナーにこういうことを提案してみたよっていう、外でのチャレンジっていうのももちろん嬉しいです。そういうのが積み重なって大きなチャレンジになっていったり。

1年に1回やる周年イベントの方で1分ピッチっていう形で、自分のアップデートを1分で話すっていう機会があるんですけど、これが毎回ですね、もう涙涙の感動っていうのがあるんです。

もうそこでは、まあ、なんて言うんでしょうね。転職とか独立とか、おっきいことももちろんあるんですけど、そういうことだけじゃなくて、ありのままの自分でいいんだっていうことに気づきましたとか、もうそういう言葉というか、変化がすごい嬉しいなと思ってます。

黒田: そういう一人ひとりの変化に注目されてるのもなつみっくすさんらしいですし、母親アップデートコミュニティって、そういう、一人ひとりがちゃんとアップデートしていくコミュニティなんだなっていうことがすごく感じられて、素敵だなと思いました。

最後に、母親アップデートコミュニティについてとか、なつみっくすさんの今後とかでもいいんですけど、リスナーの皆さんに伝えたいことがもしあれば嬉しいです。

なつ: そうですね、もし母親アップデートコミュニティにご興味があるという方はいつでもウェルカムですし、私たち、やっぱり少子化とかっていう大きな社会課題もありますけれども、やっぱり母親をもっと面白くっていうことで活動してるので、何か一緒にご一緒できることがあれば、個人でも団体でも、いつでもお声がけいただけると嬉しいなと思っております(お問い合わせはこちらから)。

黒田: ありがとうございます。ということで、今日は母親アップデートコミュニティからなつみっくすさんにお越しいただきました。今日はどうもありがとうございました。

なつ: ありがとうございました。



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