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教師がハッピーに働く方法を起業家が考えてみた

今日は「教師がハッピーに働く方法を起業家が考えてみた」というテーマでお話をします。公務員から起業家になって5か月、働き方によって人生の幸福度は大きく変わることが分かりました。教員が選ばれない時代、どんな働き方が先生をハッピーにするのか研究することは大きな価値があります。

1.起業家の一日と比べて


朝、息子と散歩をしながら保育園に行きます。午前中はカフェで仕事をしてお昼は家で食べます。単調な作業はピットブルのGive Me Everythingを爆音で流しながらやっつけます。午後は近所の山を走るかジムに行きます。週3回はサウナに入ります。夕方から夜にかけてzoom会議やセミナーで仲間と交流します。

午後に運動すること、息子と散歩しながら登園することが大切なのではありません。重要な事実は、私がそうしようと決めて、そうしていることです。教員は給食後にジム、サウナをはしごすることはできません。私はそうしたいのにできない働き方はかなりのストレスだったことに、教員をやめて気が付きました。

ラテンミュージックを爆音で聴きながら作業を進めることも、セミナーに話を聴きたい人を呼ぶことも、私が決めたことです。もうお気付きかもしれませんが、人生をハッピーにする仕事の本質は「自己決定」にあると私は考えています。職員室で働く先生たちがハッピーでない原因の本質は自己決定にあるのではないか。これが私の仮説です。


2.教員が決められることは何か?


日本の教員が決められることは授業の具体です。子どもは決まっています。就業時間、同僚、教える内容、掲示物、自習の仕方、学校ではありとあらゆることが決められています。しかしどう教えるか、子どもがどう学ぶかという具体だけは決まっていません。授業実践が自由闊達にして愉快、語るに尽きない理由はここにあります。

しかし現状、学校の先生は幸せに見えません。仕事量が多いからでしょうか。多様なニーズへの対応が大変だからでしょうか。私はそう思いません。仕事量が多かったとしても自分が決めたことに人は喜びを感じます。朝から晩まで毎日単調な練習を繰り返してきた高校球児は不幸せでしょうか。金メダルをめざして毎日50キロ走るマラソン選手は不幸せでしょうか。仕事量を減らしたら本当に幸せになるのでしょうか。

先生がHAPPYに働くために自己決定のパーセンテージを高めることが重要です。先生はもっと自分のことを自分で決めたいように見えます。しかし、ありとあらゆることが決められている風に見える学校で、教員が決められることはあるのでしょうか。


3.自己決定したい4つの対象


既に自己決定できている「授業の具体」を除くと、私たちが自己決定したい対象は「①時間」「②お金」「③人」「④キャリア」に絞られます。

①就業時刻や休憩時間を自分に最適化するように設定できると働くことが嫌になりません。また通勤時間の長さは幸福度に反比例するという研究データがあります。働く場所を選べることも時間の領域です。

②「お金」はありがとうの価値ですから、使えない年配教員が自分より高給取りである現状はSDGs「公平の原則」に照らしても持続可能のカケラもありません。お金を多くもらうことは求めていないけれど自分が正当に評価されることは誰もが望みます。

③起業家になってよかったことの一つが「働く人」「売る人」を選べることです。ビジネスは人から評価されるイメージがあるかもしれませんが実は逆に人を評価できるのです。人を選べるようになるとハッピー指数は爆上がりします。

④教員をしたら一生教員しかできない現状はキャリアの選択肢がありません。教員を「機会」として次にステージを選べるようになれば教員は人生100年時代にも魅力ある職になります。

そうは言っても時間・お金・人・キャリアを自己決定することは難しいでしょう。公務員ですし、組織ですし。そうやって思考停止に陥る管理職を何人も見てきました。でも大丈夫、世の中に不可能はありません。次節では、最も難しそうな就業時刻の変え方を考えてみましょう。


4.就業時刻を決めることはできるか


結論から言うとできます。まずは法律を解読します。

文科省の資料によると、教員の勤務時間は「労働基準法」(地方公務員法第58条)の範囲内で「地方公共団体の条例」で定められます(地方公務員法第24条)。

労働基準法は「1週間について40時間を超えて労働させてはならない」「休憩時間を除き1日に8時間を超えて労働させてはならない」という使用者の義務です。ポイントは週40時間以下だったら何時間でもいいこと。日に8時間以下だったら何時間でもいいことです。

この範囲内において「条例」で7時間45分の勤務が決められています。条例を変えることで勤務時間を少なくすることも、柔軟にすることもできるのです。条例を変えるには有権者の50分の1以上の署名があればいいので、八戸市の場合は19万人の有権者のうち3800人以上の署名を集めればできます。私の人脈だったらそう難しいことではありません。

署名と同時に決裁権者との関係性も大切です。自治体内や教育委員会は必ずしも首長や教育長が決裁権者とは限りません。時の権力者を探し出し、N職のイベントに登壇してもらうなどして関係を築きます。対話を重ね理解を得ることができたタイミングで署名を提出します。これで条例は変わりました。


5.ハードとソフトを同時に攻め落とす


制度(ハード)を変えられたとしても中身(ソフト)の伴わない改革は意味をなしません。時数はどうするのか、時間だけ減らしても業務量が変わらないじゃないか。現場からはきっとそんな声が出るでしょう。

ソフトを改革するためには前例をつくるしかありません。授業てらすで積み上げた信頼をもとに私は数年以内に学校運営に携わります。そこで、旧来のソフトとはがらりと変えた教育課程をつくりあげるのです。成功事例があればあとは真似るだけですから、ソフト面もクリアです。

ソフトの詳細を語ると膨大な文字量になってしまいますから、ここでは問いだけにとどめておきます。朝の見守りは教員がやる必要があるのか。休み時間は教員が見守る必要があるのか。給食は教員がお世話をする必要があるのか。6時間の授業は本当に担任がやることで子どもを育てているのか。制度上本当に教員はお金を稼げないのか。子どもが自律的に育つことを学校の目的にした場合、今の学校は何点か。何をやめれば点数は上がりそうか。どうすればそれらをやめることができるのか。経営者の視点でみると学校には伸び代しかありません。


6.まとめ


就業時刻は変えられます。就業時刻の条例を変えることで教員は勤務時間を選択できるようになります。ママ先生が早く退勤しても後ろめたさを感じなかったり、社会課題に貢献したい先生が二足のわらじを履けたり、将来のキャリアに向けてプログラミングスクールに通えたり、昼休憩を3時間とってジムとサウナに行けたりするのです。

就業時刻だけでなく、「お金」「人」「キャリア」も変えられます。すべてを前向きに疑う心と本物の馬力があれば変えられないことはありません。大切なことは私ならできるとみんなが信じられること。この文章を投稿しているということはハードの改革が射程に入ったということです。


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