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食べることと向き合う

41歳になって、健康診断の結果がやはりよくありません。お腹周りも規定値をオーバー。簡単に言うとメタボリックシンドロームです。BMIは正常値だったので、腹囲も身長を考慮してほしいと思いながらも、やはり味の濃いものが好きで、食べ過ぎてしまうという自分は確実に反省の対象です。

そんなメタボで食いしん坊の私を喜ばせるように、夏休みには「ちょっといいもの」を食べる機会がありました。

職場で、「いい弁当を食べよう」という催し物があって、私はうなぎをいただきました。4000円の高級弁当です。なるほど、脂もしつこくなく、さっぱりと、でもきっちりとコクのあるウナギをおいしくいただきました。
なにしろこんな機会もないのですから、ゆっくりと味わうことになります。これは、意識しようとかそんな生ぬるいことではなく、食いしん坊の私は、心から味わって食べたいという思いが湧いてくるのです。だから、ゆっくりゆっくり、いつくしむようにうなぎさんを味わいました。器が空になったときには大満足で、食べ終わった後もゆっくり余韻に浸ったわけです。

それから、職員室NEXTの企画「磨け、授業力」のスタッフとして東京へ行きましたので、ここでも食いしん坊の心が騒ぐわけです。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも取り上げられていた職人さんのとんかつ屋さんがありまして、そのお店へ行くことにしました。
上野にあるお店で、雑多な通りを抜けて一歩入るとそこへ異空間。上品で、職人さんたちのオーラが店全体を落ち着かせているようでした。
ここでも4000円ほど出してとんかつをいただきました。一口に、職人さんの人生を感じながら味わいます。しっとりとした豚肉にしみ込んだ塩味が、真夏で汗をかいてしまった体にゆっくりいきわたるようでした。一切れずつなくなってしまう寂しさを埋めるように、大事に食べ、やはり大満足でした。

そもそも、食べることとはこういうことではないか…食べながら私は思いました。

貴重な命をゆっくりと自分の体の中に取り込んでいく。
「たくさん食べれば食べるほど幸せ」
という私の概念が、ちょっとずつ溶解していきました。

大切な食べ物を、食事という贅沢な時間にあじわっていただく。こんな当たり前のことに気づいて、私はこれから、もっと食べる時間を楽しもうと思いました。
 
                       三浦健太朗

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