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ひかりのわ

2人で出かけて、光り輝く輪にであった。
その光は彼女には見えていて、ぼくにも見えていた。
だけど他の人には見えていないようだった。ぼくたちは何かに導かれているのだろうか。それとも宇宙人に誘拐されるのだろうか。
ぼくたちは、顔を見合わせた。
どうしよう。
彼女がきいた。
ぼくは彼女の手を握った。ひんやりとした手は震えていた。ぼくは、大丈夫だよ、と言った。
とたんに勇気が湧いてきた。
ぼくは、ひとりで輪に近づいた。手を伸ばす。輪はなんの感触もない。ホログラムのような光だ。
ぼくたちが見守っているうちに光は消えてしまった。
ぼくたちはぼんやりとしてしまった。
帰り道、彼女が言った。
「さっきのきみは、かっこよかったよ」
そして、ぼくの手を握った。その手はひんやりしていたけれど、ふるえてはいなかった。

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