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【狂言】「衣大名」「鎌腹」


横浜能楽堂にて。

「衣大名」
アンデルセンの「裸の王様」を狂言にしたもの。
明治時代に早稲田文学で、こういった動きがあったらしい。
全体的には狂言として消化されていて見事だった。
最後がシリアスになっていて、ここは狂言的ではないと感じた。これはなにか意図的な演出なんだろうか。

「鎌腹」
夫婦の物語。
妻が鎌をつけた棒を振り回すところからはじまる。かなり激しい演出だが、狂言らしい楽しさがある。
妻から言われて夫は山に行って薪を集めるのだが、このままでは妻に殺されるという不安にさいなまれる。いっそ自分で死んでしまおうとして、いろいろと試すのだが、気が小さいのでできない。騒ぎを聞きつけた妻がやってきて夫を説得する。
落語的な楽しさもあり、なかなかいい。夫婦はなんだかんだ言って円満なのがいい。

狂言は庶民の芸能だと思う。だから日常的なシチュエーションが好まれるのだろう。
大道具やセットのないシンプルな舞台で、さまざまな舞台が繰り広げられる。引き算に引き算を重ねたミニマムな世界は、人の想像力によって豊かになる。観客の想像力を試される楽しさがある。

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