見出し画像

「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」(2011年)

★★★★☆

これはおもしろかった。
パリの「クレイジーホース」というナイトクラブのドキュメンタリー。
どうやら有名なナイトスポットのようだ。
この店の売りはヌードショウで、ヘルムート・ニュートンの写真のような背徳的な印象を受けた。ただのストリップではなく、あくまでもエンターテイメントのショウなのだ。それは猥雑でありながら美しい。一流のショウビジネスになっている。来場する客も老若男女問わず、シートを予約している。

本作ではこの店のショウを作り上げていく様子を赤裸々に描いていく。
新しいショウを作るために店を休業する必要があると主張するディレクターや、スタッフの役割がきちんと決まっていなくて、なんでもやらされるのが不満だとぼやくダンサーたち。
店のショウにスポットライトを当ててあり、ディレクターやダンサーの個人的なバックボーンなどには触れない。

作中で経営者の女性が語る「この店は観客に夢を与える。この店のショウは女性美の結晶なのよ」といった言葉が印象に残った。
クレイジーホースはエロティックなショウを提供して、観客に夢を与える。夢を与える、といえばすぐに思い浮かぶのがディズニーだ。現在のディズニーは夢というよりはビジネス色が強くなりすぎた感はあるが、それはここではおいておくとして。
とにかく、ショウビジネスは観客に夢を与えるのが一番の目的なのだ。夢は人を解放してくれる。このことを自分も胸に刻んでいく必要がある。

映画の最後に、男性スタッフがスクリーンの前でロマンティックな影絵を作ってみせるシーンがある。エロティシズムとは無縁だ。ただ、このシンプルで、抒情的なシーンこそが、観客に夢を見せる、ショウビジネスの本質であり、スクリーンに映る映画のあるべき姿なのだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=aYve8fa38Io&t=1s


サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!