マシュマロ前夜
先のポストを読んでいただけたならわかるだろう。一言では説明できない奥深き菓子、それが”マシュマロ”だ。なぜこんなにマシュマロについて考えているのかというと、一応きっかけがあった。
あらゆる女性誌の編集部に勤める方ならわかってもらえると思うが、年に1~2回、マシュマロが詰まった箱が届くのだ。マシュマロ会社から。ありがたいことです。
私は毎回喜んでその箱を開けているが、わりとマシュマロ嫌いな人が多いということをその時知った。食べるのは私とあと2人くらい。あとはお腹がすいてどうしようもなく食べる人がちらほら。
話を戻す。昨年、高校の同窓会に出かけた。友達も多くなかったし、誰かと示し合わせてもいなかったので、行く直前になって気が重くなったが、結果行ってよかった。10年ぶりに再会した彼と恋愛に発展...とかではない。お互い面識はあったものの、話したことがなかった子と友人になれたのだ。なんとその子はマシュマロの会社に勤めているというではないか。
マシュマロを仕事にしてる人って本当にいるんだ......そりゃいるか......あの霞のような食べ物で商いを......
例えるならオリエンタルランドで働く人に会った時のようなかんじ。
そしてふと編集部に届くマシュマロのことを思い出した。彼女が勤める会社はまさにそこだった。「迷惑だよね~いつもごめんねw」と謝られた。めっそうもない。しかし約6年マシュマロ業界にいる彼女は、マシュマロの立場の弱さを痛いほど知って、あたり前のように卑下してマシュマロのことを話す。なんということだろう。米国ではあんなに存在感のあるお菓子だというのに!日本でのこの扱いよ!と急にマシュマロ熱が高まってしまう。
私は興味津々で、根掘り葉掘り話を聞いた。こんなやつあんまりいないだろうな、引かれたらどうしようと思いながら。彼女は開発を担当していて、毎日飽きるほどマシュマロを食べているらしい。会社には研究のためにいろいろなお菓子の新商品があるので、みんなポテトチップスなどしょっぱいお菓子に逃げがちという情報も得た。(だよな、甘辛の法則だよな)
そして彼女は、マシュマロは「世の流れに逆行した食べ物」だと言った。
糖質オフが不可能なのだ。
なぜなら、原料がほぼ砂糖だから。他に入っているのは、水飴(これも砂糖だよね?)、コーンスターチ、ゼラチン、卵白、香料など。たしかに、マシュマロから砂糖を抜いたら今度こそ霞だ。泡だ。そもそも、砂糖を減らすと形にならないらしい。マシュマロが成立しないのだ。日本人にこれは甘すぎると考えたこともあったが、甘さ控えめとか無理だったんですね。とても勉強になった。
それから新フレーバーのアイデアをひとしきり話したが、大体は既にトライ済みで、おいしくなかったか、営業の人から賛同を得られなかったということだった。さすがである。こういう時、一つのことを突き詰めている人への尊敬の念が湧いてくる。自分がいろんなことに手を出す仕事をしているからなおさら。(雑誌というだけあって、雑多な仕事だ。浅く広い)
彼女はマシュマロに限界を感じているようすではあったが、今後も日本国内におけるマシュマロの地位向上のために頑張ってほしい、と勝手に願わずにはいられない。
最後に、アメリカ、テキサス州のアイスクリーム店にあったという看板の名言を置いていこう。
MONEY CAN'T BUY HAPPINESS, BUT IT CAN BUY MARSHMALLOWS, WHICH ARE KINDA THE SAME THING.
(お金で幸福を買うことはできないが、それによく似たマシュマロを買うことはできる)
【余談】
成城石井で初めて「ロッキーマウンテン」のでかいマシュマロと超小粒のマシュマロを見つけた時の感動は忘れられない。しばらくその場から動くことができなかった。日本の会社も、そういうの出せばいいんじゃない?(と思ったら小さいのはありました。素人がエラそうなこと言ってごめんなさい)あぁ、マシュマロがゲシュタルト崩壊を起こしてきた......寝よう
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