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角川『短歌』2020年7月号

①上野誠「みじかすぎるうた」〈歌というものは、どのようにでも解釈できますというのは、無責任きわまりない態度だ。〉教室において教師がどんな態度を取るべきか。歌の解釈についても、教師の態度についても、この後に続く部分が示唆に富む。

②上野誠「みじかすぎるうた」その2〈一方、知識を得る楽しみというものもある。「蛇、長すぎる」なんて、どうしてそんな文が書かれたのか。知るチャンスを四十年を経て得たからである。〉まさかのオチが語られる。しかも連載は続くのだ。

魚の影黒く盛りあがる陥没湖そこに沈みき出雲の神は 梅内美華子 梅内の一連は、とても観察眼の行き届いた時事詠と、古典などに想を得た歌との組み合わせが絶妙だ。今回の一連は『古事記』や折口信夫の著書を下敷きにしている。視点が多彩で、読み応えがある。

大正アララギは鬱陶しくて肩が凝るかの実相観入かの鍛錬道 三枝昻之 やっぱりそう思われてたんだね、大正アララギ。でも、これ、他の人が言ってもダメ。三枝昻之が言わないと。

⑤横山未来子「助詞・助動詞再入門」よき事に終(をはり)のありといふやうにたいさん木の花がくづるる 佐佐木信綱〈花の豊かな美しさが思われるとともに、時間の流れやものごとの盛衰について考えさせられる一首〉比況の助動詞「やうなり」。例歌も鑑賞も好き。

⑥岩内敏行「歌壇時評」〈現代歌人協会、日本歌人クラブなどの(・・・)過去の記録など、YouTubeに協会チャンネルなどをつくって発信することもできるはず〉これには本当に心から賛成する。動画に限らず、その財力と人脈で過去の歌集・評論集の電子アーカイブ化をしてくれないものか。

2020.7.14.~15.Twitter より編集再掲