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『現代短歌新聞』2021年3月号

①「山中律雄氏に聞く」〈(川島喜代詩先生は)日常の裂け目に潜むものに光彩を与えようとして(…)そのためには「確かに観て、確かに歌う」だけでは駄目で、晩年になって作品が抽象化していったのはその現れ…〉ここすごく気になる。写実と抽象の境界線に遊ぶ感じ、かあ。

②「吉川宏志の推敲アドバイス」〈短歌の文体にも、時代の流行のようなものがあって、前衛短歌の時代のような緊密なリズムは、現在では浮いてしまうことが多いです。ただ、最近の起伏のないなだらかなリズムの歌も、いつかは飽きられてゆくのだろうと思います。〉ひと昔前、というのが一番古臭く見える。特に、ある時代において最も流行の先端に見えたものが、最も古びるのが早い。だから吉川の予測は順当な予測だ。まあ、言われて初めて誰しもそう思うのであって、吉川のように気づいて言うのは誰にでもできることではないが…。次はどんなリズムが来るのかな。

③今野金哉「古関金子(きんこ)と短歌」たれゆゑにみだれそめにしこのこころとくすべもなきくろかみのごと 古関金子〈こうした作品を見る限り、金子は与謝野晶子歌集などを読んでいたと想像されるが、その証はない。〉読んでいたでしょう、間違いなく。

 「エール」は見ていなかったのだが、古関裕而はずいぶん話題になったので、うっすら知っている。その妻の金子が明星風の短歌を詠んでいたとは。たった一冊の手書きの歌集にあった歌らしい。ご家族の方の文章だろうか。

2021.3.31.Twitterより編集再掲