『現代短歌新聞』11月号
①佐藤文香「現代俳句採集」
〈初冬の句会に秋の句を投句したところでお咎めはないが、なんとなく「粋」ではないというのが、有季派の俳人の共通認識だろう。〉
短歌も、歌会に季節外れの歌が出ると、なぜ今?ということが議論されがち。やっぱりライブ感大事かな。
②大井学「染野太朗歌集『初恋』評」
煮魚を食べつつきみと黙つたがちよつと目の合ふ一瞬はある 染野太朗
この歌に対する大井の評が良かった。リアリティがあった。
③外塚喬「短歌レッスン」
咲きかけの桔梗のような硬さなり春の制服で子が降りてくる 柳原恵津子『見張田の季節』
〈子どもの成長を詠んだ作品です。「咲きかけの桔梗のような硬さ」の比喩の豊かさが、何といっても魅力的です。〉
確かに。おそらく新品の制服だ。
④JPEGのようだと言われ悪口と気づかないまま五年が過ぎる 生田亜々子
悪口なんだ…。私なら一生気づかないだろう。こういう悪口って本当に陰湿だ。気づいた時が空しい。悪口を言うなら、言われた方が言われたと分かるように言ってほしいものだ。
⑤「田村穂隆歌集『湖とファルセット』を読む会」
〈吉川宏志氏は「身体感覚が鋭敏なのではなく、言葉に鋭敏さがある。身体という混沌を言葉という記号でどう表現しているかを読みとりたい」〉
これは『湖ファル』以外の歌集にも応用できる読みのヒントだろう。
2023.12.4. Twitterより編集再掲