見出し画像

お茶のお稽古の準備 その2


お稽古の準備の話のつづきをしましょう。



先生が途中までしてくださった準備の続きです。



まずはお茶の用意です。


お薄、お濃茶(おこいちゃ)、を濾し器で濾して棗(なつめ)と茶入れに茶杓で入れます。ただ入れればいいというのではありません。入れた後のお茶はこんな形にする、つまり蓋を開けた時にはこんな景色が見えるようにする、という約束があるのです。山型なのか一文字なのか。山型だったら尖った山か、なだらかな山か。横で見ていると砂場遊び気分でできそうに見えるのですが、実際にやるとこれがなかなか難しい。手先がグラついてどこかに肘が当たったりすると、やり直しです。時々息を止めたりしながら、肩の力は抜きつつ、茶杓を持った手先に集中です。



こういう作業、お喋りしながらすると楽しいのですが、気が散るとヘマをする危険度も上がります。そのときお稽古場に居合わせた人と一緒にするのですが、時折相手のしていることを見て、邪魔をしないようにお喋りは控えめにしたり、といった具合です。



次はお菓子の用意です。


お菓子屋さんから届いたお菓子は少し大きめの箱にきちんと整列して入っています。きんとんのような柔らかいものはプラスチック容器に一つずつ。くず焼きのような比較的しっかりしたものは薄いフィルムに包まれた姿で。そんなお菓子をひとつずつ容器から出してそっと壊さないように食籠(じきろう=お菓子器)に入れていきます。


真ん中にひとつ。その周りに6つ、全部で7つ。正面があるものはそれも気をつけながら。きんとんなどの柔らかいお菓子はそっと扱っても、既に食籠に入っているお菓子と当たったりすると崩れますし、何よりも柔らかいので黒文字(くろもじ)が食い込んだり、お菓子器の角に触って、崩れることもあります。



あるいはコロンとひっくり返したりしないようにして、正面をきちんと前にして入れるのが結構大変です。正面を前に向けて食籠に入れるとはいうものの、それなら全部まっすぐ前を向かせて整列させれば良いのかというと、そうでもなく。



例えば四角いくず焼きのようなお菓子全部がピシッと整列して前を向いていると、それはそれで趣きがなさすぎる、ということで、ほんの少し角度をつけて右か左に振って。と言っても90度も回したりすると、もう向きが変わっていますから、そこは調整して、全体の景色も確認しながらです。全部並んだら食籠の蓋をして、水に浸けてあった黒文字を優しく拭いてだいたいの水気を取って食籠の上に。



この黒文字(くろもじ)というのはクロモジというクスノキ科の木で出来たお箸です。これを水につけておいて、優しく拭いて、食籠に載せるのです。拭くといっても、ほんの少し布を当てるだけ、のような感じす。木製ですから、水を吸って、ほとんどびしょ濡れです。でもこれは決して手抜きではなく、たったいま、お客さんのために綺麗に洗って整えたばかりですよ、という意味が込められていて、逆に言うとしっかり拭いてはいけないのです。



今日はここまでとしましょう。




今日もお読みくださりありがとうございました。スキやコメントが励みになります❗️




☆見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーからお借りしました。
micosirop さん、ありがとうございます!


最後まで読んでいただきありがとうございます。 よかったらまた遊びに来てくださいね。 スキやフォローしていただけたらとても嬉しいです。 頂いたサポートで良い記事を書いていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いします。