鴨川の景色に思うこと ー茶道雑誌三月号を読みながら ー
《遠景に桜近景に抱擁す 鈴木六林男(むりお)〉
「はんなりという新季語
この句から連想するのは、鴨川の上流、植物園のあるあたり。その西岸では包容しているカップルがいて、川を隔てた東岸(植物園側)には桜が咲いている。この風景、明るくてはなやか。空気も桜の淡いピンク色になっている。
「はんなり」という語がある。「と」をともなって「はんなりと」と使われることが多く、京阪地方の代表的な方言だ。牧村史陽編『大阪ことば辞典』(講談社学術文庫)には、「はなやか・はればれ・明朗・陽気・くすん