茶道雑誌1月号『心ごころの花〜能ものがたり十二ヶ月 その十七〈翁〉』より
「〈翁〉は、舞台演劇として進化し今に至る能(古称「猿楽の能」)とは別の起源をもつ芸能で、その源は平安時代にまで遡ります。当初は専門の聖職芸能者・呪師(しゅし)が勤める祝祷(しゅくとう)芸(祈りの芸能)でした。現代のわれわれが考える「能」はそれとは異なり、神に祈りを捧げる〈翁〉が済んだ後のいわば直会(なおらい)として、人間たちが楽しんだ寸劇が起こりです。(中略)
当日を迎える役者たちには精進潔斎が求められます。現代では随時簡略化されますが、それでも楽屋内では「別火(べつか)」と