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不安を煽る「教育マーケティング」に巻き込まれないために

昨年11月に約1カ月間取材した記事が、ついに公開になった。
テーマは「子どもへの接し方」。親が良かれと思ってしていることが、実は子どもの好奇心ややる気を奪っているという内容だ。

▼4回連載の第1回記事

探究型の教育実践者・炭谷俊樹さんにインタビューするとともに、子どもへの接し方を学べる講座を取材してその一部をまとめた。講座はリアルとオンラインのミックスで、講座視聴を含めると4回。取材者というよりはいち参加者として、じっくり内容やメンバーと向き合う時間だった。

そして、取材後確実に私自身の子どもへの向き合い方、認識が変わったと感じる。その内容は、是非記事を読んでほしいのだけれど、ここでは記事からこぼれた内容を少しだけ紹介したい。

それは、教育が「マーケティング化」しているという話。特に印象的だったのが中学受験。

最近は、中学受験者増加とともに、その加熱ぶりが問題にもなっている。
私自身、報道だけでなく周りから聞く話も含めてぎょっとすることがあり、なぜそんなに多くの人が子どもに受験させたがるのか、すごく不思議に思っていた。

まあもちろん、内申点の問題とか、公立中学自体にいろいろと問題があるのはわかるけれど、テストの点数順に座席が決まる某塾とか、深夜まで勉強しないと合格できない仕組みとか、それで本当に子どもが幸せになるのか……と思わざるを得ないことが多い。

そこで、炭谷さんのインタビューでもこうした疑問をぶつけてみたのだ。その中で出てきたのが、「マーケティング」という言葉だった。

炭谷さんは、「純粋に行きたい学校があって受験する子もいるから、中学受験すべてが悪いとは思わない」と前置きした上で、「早く(中高一貫校などに)入らないと後々大変になると言われ、親が不安になって受験させるのは、マーケティングに踊らされているだけ」というような主旨の話をしてくれた。

ああ、そうだよな、と深く納得したのだ。塾が中学受験を主導しているという記事をいくつか読んだけれど、やっぱり塾や特定メディアの情報を親が盲目に信じるあまり、子どもにしわ寄せがいっているのだ。

「不安を煽る」のはマーケティングの代表的な手法だけど、さすがにそれを子どもに向けるのは度が過ぎている。親がそうした行き過ぎたマーケティングから距離を置いて、子ども自身を信じて、時には待つ姿勢が大切だと実感したのだった。

そして炭谷さんは、最近は受験だけでなく、「探究」もマーケティングに巻き込まれていると感じているようだ。
子どもの好奇心を引き出すために、こんな教材があります、などという宣伝も見かけるが、必要ない!と言い切る。子どもには元々好奇心が備わっているから、何も与える必要はない。むしろ、その子が好きなことをとことんやらせてあげることが大事。関係ないものを与えすぎるから、子どものやる気が萎えてしまう……、と記事の本題につながっていく。

確かに、私たち親世代は常に不安だ。これでいいのか、子どものために何かできることはないのか……。いつも探しているように思う。

でも、その不安を解消するためにできることは、「〇〇メソッド」や「××式教材」に頼ることではない。炭谷さんのいうように、その子自身をじっくり見ることでしかわからないことがたくさんある。

私も、取材後に子ども自身をよく観察するようになったら、それぞれのいいところがこれまで以上に見えるようになった。そして、不安よりも希望や可能性を感じられるようになった。

今子ども自身が好きなことや楽しんでいることがあれば十分だし、それを遮って他の何かをさせるんじゃなく、もっともっと好きなことをさせてあげたい。今はそう思っている

この辺りの変化は、別の記事で追って書いていきたい。


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