夕食づくり 5:5への挑戦
「新しい家族になるための模索をはじめる!」
そうnoteで宣言してから、もう2ヵ月も経ってしまった。本当に早い……。
だけど、今回ばかりはただ何もせず、漠然と過ごしていたわけではないのだ! 我が家の挑戦は、確実に成果をあげている(当社比)。
さて、「新しい家族像」とは何かというと、親(特に母親)が家族のケアに責任を持つ、という固定観念から自由になり、以下の方針で各自が生活を送ることを指す(私と夫が決めた我が家の目標)。
・基本的に自分のことは自分でする
・必要な家事やケア活動はできるだけ分担する
・お互いの体調や忙しさなどを見て助け合う
▼ここにも書きました。
そもそも、これまでも私たち夫婦は、家事や育児をできるだけ半々にすべく、話し合い、調整し、実践する、を繰り返してきた。その成果もあり、一般的に見れば、かなり分担は進んでいると思う。夫は家事全般でできないことはないし、実際に選択や息子の保育園の支度などは完全に彼の仕事になっている(ちなみに娘は小3でお迎えの必要なし)。
しかし、どうしても分担できないことがあった。それが、「夕食の準備」と息子のお迎えだった。
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夫の仕事の定時は午後19時。保育園のお迎えの18時30分や、その後すぐに始めなければならない夕飯づくりには到底間に合わない(本当はフレックスのはずなのに……)。家事育児分担を進めていた我が家だったが、物理的な壁にはばまれてきた。
一方、私はフリーランスになる前の職場も時間に融通が利いたため、特に話し合うことなく、子どもたちのお迎えや夕食づくりを担当になった。
だけど、「夕食の準備」こそが、家事の本丸なのだ! そう感じているのは、きっと私だけではないと思う。食材の準備や献立づくりはもちろんのこと、毎日の調理現場は時間との戦いなのだから。
帰宅後、「お腹すいた〜! 何か食べて待ってる」とおかしをつまみそうになる子どもたちをなだめすかし、我慢できそうもない日は「おかしじゃなくておさかなソーセージにして!」と冷蔵庫からさっと差し出す。その合間を縫って味噌汁の具を鍋にぶっ込み、となりのフライパンで肉と野菜を炒める。
魚肉ソーセージではお腹が満たされない息子がキッチンに現れ、「ごはんまだ〜? 遅すぎる!」などとグズることもしばしば。「今できるから」と声をかけつつ料理を続け、何とか完成させて皿に盛る。
やっとのことで食卓についても、メニューによっては「野菜が入っているから食べない!」などと言い出す息子……。ああ、途方もなく疲れる。やってられない。
これが我が家の夕食準備の日常である。
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どんなに分担を進めても、平日の夕飯担当が偏っていることに不満が募り、数ヵ月に1回私が爆発して壮大な夫婦喧嘩に発展。このサイクルを何回か繰り返した結果、とうとう夫が「夕食の分担を半々にしよう」と言い出した。それが昨年、2023年末だった。
新しい分担(平日)はこうだ。
基本的に、食事担当が息子のお迎えも担当。夫は在宅勤務のため、朝やお昼休みに食事の準備をしておくか、どうしても間に合わなければ延長保育にして19時30分までに迎えに行き、その後夕食を作る。
確かに、これが実現すれば、これまでの負担はかなり軽減するな、と感じた。ただ、本当にできるのかなぁ……というのが正直な気持ちだった。
とはいえ、何事もまずはやってみなくちゃ始まらない。そう思って、年明けから新分担制度をスタートさせたのだった。
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フタを開けてみたら、3月中旬現在もこの分担で回っている我が家。すごい! ここまでうまくいくとは予想外だった。
そして、この2ヵ月の間に、私の心境と夫の行動に驚くべき変化があった。具体的に紹介したい。
◆料理づくりの「嫌だな」が半減
私が毎日夕食づくりを担当していたときは、料理がとても負担だった。何を作るかを考えるのがまず悩ましいし、実際に作ると疲労困憊。
でも、それが半分になったら、ものすごくラクになった。以前は「常に食事のことを考えてる感」があったけれど、今や週の前半前(というか2日)だけ。いつものクセで、水曜日の朝やお昼に「何作ろうかな〜」と冷蔵庫・冷凍庫を開けて、「あっ、今日は考えなくていいんだ!」と気づいたときの開放感といったらない(笑)。
分担で機嫌良く料理に取り組めるようになり、日々のメンタル状態も良好だ。
◆問題だったのは「不平等感」
とにかく短時間で作らなくてはいけないのが夕食。時間はトータルでもおそらく約20分程度だが、最中はあまりにドタバタして、「もう、何で私ばかり……」という気持ちが高確率で押し寄せた。
でも、分担以降は「いやいや、夫もやっているのだ。私だけではない!」と思えるように。嫌な気持ちになることはなく、淡々と準備を進められるようになったのだ。
自分の変化を目の当たりにして、ああ、私を苦しめていたのは「不平等感」だったんだなぁ、と実感した。
実際の手間だけではなく、「女性というだけで家族の食事全般の責任を負うことになっている」という現実、それにどうしても納得がいかなかったのだ。もちろん、我が家の場合は自分たちの意識というより夫の職場の事情が大きかったわけだけれど、何となく「女性がするもの」という当たり前を受け入れていた。それがつらかったのだと改めて実感した。
◆夫の行動が変わった!
そして、何より驚いたのが夫の変化。
夕食づくりを分担してから、目に見えて「隙間時間の家事」をするようになったのだ。
休憩時間が10分あったら、ちょっと野菜を切っておこう、味噌汁の準備をしちゃおう。そんな具合に家事をこなしている。それまでも在宅勤務だったのだから、やろうと思えばできたこと。だけど、日々の夕食づくりの一部を担うようになって、考え方が変わったそうだ。
曰く、「夕食づくりは時間のないなかで完成させないといけない。その大変さが身に染みてわかった。ちょっとした時間でできることをやっておけば、後々ラクだから」とのこと。
そしてなんと、時より隙間時間が長く発生すると、担当でない曜日でも料理してくれるようになったのだ。うれしすぎる。「やれることをやれる時に」が身について、家事能力が確実にアップしている!
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夕食分担開始前の私は、料理の実質的な負担が減ることしか想定していなかった。でも実際は、ずっと苦しんできたジェンダー不平等感も軽減される思わぬ効果もあって、心が軽くなった。しかも、夫にものすごく感謝するようになり、夫婦円満度も上がったと思う(笑)。
夫本人も、思っていたより大変そうではないから不思議。まあ、「これを毎日やっていたのね、お疲れさま」的な気づきはあったようだが。最近では短時間料理に磨きをかけ、「今日のおかずおいしかったでしょ⁉︎」と子どもに良い感想を迫るなど、結構楽しそうだ。
そして、私は密かに反省した。というのも、実は1年ほど前も似たようなことに挑戦したのだが、2週間ほどで何となく元に戻り、夕食づくりは再度私の仕事になってしまった、という過去があったから。
当時は夫が忙しそうだったり、支度を忘れてしまったりしていると、「仕方ないな……」と無言で肩代わりをしてしまっていた。その流れで、決めたはずの役割がうやむやになった。
今回も最初の頃は、「今日担当だけど大丈夫? 無理なら代わろうか」などと声をかけていた。けれど夫は、「そうやって忙しさを理由にやってもらったら、結局最後はしなくなる」と言い、何かとやり繰りして分担を続行してくれたのだ。
夫のこうした姿勢がなければ、また同じことになっていたかもしれない。強く望んでいるつもりなのに、実は自分自身が変化を妨げている……。こういうことは意外と他にもあるかもしれない。
家事平等化を進める上で、本気度が足りなかったのは私のほうだった。今後も「新しい家族」を目指す上で、自分の中にある「変化への弱さ」をしっかり自覚しておかなければ。そう心に刻んだ。
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