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第9回 知財若手の会 ~若手で実践「IPランドスケープ」~を終えて(4/13 14:00~17:30)

※本記事はLeXi/Ventブログの再掲です。
作成者:あや

はじめに

こんにちは。知財若手の会の運営のあやです。
4月13日(土)に知財若手の会の第9回のイベント(若手で実践「IPランドスケープ」)を開催しました。イベントの振り返りと今後の活動についてお話しします。

知財若手の会は「若手」で語る知財をコンセプトとして活動しており、イベントを中心に若手同士で語る・発信できる場を提供することが目的です。詳しくは以下のnote記事をご覧ください。


第9回 知財若手の会について

今回は知財若手の会のゴールドスポンサー株式会社イーパテント様とのコラボイベントで、初のワークショップを開催しました!
株式会社イーパテント代表取締役社長の野崎篤志さんにファシリテーターをしていただき、オフライン(ビズステーション新橋)での実施となりました。

前半は野崎さんからIPランドスケープについてのレクチャーをしていただき、後半はグループに分かれて新規事業提案のワークショップ・ディスカッション、発表会を行いました。


プログラム紹介

  • 開会挨拶(10分)

  • 野崎さんレクチャー(30分)
    IPランドスケープとはいったい何なのか?
    パテントマップを読めるか?
    パテントマップからインサイトを抽出する

  • ワークショップ・ディスカッション(140分)
    ミニ演習:個人知と集合知を体験しよう!
    ダイソンの次の事業展開は?

  • 発表会・閉会挨拶(30分)


野崎さんレクチャー

ファシリテーターご紹介

今回ファシリテーターをしていただいた野崎さんは、株式会社イーパテントの代表取締役社長であり、K.I.T.虎ノ門大学院の客員教授、大阪工業大学院の客員教授でもいらっしゃいます。
特許情報調査・分析パテントマップ作成に関する書籍を出版されているほか、YouTubeチャンネルやnote、SNSなどで情報を発信されており、有料マガジン「Weekly特許検索・特許分析」も配信されています。

<参考>
書籍「調べるチカラ」(日本経済新聞出版社)
書籍「特許情報調査と検索テクニック入門」(発明推進協会)
書籍「特許情報分析とパテントマップ作成入門」(発明推進協会)
イーパテントYouTubeチャンネル
野崎さんnote
野崎さんTwitter(X)
有料マガジン「Weekly特許検索・特許分析


IPランドスケープとはいったい何なのか?

最初はIPランドスケープとは、というテーマのお話でした。
IPランドスケープにおいて重要なポイントについて、野崎さんから以下の2点を中心にご説明いただきました。

  • 特許情報を中心とした知財情報をビジネスに役立てる

  • ビジネスに、特許情報・知財情報 ”も” 活用する

事業に活かす特許分析・パテントマップの肝はビジネス視点を組み込んだ分析軸の設定と、ビジネス環境を踏まえたパテントマップの解釈とのことで、独自の分析軸を用いた分析についてお話しいただきました。


パテントマップを読めるか?

パテントマップからインサイトを抽出する

続いて、パテントマップの実例を基に、パテントマップの読み方についてレクチャーいただきました。
特許の出願件数の増減について、その年の出来事や経営・事業方針の変更、マーケットニュース、法規制、人といった特許・知財以外の情報にも着目し、マップを深く読んで考察することから戦略を立案するということをお話しいただいたほか、パテントマップを読み解く基本パターンについて解説いただきました。
知財情報分析・IPランドスケープのゴールは分析を行うことではなく、「依頼者の行動につながること」というお話が印象的でした。


質疑応答

ワークショップを行う前に、野崎さんへの質疑応答の時間を設けました。多数質問をいただきましたが、一部を抜粋してご紹介します。

Q.分析軸のカテゴリを作成する際、技術的に難しい場合はどのように対応しているか?
A.まずはChatGPTに聞いてみる。その他には、既存の特許分類の枠組み(Fタームなど)を活用する。

Q.独自の特許分類の検索式はどのように組み立てているか?
A.分析は設計図を作成するようなものであるため、関係者との事前の目線合わせが重要。分析したいことをベースに軸を作成する。

Q.IPランドスケープの失敗例にはどのようなものがあるか?
A.現状で困っていない人が依頼をすると、やりたいことが曖昧で依頼の解像度が低いことから失敗しやすい。

Q.依頼の解像度はどのようにして上げられるか?
A.自分がどれだけ引き出しを持っているかが重要。依頼者の置かれている状況を踏まえ、どのようなことで困っているかのパターンを想定する。
ケーススタディとしてリーガル系の映画やアニメを参考に、課題やその対応策についてストックしておくのも良い。



ワークショップ・ディスカッション

野崎さんからのレクチャーの後、1グループ4~5人の4グループに分かれてワークショップを行いました。
ご参加いただいたほとんどの方がPCを持参されていたため、GoogleスプレッドシートやGoogleスライドを活用したリアルタイムでの作業が可能になりました。


ミニ演習:個人知と集合知を体験しよう!

ワークショップの初めに、アイデア創出方法の「アイデアステアリング」を実践するためのグループワークが行われました。
内容としては、「若手」で思いつくキーワードを挙げ、グループの中で最もユニークと思われるキーワードを選ぶというものでした。

3分間の個人ワークの後にグループディスカッションが行われましたが、「若手」は全員に共通するテーマであったことから、どのグループでも話が盛り上がっている様子が見て取れました。
ちなみに、各グループから選ばれたユニークなキーワードは、「貯金少なめ」「タクシー」「大谷翔平」「将来のスター」でした。

アイデアとは既存の要素の組み合わせ自分の中にある知識のリンクであることから、メンバーの知っていることをいかに洗い出し、アイデアを生み出すための知識のバリエーションを増やすことがいかに重要かを体感するグループワークとなりました。


ダイソンの次の事業展開は?

ワークショップは「ダイソンの次の事業展開は?」というテーマにより以下のポイントでディスカッションを行い、制限時間内に新規事業提案の発表用スライドを完成させるというものでした。

  1. ダイソンの強みは?(技術だけでなく、用途も組み合わせて検討)

  2. 強みを生かした新たな事業展開は?(強味技術を生かした新たな用途展開だけでなく、技術資産の活用方法の提案も可)

なお、分析・検討用の資料として、下記の資料が提供されたうえで各グループの議論が行われました。
今回は時間的制約もあったことから調査資料は野崎さんからのご提供となりましたが、実際に分析を行う際の切り口やデータの取扱いについて参考になった方も多かったのではないでしょうか。

・ダイソンの製品ラインナップ
・特許・実用新案の分析母集団と分析軸
・ダイソンの出願状況(推移・発行国別累積)
・ダイソンの用途別出願状況
・ダイソンの用途出願ポジショニングマップ
・ダイソンの技術別出願状況
・ダイソンの技術出願ポジショニングマップ
・ダイソンの用途×技術ファミリー数分布


発表会

ワークショップの後は新規事業提案の発表会が行われました。発表会では参加者の投票により優勝グループを決定しました。
各グループで着眼点や分析の切り口、発表スライドの作り方も様々で、非常に面白い発表ばかりでした!

各グループの発表資料について、以下に掲載しますのでご覧ください!

投票の結果、優勝したチームは「グループC」でした!優勝チームのメンバーには、野崎さんから著書のプレゼントがありました。

発表会の後は、野崎さんだったらどのような新規事業を提案するかというコメントや、分析ストーリー構築力の付け方や分析結果のまとめ方に関する参考書籍のご紹介をいただく時間となりました。


おわりに

今回は少人数でのワークショップ開催となりました。
これまでは講演形式のイベントがメインだったためワークショップは初の試みでしたが、どのグループでも活発に議論が行われ、非常に盛り上がっていた様子でした。

IPランドスケープがテーマということで企業の知財部でお勤めの方の参加が多かった印象ですが、知財部に配属されてすぐの方やかなり経験が豊富な方、実際にIPランドスケープを業務で行っている方や全く行ったことがない方など、バックグラウンドは様々でした。
遠方からご参加いただいた方もおり、ありがとうございました。

また、野崎さんもお忙しいところ知財若手の会とのコラボイベントの機会をいただきありがとうございました。
前半のレクチャー、後半のワークショップの双方とも身近なテーマが題材となっており、普段IPランドスケープを実践する機会がない若手にとって、非常に分かりやすくかつ面白さを実感する時間となったのではないかと思います。
また是非ご一緒にイベントをさせていただく機会をいただければ幸いです。


第10回 知財若手の会について

次回の知財若手の会は6月15日(土)に東京でオフラインイベント(若手で学ぶ「スタートアップ支援業務」)を開催します。
詳細についてはconnpassやX(Twitter)をご覧ください。
その他にも、オンラインでのイベントなども色々と企画中です。


以上、今後とも知財若手の会をよろしくお願いいたします。

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