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【特許の鉄人】イベント開催レポート

こんにちは、知財塾運営です。
2023/7/18夜、渋谷・東京カルチャーカルチャーにて行われた第3回「特許の鉄人」は、大盛況のうちに幕を閉じました。この記事では当日の熱戦の様子を振り返ります。


コロナ禍の沈黙を破り、3年ぶりの開演

世間は3連休明けの火曜日の夜、とても暑い日でした。開場から開演までの30分で、あっという間に場内は満員。コロナ禍で各所において自粛されていたオフラインイベントがようやく解禁されてきたタイミングだったこともあり、場内ではドリンクやフードを片手に観客同士の交流・名刺交換などが活発に行われていました。
司会の河原あずささん(あずさん)による軽快なオープニングトークで、賑やかな場がさらに温まっていきます。

渋谷会場のお客様は東京近郊の方と思われましたが、名古屋・神戸などの遠征組も

第1試合:世界の発明対決

いよいよ第1試合。選手が舞台袖から入場。谷選手、田村選手ともに緊張の面持ち(田村選手の被り物で会場はひと沸き)。戦いの火蓋が切って落とされました。

小粋なドレスアップの谷選手 vs 被り物で登場の田村選手

第1試合の発明品は、薪割り機。「キンドリングクラッカー」という、ニュージーランドの13歳の発明家が発明したもので、力の弱い方でも簡単に薪が割れる画期的な発明です。
発明プレゼンターのWIPO日本事務所長・澤井さんによる説明、株式会社アールシーコア・勝間さんによる薪割りの実演も行われました。あずさん曰く、「カルカルで薪が割られたのは初めて」だそうで(そりゃそうですよねw)東京カルチャーカルチャーの歴史に名を刻む瞬間でもありました。
両選手にも実際に薪を割っていただく予定でしたが、緊張しすぎてそれどころではないお二人でした。

制限時間は25分。選手は発明プレゼンターに発明についてヒアリングを行いながら、発明を権利化するための特許明細書の要部・クレームを書き進めます。
会場のモニターに投影される両選手のクレーム。来場者のみなさんは食い入るようにモニターを見つめながら、周りとディスカッション。解説の鮫島先生は「俺も書こうかな」と自らドラフティングに参戦(!)。
オンライン視聴のみなさんも、資料を手元で調べたり、自分だったらどのように考えるかをツイートされていました。
オフライン・オンライン双方向で、緊迫した試合を見守る時間が流れます。

真剣なクレームドラフティングの様子

谷選手は過去最速・時間を8分残してクレームを完成。対する田村選手は時間いっぱいまで熟考し、制限時間が終了。
クレームを先に完成させた選手がプレゼンテーションの順番を決められるルールですが、谷選手は後攻、田村選手が先攻。
どのようにクレームが書かれたのか、選手が3分間のプレゼンテーション。審査員・解説から選手への質疑応答を経て、プレゼンを聞いた来場者・配信視聴者・審査員が勝敗を投票で決定します。

ジャッジのポイントは以下の3点。

  • 発明のポイントを的確に抑えてしっかりと文章にできているか

  • 従来技術との差異を明確にできているか

  • 実際のビジネスに役立つクレームになっているか

田村選手、おめでとうございます!

投票の結果、超僅差で田村選手の勝利!
「特許の鉄人」過去開催回の出題を研究し尽くし、スピードで勝負に出た谷選手に対し、時間を使って考えに考え抜いた田村選手。どちらもこの短時間では到底考えられないくらい完成度の高いクレームを書ききられました。「甲乙つけ難い」とはまさにこのことと言える、素晴らしい試合でした。

第2試合:妄想未来発明対決

休憩・スポンサー様の告知タイムを挟み、第2試合がスタート。
佐竹選手、綾木選手が入場します。大緊張されていた第1試合のお二方とは対照的に、落ち着いた入場が印象に残っています(なおこの頃第1試合の選手陣はビールタイム)。

第2試合の発明品は、脳波買取。買い取られた脳波データを絵画に変換し、販売するというビジネスモデルがクレームの対象です。
発明プレゼンターの株式会社知財図鑑・荻野さんの説明と、加島先生による想定されるビジネスモデルの使い道、先行文献の説明。
加島先生の脳波が実際に買い取られる映像を見ながら、両選手はクレームドラフティングを進めます。

1秒1円の脳波(100秒間で100円)を買い取ってもらう加島先生。
この後この脳波は10000円の絵画に変換されました

第1試合は構造物に関する特許でしたが、第2試合はビジネスモデル特許。
そしてテーマが特殊な「脳波」ということで、第1試合と比べ、発明プレゼンターへのヒアリングに制限時間の大半を割く両選手。
制限時間内にクレームが完成するのか、ややハラハラする場内…。

などと言っている間に、綾木選手のモニターで選手自作のチェックツール(wordのプラグイン)が突然走り出します。ざわつく場内にツールのデモンストレーションをする綾木選手。試合中に営業する先生、これもまたイベント史上初の出来事でしたw
対して、左側のテーブルを開けてクレームを書き進める佐竹選手。クレームドラフティングの中身だけでなく、書き方にも両選手の個性が色濃く現れました。

佐竹選手が先にクレームを完成し、プレゼンテーションは先攻を選択、綾木選手は時間いっぱい使って後攻。
脳波買取におけるユーザー体験を重視したクレームの佐竹選手、脳波のアルゴリズムに着目したクレームの綾木選手。一つの発明との向き合い方は、弁理士によっても大きく異なることに気付かされます。

プレゼンテーションも対照的なお二人でした

プレゼンタイムを終え、緊張の結果発表。来場者・配信視聴者票はほぼ引き分け、審査員票で佐竹選手に軍配が上がりました。
発明に対して、どのようにクレームを書くかは、弁理士によって好みが分かれるところです。しかし、「脳波買取という新しいビジネスモデルについて、ユーザー体験を権利化する方が結果的に広い権利を取得できるのでは」との押谷・松本両審査員の評価が、勝敗を決することになりました。

こちらも衝撃の試合結果に。佐竹選手、おめでとうございます!

選手のみならず、審査員・解説・来場者も頭脳を消耗した(コメントを求められても言葉が出ないくらい…)第2試合。この瞬間、みなさんの脳波データを取得していたら、非常に高価に買い取ってもらえたのではないでしょうか。
第2試合も第1試合に引き続き大接戦の名試合でした!


社長「来年もやります!」

イベントの最後には、知財塾・上池が壇上に呼び込まれ、イベントを総括。
あずさんに促される形で「ちなみに第4回、やりますか?」「年1ぐらいでやりたいですね…来年もやります!」と言い切り、会場は大きな拍手に包まれました。

社長!

反響

「#特許の鉄人2023」をハッシュタグとして、Twitterに投稿いただいたみなさまのツイートを、togetterでまとめました。

「特許の鉄人」を再開するにあたり、準備段階からみなさんが活発にツイートしてくださり、色々なツイートがとても楽しく興味深かったです。みなさんが寄せてくださった期待や感想が、このイベントを作ったと言っても過言ではないと思います。

「特許の鉄人」公式Twiiterアカウントでは当日の模様をひたすら実況中継しました。当日のご来場が叶わなかった方、リアルタイムでご覧いただけなかった方にも、会場の雰囲気が少しでも伝わり、お楽しみいただけていたら嬉しいです。


8/1までツイキャスで見逃し配信中!

2023/8/1 23:59まで、アーカイブが視聴できる配信チケットをツイキャスで引き続き販売しております。
「こんなイベントあったんだ、知らなかった」「行きたかったけどチケット買い忘れちゃった」「見に行ったけどもう一回見たい」…そんな方はぜひ配信チケットをお買い求めいただき、イベントの様子をお楽しみください!


熱戦の舞台裏

「特許の鉄人」の発案者である加島先生が、今回のイベントをご自身のnoteで振り返っておられます。イベントのコンテンツを作る側が見ていた景色はどのようなものだったのか、ぜひ合わせてご覧ください。

第1試合の審査員を務められた木本先生もnoteでイベントを振り返ってくださいました。前回選手で出演された先生ならではの視点、臨場感のある記事です。


おわりに

「特許の鉄人」にご来場いただきましたみなさん、オンラインで視聴してくださったみなさん、出演者のみなさん、スポンサーのみなさん、本当にどうもありがとうございました!

出演者全員集合。お疲れ様でした!

来年、第4回「特許の鉄人」で、またお会いしましょう!

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