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【知財塾】侵害予防調査ゼミの感想

こちらの記事は、実際にゼミに参加された受講生の畑澤匡広さんに寄稿いただきました。知財塾ゼミへの参加をご検討されている方の参考になりましたら幸いです。
本ゼミは終了しておりますが、演習資料とゼミ動画のセットを、WEBサイトにおいて引き続き販売しております。ご興味がある方は、ページ最下部のリンクよりご確認ください。

自己紹介

こんにちは、ゼミ受講生の畑澤匡広と申します。現在外資の化学系のメーカーで事業部の開発職をしております。これまで知財部としての実務には携わっておりませんが、研究開発の者から見た知財塾という事で僭越ながら感想を以下書かせていただきます。

受講の背景・動機

これまで研究開発を通して知財に触れる機会が多く、また博士課程の時から関連論文を探すのが得意だったり、在籍研究室に現役審査官の方が学習のために在籍しておられたりしたこともあり知財・情報スキルに強い関心がありました。

一方で研究‐知財‐事業部の間の連携で知財の情報が活かされない、知財部が円滑な事業化の障害になる事案を多く目にしてきました。多くは担当者間の情報伝達・相互理解の不足から起きるもので、だれかが間を取り持つことでこれは解決しやすくなるのでは?と考えました。

このような考えから研究・事業部の経験と知財情報の知識を持って様々な判断ができるようになりたいと考え、ゼミなどを探すうちインターネット受講できる知財塾と出会いました。受講料や期間の長さから躊躇していたのですが、角渕先生が侵害予防調査ゼミをされ、発明者とのヒアリングやコミュニケーションについても学べると聞き、先生のご経歴、書籍を読んだ経験もあって思い切って受講に踏み切りました。

学んだこと、身に付いたスキル

本セミナーを受講する中で学び取れたと強く感じた点を挙げます。

1.侵害予防調査の独特の「小集合をたくさん作ることで広い範囲をカバーする」手法

受講当初、どうしても調査というと先行技術調査のような発明特定事項を掛け合わせて絞り込むような形に無意識に持って行ってしまう癖がありました。演習の中ではなぜその方法ではダメか、どのように立てていけばよいかをベン図を使いながら丁寧に教えていただけました。

また、検索式について自身がどのように考えたのかを他の受講生と突き合わせながら発表し、先生に講評いただけます。「あってるかどうか」ではなく、考え方の道筋を立てていただけるので何度も見直し、直接質問などをする良いきっかけになると感じました。

2.検索式の立案などに必要な情報整理・ステップへの習熟

依頼主へのヒアリング方法・ヒアリング内容をもとに発明を特定する方法・予備検索からFI、Fタームやキーワードをどのように整理発見するかを毎度丁寧に見直して頂けます。個人的にはここは感覚(経験則)でやっていたために最も苦戦したところでもあり、また大きく成長を実感できた点でもありました。
毎度整理や特定が適当だとそのあとの検索方針も偏った、ずれた方向に行ってしまいがちなため、注意して演習を行うようになりました。

3.検索式を自分で見直す習慣

これまで、検索式は作ったものの、最終的な結果を見て「まぁある程度カバーできていそうだし大丈夫かな」という作りっぱなしが身についてしまっていました。ゼミを通して観点や発明の整理をきっちりとすることで、自分が何かを忘れていないか、件数は適切か、不適切なFIなどを使っていないかを後から精査する癖がつきました。

4.予備検索・スクリーニング・読み込み・対比の勘所

それぞれの検索の段階での式の立て方、読み方、コツ等先生からこれまでの経験に基づいて様々な役に立つTipsを教えていただけました。
また、実際にクレーム対比などを行ったときには特許法の解釈、判例に基づく微妙な部分なども見られ、私だけではうまく判断ができないところが多々ありました。DMで先生に助力を求めたところ色々な資料URLや一般的な判断方法などを丁寧に教えていただけたため、弁理士、知財部でない方でも安心して受講できると感じました。

5.依頼者への伝え方・報告の仕方・進捗の伝え方

全てのステップを終えた後の報告のパートでは「弁理士法人として」「調査会社として」等様々な立場からどこまで踏み込んだ話をするか、トラブルを防ぐためにはどのようにコミュニケーションを取ればよいかをとても詳しく教えていただけました。当然ケースバイケースの部分が多いかとは思いますが、相手の様子を見ながら伝える手法が学べると思います。
また、先生の解答例や報告書例も非常に見やすいレイアウトとなっており、人に伝える資料作りという意味での伝え方でも参考になるのでは?と思っています。このような伝え方は知財以外の仕事の部分でも生きてくると考えています。

1~3のようなテクニカルな部分だけでなく、4のような経験+特許の知識の部分、5のコミュニケーションの部分まで踏み込んだゼミは回数の多い知財塾ならではと考えます。

スキルが実務で活きたこと

〇研究者の発明・リスクの明確化

どうしても研究開発をすると「自分の発明はすごい」という話をしてしまい、冷静にリスクの話をすることは開発側の立場からは難しくなりがちです。今回のゼミを通して、事業内容や実施品から客観的に発明をとらえる練習がいつもと異なる分野を通してできたため、他の人の発明内容を以前より冷静に様々な観点から特定できていると感じています。

また、発明特定事項をまとめて伝えることで技術者が「この要素が入っていない請求項はありそう」などと、侵害のリスクを経験から思いつきやすくなっているようにも思います。検索というよりも「思考の整理」の段階ですが、コミュニケーションの改善はこういった基礎的なところから発展するのかな、と感じています。

〇検索式の説明の明確化

会社での先行技術調査や開発段階の簡易FTOの際、検索式を人に見せるときに「見ただけで検索者のストーリーが読み解ける」を一つの指標にしてきたつもりで居ました。しかし「なぜこの概念掛け合わせを行ったのか」などを考える指標がこれまでは曖昧でした。

今回のゼミを受け、検索立案の思考のステップをゆっくりでも合理的に人に説明できるようになっていることに気が付きました。
いろいろな分野を経験していく段階はこれからの課題ですが、他社との共同開発の際にいち早く知財リスクを提示できるような立場になることができればと希望を感じています。

全体的な感想

改めて今回のゼミではプロのサーチャー、弁理士の角渕先生だけでなく、他の学ぼうとしている受講生の方の説明を直接聞けたことが大きなモチベーション、収穫になったと感じています。
上記で書かせていただいた学べるポイントも「入り口を知ることができた」段階であることを強く認識しながら、目的に応じた検索を行う事、コミュニケーションをとることを忘れないようにしたいと思っています。

また、今回の事でさらに自身の知財をR&D、ビジネスへ活用する力を上げていきたいと感じることができました。知財塾でも、引き続き文献分析に関するゼミや先行技術調査についてもぜひ機会を自分から見つけて受講しに行きたいと考えています。

最後になりましたが角渕先生、チューターの田中さん、代表の上池さん、同時に受講頂いた皆様、このような機会を頂きありがとうございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本ゼミは終了しておりますが、ゼミに使用した演習問題とゼミ動画のセット(自主演習コース)を、WEBサイトにおいて引き続き販売しております。詳細は、以下のリンクからご覧ください。

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