【映画感想】若者のすべて(1960年)
ひでー話。。二度は見たくない。まして長いし…
「テメーのケツはテメーで拭け!」が、この映画の最も訴えたいことかなと思った。
昔のドラえもんのジャイアンの母ちゃんみたいな、ダミ声の太った母ちゃんと、五人の息子たち。
大黒柱を失ったけど、母親に対する愛情に溢れた、立派な息子たちの家族の様子に、わぁ〜♪いいな〜と最初の方はなるものの、遂には家族から殺人者を出すまでになってしまう…
美しい息子たちの中でも一際目を惹く、アランドロン演じる三男のロッコ。
クズの次男、シモーネの莫大な借金を、ロッコが肩代わりするなど、ロッコがシモーネを「救おう」とすればするほど、事態は酷くなり、遂に最悪の結果になってしまった。
映画の最後の数分で、四男のチーロが涙を流しながら語るとおりで、彼だけが常に的確で、希望だった。
ほんと、借金の肩代わりや犯罪の隠蔽なんて、助けるどころか、相手をますます依存させて駄目にするだけだ。
兄のシモーネを一番愛していたと泣くチーロや、シモーネを庇うロッコを見れば、どうしようもない人間のクズのシモーネも、幼い頃から一緒に過ごしてきて、楽しい思い出やいいところはやはりたくさんあったんだろうと思う。
突き放すのが正論だとわかってても、チーロはどんなに辛かったろう。
こうなったのは全部、殺されたあの女のせいだとわめく、ありがちな母親や、自分を責め続けるロッコの中で、「自首しろ!」と震えながらシモーネに怒鳴って、家族を振り切って警察に通報に行った、まだ十代のチーロ。
チーロがいなかったら、あの家族、どうなってたことか…
貧しい中でも、チーロは堅実に夜学で勉強して、技術職に就いて、可愛い恋人もできたのに、彼の職場や結婚にも、不利なことになっただろうね…
文豪ストレイドッグスの太宰の台詞に「自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」というすごく好きな言葉があるけど、チーロだけが、それを解っている気がした。
シモーネに殺された女は、確かに可哀想なことは多くあっただろうけど、自分を憐れむ口癖が、あの結果に繋がったと思った。
それにしても、アランドロンというか、ロッコは画面に入るとどうしても持っていかれる。
龍が如く7の、「若」みたい。ほっとけない、気になってしまう存在。美形なだけじゃなくて、ちょっとシャイな感じがあるからかな。
日本人なら、黒髪のショートが似合う、尾崎豊やSnow Manのめめさんみたいな端正な顔立ち、雰囲気があると思った。
シモーネの途方もない借金返済のため、ボクサーになったロッコ。
殴っていると憎しみでいっぱいになって苦しいと涙を流すロッコが痛ましい…
貧困は辛いが、生まれ育った静かで自然の美しい南イタリアに帰りたいと話すロッコは、なんだかザリガニ釣りが大好きなめめさんに重なってしまった(笑)
ロッコは、本当はそうやって穏やかに暮らしたいだけなのにね…
それにしても、この時代の殴るシーンは、演技なんて気休めな感じでほんと痛々しい…
刺すシーンは演技らしかったけど。