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『明治浪漫綺話』全巻感想
ネタバレ全開です。ネタバレがお厭な方はスルー推奨。
明治、女学院、吸血鬼とのラブロマンス!
タイトルには『めいじろまんストーリア』とルビが振られているのですが、このルビをはじめ、360度どこから見ても好きなエッセンスに包まれている物語で、読む前から期待大だったんですよ。
全6巻。最初4巻発売時にまとめ買いして、5巻発売時にはそれぞれが行こうとしている道に悶絶しながら読んで。
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最終巻も悶絶しながら読んだ。
主軸は恋愛物語なんですけど
雅様と東さん
浪漫とあるぐらいですから、恋愛物語です。
主人公・十和ちゃんとルイス先生の恋路は勿論、
雅様と東さんの、恋愛を突き抜けた関係――本文で、十和ちゃんが『敬慕』と表現している関係も、すごく好き。
5巻読了時のノートにたくさん書いているけれど
特に3巻116ページ
「御後室様はお帰りになると仰っている
道を塞ぐならば容赦せぬぞ」
このシーン、奥方様と用心棒という関係に隠れた想いあいに、私の胸が高鳴った。
最期、通じ合うどころか、『敬慕』を確認し合って終われたようで、本当にうれしい。
御祖父様と正芳伯父様
十和ちゃんが現在の状況に突っ込まれる遠因?となったお二人ですが。
『お人好し』が過ぎての窮地なのかなと思います。
だからこそ、最終巻での『秘策』が二人を楽にしたのだろうな(現実ではそんな簡単に楽になれると思いませんが)
ルイス先生
問題の吸血鬼。
この人は恋に落ちた理由に自覚的でいらっしゃる。
たとえば、3巻128ページ
「なんて言うのかな
『憂いが晴れる』っていうの……?
パッとしたというか…
景色が明るく見える感じだ」
聞かされておいるルドルフの表情が見たい惚気だった。
とはいえ、吸血鬼ですから? そこに起因する悩みもあるんですよね。
それがこの物語の主軸で。
さらに、それを乗り越えるために十和ちゃんは強くなったんだろうなと思うと……
物語の『時代』と合わせて、感極まるものがあります。
三人娘(5巻表紙の彼女たち)
主人公の十和ちゃんはもちろん、
名前のおかげでちよさんが好きだし、
恋愛小説マニアに変貌した麗子様も好きである。
最終話で語られる3人それぞれの活躍にニヤニヤできた。
ってか、麗子様の変化がすごい。
悪役令嬢からの親友ポジション、納得のいかない結婚かと思わせてしっかり旦那を掌の上で転がし、果てには婦人会で大活躍である。
すごい。
最終巻後書では学院時代の級友たちをフォローして回っているのだろう様子も伺えた。
すごいしか感想が出てこない。
ちよさんは逆に、最初の「勝気で時代の先頭を行く女性」のイメージのまま、『女学生の憧れ』ポジションまで突っ切られて。
カッコいいなあと思う。
1巻初手に出てくる女性は、未来のちよさんかと思っていたんですよね。
最終話で、「あー…!!!!」ってなった。
感極まるものがある。
世の中の綺麗さを凝縮したような
物語の舞台は明治前半。
伊藤博文とかヴィクトリア女王とか
鹿鳴館とかドレスとか女学院とか
そういうものが『エッセンス』として使われる世界観。
事実の明治前半はこんなに明るい雰囲気でなかったかもしれない。
物語の終幕で語られた三人娘の活躍のような現実は無かったかもしれない。
それに種族を越えた恋だって…… 同じ人間同士だってすったもんだするというのに、本当に成立するのかと首を傾げてしまう。
でもね、こういう物語に夢中になっている時は、夢中になった後は、
希望が信じられてしまう。
最終巻で作者の音中さわき先生が
「最初に考えていた終わり方とはかなり違った結末」
こうおっしゃっているけれど、紛れもない大団円だっと言える物語で
それがとても嬉しく感じられた。
これって幸せだと思うんです。
希望を持たせてくれる物語っていいなぁと改めて思った次第。
今後も折に触れて読み返すだろう物語が増えて、私は幸せです。
電子書籍で買っちゃったんだけど、読み返すのに便利だから紙書籍も買っておこうかな……
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