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工芸品の根っこにあるもの。

「工芸品の繊細さは、どこから来るのか?」

私が12年前に工芸品に出会い、その機能美に惚れ、今まで何度も何度も考えてきたことであり、こうして皆さんに提供していくこととなる原点です。

なぜを繰り返していくと、どうしても日本の伝統や精神に行き着いてしまうのです。

伝統や精神というと、なんだか古臭くてとっくきにくい感じもします。
しかし、これらは先人たちから私たちへと確かに受け継がれてきたものです。

日本の工芸品を考えるとき、日本の伝統や精神については避けて通れないキーワードとなります。

今回は、鹿児島で生まれ育った私が、実際に感じている工芸品と伝統の関係について考えていきたいと思います。

特殊な国と言われる所以

国産車や家電製品など、日本製のものは質が良い。
国外からも「Made in Japan」を求めて日本に来てまで買う人もいます。
一時「爆買い」もありましたね。

そして食べ物は美味しい。
均一にラベリングされたパッケージ、デザイン、味、手触り。

確かに日本製のものは質が良い。日本に住んでいると普通のことすぎてもはや「当たり前」と思ってしまいます。

以前、私がサービス業をしていた頃、外国人観光客の方にサービスを提供すると大袈裟なほどに喜ばれ、お会計の際には驚かれるんです。何でか分かりますか?商品やサービスが(質の割に)安いからです。
「チップは受け取ってくれないのか?」と言われたときは、「日本にチップの文化はない」ことをお伝えして丁重にお断りしましたが。

こうしたことが何度もあるうちに、普段私たちが当たり前にしていることは、国際社会では何か特異なものがあるのではないか、と考えるようになりました。

日本に住んでいると海外のそれとは比較しようがないのでなかなか気付けません。
しかし、私がお会いしてきた外国の方たちいわく、全体的に洗練されているそうです。

どうやら私たちが暮らしているココは特殊らしい。

極みの先にあるもの

この特殊さは一体どこからくるのか。
その根っこには「謙虚さ」があるのではないでしょうか。

日本の職人は、その道50年でもまだまだ一人前ではないと言っていたりします。
日本のスポーツ選手も、世界チャンピオンになってからも高みを目指して粛々とトレーニングを続ける選手は多いですよね。
連載20年以上経った今も、少年たちに夢と希望を与えている現役漫画家もいます。

日本を代表するトップランナー。
完成やゴールに満足せず究極を求めて追求し続けるその根っこには、「自分はまだまだ」という謙虚さがあるのではないでしょうか。


謙虚な姿勢は、繊細さ、奥ゆかしさ、侘び、寂び、こうした感性を熟成させ、作品づくりにつながっていると思わずにはいられません。

工芸品は、日本の伝統と歴史、文化、精神、そして職人の哲学がたっぷり込められています。
生産者の方の日々の努力と知恵がカタチになったもの。
それは生活に溶け込み、私たちの暮らしを豊かにします。

そんな血の通った品々を、皆さまにお届けして参ります。
職人や生産者の皆さまは、どの方も手塩にかけた品々のイロハを楽しそうに語ってくださります。
その眼差しや言葉に、日々取り組んできた深みと愛情を感じます。

どうぞ手に取って、品々の後ろに流れているストーリーを味わってみてください。


ちよはち商店編集部
斉藤


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