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そのたくましさが少し羨ましい Mのチャイニーズ・パワー

今年も、混雑時の新宿駅かと思うほど人が出て盛り上がる、ホノルル・チャイナタウンの旧正月のお祭りに行ってきました。 

爆竹が炸裂する音に耳をふさぎ、オリンピック並みと思うほどの、獅子舞のパフォーマンスのスゴ技に感動しながら、中国人パワーを感じるのは例年のことですが、その日はふと強烈キャラの友人Mのことを思い出しました。

Mは私より一回り以上上のインドネシア系中国人。 私の隣りのスタジオでピアノを教えていたのですが、彼女のスタジオの入口には装飾をほどこした八角形の鏡がかけられ、一歩スタジオの中に入ると、赤いお札があちこちに貼ってあり、巨大な金色に輝く電動まねき猫が、おいでおいでをしているのでした。

もちろん私たちピアノ教師は、生徒さんからいただく月謝で生計を立てているわけですが、一応夢を売る仕事というか・・ 生徒のご父兄がその電動まねき猫を見て、自分たちが金づるのような、ちょっとイヤな気分にならないかと心配になったものです。

彼女が「壊れちゃったみたい、手が動かないわ」と、その電動まねき猫をバンバン叩いているのを見て、思わず「あの、あまり叩かない方がいいんじゃない? 縁起物だし」と口出ししてしまったこともありました。

13歳の時にアメリカに渡ってきたMは、離婚して一人で郊外に家を買い、そこを間貸しして家賃収入を得ていましたし、ピアノの他に風水マスター、ウェディング・コーディネーターの仕事もし、KONBUCHAといういわゆる紅茶キノコによるお茶まで作って販売していました。

ブログで自分のウェディングの宣伝をしてほしいと頼まれた私は、一度だけ彼女がプロデュースしたビーチ・ウェディングに立ち会ったことがありますが、Mが作った赤と白のカーネーションのなんともいえないブーケ、ビーチパークの柱にテキトーに貼り付けたリボン、そして「えっ、Mが神父なの!?」と何もかもに驚愕・・

アメリカ本土から来た年配のカップルは、それぞれ何度目かのご結婚ということで、お金もあまり使いたくないし、美しいビーチで式を挙げたことだけで大満足、ということでしたが、これは日本から来るカップルには無理と判断し、Mに正直に「ちょっと日本人が求めるものと違うんじゃないかと思う」と伝えた記憶があります。

紅茶キノコに関しては、すごく身体にいいからCHIYOも毎日飲めと言われ、いただいて育てながら飲んでいたのですが、ある日1週間ほどの旅行から戻ると、巨大化したキノコがジャーからはみださんばかりになっていて、こわくなって捨ててしまいました。

彼女はそれを育て、ボトルに入れ、封をし、配達するという業務をすべて一人でこなし、今でもHealthyのthyの部分を線で消してHealteaと書かれた、オヤジギャグのようなボトルをスーパーマーケットで目にする度、心の中で「M、健在」とつぶやいています。

その他にも有名(?)なエピソードとして、一度スタジオのあるビルのバスルームで脱水症状で倒れたのですが、そこにいた人が救急車を呼ぼうとしたら、「救急車だけは絶対に呼ばないで!」と叫んでまた意識を失ったので、その人はもちろん呼んだのですが、当時救急車を呼んだ場合の自己負担が500ドルで(今では1000ドル以上だそうですが)、意識を取り戻した彼女は呼んだ人に激怒したとか・・

私たちはまったく性格が違いながらも、お互いにおもしろいと思っていたのか(?)、時々仕事が終わってから食事に行ったのですが、印象に残っている話として、「いろいろうまくいかないから、死んだおかあさんに夢でなんで私を助けてくれないのかと責めたら、ちょっと待って、今弟のとこが大変だからと言われ、次の日インドネシアの弟に久しぶりに電話をかけたら本当に病気だった」というのがあるのですが。

この世とあの世が夢でつながっているというスピリチュアル的なすごさ以前に、「亡くなったおかあさんはもうゆっくり休みたいのではないかという考えはないのだろうか」と、普通の人なら思いますよね。 おかあさんも大変だなあっていうか。

歯に衣着せぬ物言いで敵も多い人で、結局当時のビルのオーナーと喧嘩して、その場所を追い出されてしまってから、すっかり疎遠になってしまい、ここ何年も会っていないMですが、何かにつけ、私にはないたくましさを思い出し、ちょっと羨ましいなと思ったりします。

両手にいくつもの指輪やブレスレット、いつも大きなイヤリングをつけ、パーティーでサルサを踊ったり、電話で家のテナントと大声で言い争いをしたり、常に人生をフルに生きている感じがしたM。

何人はこう、というステレオ・タイプな考えは持ちたくありませんが、世界中どこにでもチャイナ・タウンを作り、食、衣、宗教、文化、医療、あらゆるものに対して、並々ならぬパワーを感じる中国の血が、やはり彼女に流れているからこそのバイタリティーという気がします。

出雲大社の静かな元旦も欠かさない行事ですが、2月のにぎやかなチャイニーズ・ニューイヤーで厄落としし、中国パワーをもらうのも私には必要と思われ、何があっても逃さず繰り出していく昨今です。

✨今日の英会話✨

Everything is too expensive in Hawaii. ハワイはすべてが高過ぎる。 Mが口癖のように言っていた言葉です。 あれから物価はさらに上がり、I totally agree! まったく同感です!







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