『weather』をド忘れする英語力で1ヶ月間ヨーロッパを旅した話 フランス・レンヌ編①
20時間のフライトを経て、到着したのはパリ、シャルル・ド・ゴール空港。ここが一ヶ月の冒険のスタート地点だった。
家族に心配されたのに、チケット取ったから、と強気で言ったのが嘘みたいな緊張感とワクワク。ちゃんと帰れるかな、と心配になりつつ機体から降りた。
そこからは他の人に続いてモノレールで入国審査の場所まで移動。(お金は払わなくて大丈夫!)人がたくさんいるのに、日本人はなぜだかすぐわかった。
しばらく並んでると何列かに別れだしたのでどう並ぼうかとオロオロしてると、後ろに並んでた日本人の男の子が並び方を教えてくれた。アフリカの自治体かなんかで半年間コンサル的なインターンをしていたらしい。(うろ覚え)日本に帰る前にベルギーに行くとか。半年間異国の地で生きた彼はすごく輝いて見えた。ちょうど就活生だったと思うけど、元気にしてるだろうか。
彼にはお礼を言って別れた後、荷物を取りに行くと、そこで金髪マダムがホットチョコレートとパンをサービスしていた。
貰えるもんはもらっとけ!精神な私は(意地汚い)すぐさま駆けつけドリンクとパンをいただく。
………おいしい。ホットチョコレートは温かくて濃く、体に染み渡る。パンはさすが本場と舌を巻く美味さ。
空港とはいえこれが無料だなんて…。都心のちっさくてたっかいやつをグルメ心から買ってた私は一体…。そんな事を思いつつ着いて早々フランスへの印象が爆上がりした。
こんなにチョロいと痛い目にあうとはつゆ知らず。
その日はそのままTGV(フランスの新幹線みたいなもの)でレンヌ(フランス北部の海よりの街)へ向かう事になっていた。
普段忘れっぽい私でも電車の予約はしっかり取り、予約画面のスクショまでしていた。
が、しかし。TGVの乗り場に着いたはいいが表示がぜんぜん見当たらない。色んな人に電車について聞いて回るが、英語は分からない、TGVについて分からないのオンパレード。
やっとの事で英語が分かる人に話を聞けたが、途中で乗り換えが必要との事。…おかしい。私が予約したのは直通だった。
もしかしたら事故などがあったのかもしれないので、念の為他の人にも声をかけてみた。
ホームに降りた所にいた男女二人に声をかけてみた。が、相手の英語が流暢すぎて聞き取れない。つくづく自分本位な英語力である。あまりの使えなさに申し訳なく思っていると
パリ⇒ル・マン⇒レンヌ
と書いたメモを渡してくれ、次に来る電車に乗って、ル・マンで乗り換えたらレンヌに着くよ。と丁寧に教えてくれた。
やはり乗り換えが必要なようだ。何が起きたのかはフランスの事情が分からない私にはよく分からないが、男女二人にお礼を告げ、丁度来た電車に乗った。
やっと落ち着けた。始めてくる場所はやはり大変だな…とスマホを確認すると一時間半ほど前にTGVから連絡が。
『あなたが乗る予定の電車はなくなりました!別の電車に変えるからインフォメーションによってください!』
………………はああ???
搭乗日の一時間半前しかも早朝になんでそんなメール寄越すんだ!せめて前日に教えてよ!今更言われても乗っちゃったよ!!
これが大陸の洗礼なのか…どうしよう…と思っていると向かいにフランス人女性が座ったので、メールについてこのままで大丈夫か相談すると、よくあるから大丈夫との事。よくあるんかい。
でもその電車の件がきっかけで、彼女とはスマホの翻訳機能を使いながらずっと話してた。お互い英語が苦手だったのだ。
彼女は子どもが二人いて、ナント(レンヌより南側の街)に住んでるけど、栄養学を勉強するためにパリから電車で一時間の街にある大学に通うために家族とは別居していて、数週間に1度くらいで帰っているらしい。
勉強嫌いな私からすると尊敬するくらい勉強熱心で家族思い、だけれども自分のキャリアに対しても向上心を持つ素敵なママだった。
…ただ、恥ずかしながら最初、この説明が全く分からなかった。英語力の問題だけじゃない。
私は今まで、このような生活をする『お母さん』を見た事がなかったからだ。
女の人のキャリア形成については日本でも言われてきている。昔よりもキャリアの選択肢は増えているし、個々の選択に対する周囲の寛容さも備わってきている。
昔、大手商社で一般職をしていた母の知人には仕事でロシアに行くのに子どもを連れていった人がいると聞いた。なんてタフなんだと、女性でも仕事と育児を両立できるのかと尊敬の念を抱いた。
しかし、ママ学生の彼女に対しては、お子さん達、大丈夫なのかな??旦那さん一人で仕事と両立してやってるのかな??と尊敬の念が生まれた反面、要らん心配をしてしまった自分がいた。
おそらく、ほとんどの日本人は性別問わず私と同じような考えが頭を過るのではないか。
勉強やスキルアップはもちろん、素晴らしい事。けど、育児が落ち着いてからでも…とか、通える所にしたら、とか。
旦那さんの食事はどうするの??とか。(これは私は思わないが、同居してる祖母は真っ先にこれを考えるだろう)
誰がお母さんが育児を一番に優先しないといけないと決めたのだろう。もちろん育児は大事だし、優先順位は高くなければいけない。産んだ以上は親としての責任は果たさなければいけない。
ただ、それをなぜ夫婦二人で分け合うという思考がなかなか広まらないのか。
当事者達が納得していればそれで十分なだけなのに。
自分自身、比較的そこら辺の考え方は柔軟だと思ってた。母には自立して働けるよう、と言われてきたし、同居してる祖母はバリバリの昭和の女性で意見が対立することも多々あったからだ。
…けれども。今まで自分は偏重しているなんて思わないどころか、女性進出する社会に賛成派だと信じきっていたなんて。
自分の中の無意識に気付かされて、ちょっと怖かった。
その後もお話をしたり、アーモンドナッツを少し頂いたりして、ル・マンで乗り換えるために彼女とは別れた。
ル・マンからは比較的すぐレンヌに着いた。パリからは2時間半程だった。
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