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それぞれのクリスマス

街が、煌めいている。

『毎年、クリスマスの感じ方は変わりますね』
そんな話をした。

ある人は、「今までクリスマスといって、いつもと違うことをする自分が何だか嫌だった。でも今年のクリスマスはチキンを買って、ケーキを買った。クリスマス、という雰囲気に乗ってしまうことに寛容になったのだと思う。」と話してくれた。

またある人は、「公園で子ども連れの親子を追い抜く時、子どもが、“真っ赤なお鼻のトナカイさんは~♩”と歌う歌声に気づき、イヤホンを外し耳を傾けた。子の横で母が微笑んでいる、このワンシーンが温かかった。この子のためにクリスマスがあって欲しいと思った。」と話していた。

年々、クリスマスに対する世の意識や、動きが強くなっているように感じる。

個人として、ここ数年、一緒に過ごす恋人がいるひとを、大切そうにプレゼントを抱え街ゆくひとを、羨ましくしか思えなかった。卑屈になっていた時期があった。


しかし、去年から何となくクリスマスの捉え方が変わったように感じている。
そのきっかけとして、去年入院中の子どものサンタさんになってみたことがある。(あまり良くないことだが。)はじめて、サンタさんの役を果たしてみたのだ。枕元に置いた靴下に入れたのは、ミニカーの小さなおもちゃだった。
何をあげたら喜ぶかを考え、バレないように、こっそり枕元に置いた。朝起きて喜ぶ笑顔を見た時、本当に幸せだった。

クリスマスって、幸せな一日だと率直に思った。

大切そうにプレゼントを抱え街ゆくひとたちそれぞれにも、各々のドラマがあり、思いがあるだろう。色んなクリスマスがあっていい。
それぞれのプレゼントが、思いがちゃんと届くクリスマスになればいいな、と思うようになった。

プレゼントって、気持ちだと思う。大きいものでも、高いものでなくてもいい。その人が喜んでくれるかな、とその思いと過程が何よりのプレゼントなのだと思う。

何も無い時にプレゼントを渡すことは気恥ずかしくても、クリスマスという力を借りて日頃渡せない気持ちも一緒に渡すのも良い。
“自分からでは無い、サンタさんからの贈り物”そういうことにしてしまおう。

明日はわたしも誰かに気持ちを渡すようなクリスマスにしたい。

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