見出し画像

国道4号「盛岡南道路」を探る(4)予定線の今を訪ねて・下

盛岡西バイパスの南端から、矢巾町の岩手医科大学附属病院の近くまでを結ぶ予定の国道4号「盛岡南道路」を浅掘りするシリーズ。現地調査の最終回となる今回は、JR東北本線・東北新幹線との交差地点から、現在の国道4号現道までの様子を紹介する。(前回はこちら

今回紹介するエリアを以下の地図で示す。

Map data © OpenStreetMap contributors
説明の為、文字及び矢印を筆者が加筆している。ルートは推定。

公表資料によると、線路を地下道でパスして、そのまま東進。現在の国道4号に近づいたところで南にカーブし、「消防学校入口」交差点のあたりで合流するルートらしい。

地下道を作ろうとしていた痕跡

前回最後に紹介した場所から、ぐるっと迂回して線路の反対側にやってきた【M地点】。鉄道との交差地点のほうを見る。予定線の辺りは、高架橋まで雑草地が伸びている。幅は十数m。線路が近づく手前で、雑草地の幅が少し広がっている。まるで道路用地のようだ。

【M地点・盛岡市街(西)方向】新幹線高架まで、雑草地が広がっている。

雑草地と周囲の田畑の境目に線を書き加えてみると、ますます道路用地に見える。雑草地の幅が広がる場所が側道だと想定して絵を描いてみると、地下道の入り口のように見える。雑草地の先は、ちょうど高架橋の橋脚と橋脚の間が広い所につながっている。ただの空き地にしては「出来過ぎている」のだ。

下の加工後と上の加工前の写真を見比べてみてほしい。田園地帯にうまくカムフラージュされているが、これは道路を、地下道を作ろうとしている痕跡では無いだろうか。

【M地点・盛岡市街(西)方向】絵のような地下道を作ろうとしていたと推測できる。

同じ場所から振り返り、矢巾町中心部方向(東)を見る。こちらも雑草地である。田畑ではない。奥で林が食い込んでいるが、手前側はちょうど道路が1本作れるだけの幅がある。ここが道路用地なのだと確信した。

【M地点・矢巾町中心部(東)方向】雑草地は東側にも延びている。

とはいえ、現地調査時は事業化が「ほぼ内定」の時期。調査段階でここまで用地が準備されることは無いだろうから、不思議である。過去に国道4号ではない別の道路を作ろうとしていた痕跡と推測される。4車線の国道を作るには、この道路幅は少し狭いような気もする。

意味深な雑草地がまだまだ続く

詳細は、後で調べることにして、先に進む。M地点から200mほど東進した所の【N地点】に来た。

新幹線高架の方角(西)を見る。左側の林が食い込んでいて、雑草地の幅がさっきよりも狭くなっているが、意味深な雑草地は続いている。

【N地点・盛岡(西)方向】線路から続く雑草地はここまで続いている。

振り返って、東方向を見る。ここからは舗装道路が始まる。と言っても、幅は2m程度の心許ない農道だ。右側にまだ雑草地が続く。

【N地点・矢巾(東)方向】舗装道路が出現したが、謎の雑草地は右側にまだ続いている。

細い舗装道路を進むと、今度は雑草地が左側に広がった【O地点】。右側の雑草地は、公共工事の詰所や物資置き場として使われている様子だ。明らかに、道の両側は田畑ではない。

【O地点・矢巾(東)方向】舗装道路を進むと、雑草地が両側に広がった。

川を渡ると雑草地が突然消えた

細い舗装道路をさらに東進し、マックスバリュ方面に向かう町道と交差してしばらく進むと、小さな川にぶつかる。前回さらっとご紹介した「芋沢川」である。小さな川に、小さな橋が架かっていた。

【P地点・矢巾(東)方向】小さな橋で芋沢川を渡る。

橋からこれまで来た方向(線路方向、西)を振り返る。線路との交差地点から、幅は変化したものの、常に意味深な雑草地が続いていた。やはり、この東西軸に道路を作ろうとしていて、何かしらの準備がなされていたのだろう。

【P地点・盛岡(西)方向】線路との交差地点から芋沢川まで、謎の雑草地が続いている。

橋を渡ったら、雑草地が消えた。舗装道路も消えた。
疑わしいものは何も無い田園風景だ。ただ砂利敷きの細い農道だけが続いている。ただ、予定線はこの筋であるので、先へ進む。

【P地点・矢巾(東)方向】橋を渡り終えた所。道は砂利敷に代わり、雑草地が消えた。いやいやー、めんこいなあ、カッパくん。私はキャラ物に弱いのだ。

砂利道を進むと、町道と交差する【Q地点】。ここから先は舗装道路が復活するようだ。意味深な雑草地はない。

交差する町道は、医大や大学病院の前に至る道。この交差地点の南400mほどで4車線になる。南道路が出来たら、4車線区間が延びるのだろうか。そうなったら、この場所が矢幅駅入口(矢巾口)交差点に代わり、矢巾の「正面入口」になるかもしれない。

現在は、本当に地味な交差点だ。

【Q地点・矢巾(東)方向】医大方面に向かう町道と交差する。ここから舗装道路が復活するが、意味深な雑草地はもう見られない。

南にカーブしながら現道へ合流

なおも東進すると、住宅地が見えてくる【R地点】。あの家々の向こう側に、現在の国道4号があるはずだ。この辺りから、南通路は右(南)方向に向かってカーブする予定となっている。参考程度に赤い矢印を描いたが、写真のどの辺りを通るか自信がない。

【R地点・矢巾(東)方向】南道路は、住宅が見えてくる辺りで右にカーブするとみられる。矢印は推定。

ここまで走ってきた真っ直ぐな道路は、上の写真の先で終わる。斜め右方向に分岐する道路があったので、入ることにした。少し進むと、左手は住宅地、右手は水田という景色になる。南道路はこの右側をカーブを描きながら進むことになると推定される。田んぼの中にも家々があるため、正確にどこを通るのかは、まだ分からない。

現在の国道4号が見えてきた。公表資料によると、南道路は現道の下り線(北行き・盛岡方向)と立体交差してから下り坂になり、合流する形になるらしい。盛り土構造の少し高い所を走る道路になるのだろうか。

【S地点・矢巾(南東)方向】左は住宅地で右側は田んぼだ。この辺りのルートはまだよく分からない。
【T地点・矢巾(南東)方向】現在の国道4号がすぐそこを走っている。南道路は現道下り線と立体交差しながら、右にカーブして合流する予定だ。この辺りの矢印は適当。

現在の国道4号に出て、走ってきた方向を振り返る。
田んぼエリアもカーブを描いており、うまく住宅を避けながら道路は作れそうである。ただ、カーブを描いて現道に合流する以上、いくつかの住宅とは干渉しそうだ。

【U地点・盛岡(北西)方向】これまで走ってきた方向を振り返る。田んぼ中心だが、家々も点在する。矢印は適当。

現道と南道路が分岐するとみられる「消防学校入口」交差点周辺に来た【V地点】。南道路は、この写真の後ろの方から走ってくると盛り土となり、左にカーブしながら現道下り線(北行き・盛岡方向)を跨いで線路のほうへ向かう構造になるとみられる。現道は側道となるのだろう。

【V地点・盛岡(北)方向】消防学校入口交差点。南道路はこの付近から左にカーブして始まる予定だ。

写真が無いので説明しにくいが、ここから南に振り返ると、少し先に「矢幅駅入口」(矢巾口)の交差点が見える。国道4号を走っていて「矢巾に来た」と感じるのは大体この辺りなのではないだろうか。

雑草地と高架橋の謎を知りたい

現地調査を3回に分けてお伝えしてきた。まだはっきりしたルートは分から
ないが、どのような所を通る道路なのかは把握できたと思う。

一つ引っかかったのは、今回紹介した線路との交差地点から西側の雑草地の存在だ。盛岡南道路の話が出る前から、このルートに道路を作ろうとしていたようにも思われる。

さらに言えば、東北新幹線との交差地点。高架橋の橋脚と橋脚の間が広くなっていた。1982年の新幹線開業前から、ここに道路が出来ることが予定されていなければ、あのような構造にはなっていないと考えられる。

資料を漁ってみよう、と張り切って図書館へ向かった私だったが、実は少しネットで調べるだけで分かることだった・・・。

第5回に続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?