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国道4号「盛岡南道路」を探る(3)予定線の今を訪ねて・中

盛岡西バイパスの南端から、矢巾町の岩手医科大学附属病院の近くまでを結ぶ予定の国道4号「盛岡南道路」を浅掘りするシリーズ。今回は、県道120号不動盛岡線との交差点からJR東北本線・東北新幹線との交差地点まで、現地の様子を紹介する。(前回はこちら

今回紹介するエリアを以下の地図に示す。

Map data © OpenStreetMap contributors
説明の為、文字及び矢印を筆者が加筆している。

盛岡市街方向からF地点の信号交差点まで来ると、以南は県道120号を改良するという。途中で県道と分かれて、道路規模にしては急なカーブを描き、線路と交差するルートだ。

田園地帯を真っ直ぐ突っ切る

西バイパス南口交差点から、南公園と卸売市場の間を進んだ予定線は、矢巾町赤林の信号交差点で県道120号とぶつかる【F地点】。前回まで引用した国土交通省の公表資料を見る限り、この交差点からしばらくの間は県道を改良して国道にするらしい。

【F地点】県道改良区間が始まる赤林の交差点。
奥の石鳥谷方面から左の津志田方向に曲がっていく車も多い。

前回の最後に触れたが、この道路は通称「農免道」と呼ばれているという。農免道(農免農道)は、ガソリンに掛かる税金のうち農業用の車や機械に使っている分を、農道整備の形で農家に還元する仕組み。農道とはいえ立派な道路であり、農家以外も使える。

しかしながら、この道路は「広域農道」という別の枠組みで作られたとの文献も複数ある。広域農道かつ農免道路ということなのだろうか。その辺はよく分からない。

いずれにせよ、現在は県道である。かつては、写真の左側の少し離れたところを県道が指定されていた。「農免道」が事実上のバイパスとして機能していたのが、名実ともに県道バイパスとなったのだ。

「農免道」は真っ直ぐ南進する【G地点】。どこの県でも、平野部を走る広域農道・農免道路が直線主体の線形になるケースは見られる。線形の良さも、将来の国道のルートに選ばれた理由の1つなのかもしれない。

【G地点】農免道は直線主体の線形。現在も抜け道として利用する車が多いと思われる。

ごく僅かな左カーブを過ぎると、町道との信号交差点がある【H地点】。左側には旧雇用促進住宅が見える。現在は民間に払い下げられ「ビレッジハウス」という名前になっている。結構、安く住めるらしい。

【H地点】信号機付きの交差点と、旧雇用促進住宅(ビレッジハウス)が見える。

国土交通省の公開資料の「縦断図」を見ると、南道路のこの辺は土を盛り、少し高い所を走るようである。引用した図で言うと、[NO.250]と書かれている地点が上の写真の辺りにあたる。

http://www.thr.mlit.go.jp/road/ir/shouiinkai/touhoku38.html
国土交通省東北地方整備局道路部 「社会資本整備審議会 道路分科会 東北地方小委員会(令和3年度) 第37回(令和4年3月10日)配布資料『資料3 一般国道4号 盛岡南道路』」より一部引用

東にカーブし県道と立体交差

盛り土となるのは、旧雇用促進住宅の真横の辺り。予定線は、芋沢川という小さな川を渡り終えた付近【I地点】から東にカーブし始める。

【I地点】芋沢川を渡る。この付近から東(この左)にカーブする予定だ。

芋沢川を過ぎた先、信号の無い十字路がある【J地点】。公表資料の図面では、ここに30mの橋を架けるのだという。交差する町道を跨ぐのだろうか。

【J地点】町道との信号のない交差点。資料によると、ここには橋が架けられる。

予定線はカーブを描きながら、写真左の田んぼ上にあるが、とりあえず県道を進む。すぐに東北道矢巾スマートインターチェンジの標識が見え、信号交差点と、その角のコンビニエンスストア(ファミリーマート)が目に入る【K地点】。

【K地点・南方向を望む】信号交差点の手前に、矢巾SICの標識がある。上り線の出入口はこの県道に接続している。

コンビニの県道を挟んだ向かい側まで来て、左斜め後ろ(北方向)を振り返る。資料から少々荒っぽく完成イメージを描くと、以下のような感じだろうか。図面を見る限り、南道路の側道が県道と交差し、本線は立体交差となると推測できる。

立体交差はカーブの途中に設けられ、現在ある平面的・直線主体の道路とは対照的なものとなりそうだ。

【K地点・北方向を振り返る】南道路と既存の県道120号は立体交差で接続する見込み。

矢巾北中学校の近くまで来た【L地点】。旧雇用促進住宅の近くから続くカーブは、この付近で終わる。縦断図を見ると、盛り土区間もこの辺りで終わり、地表の高さまで下がる。

【L地点・北西(盛岡市街)方向を望む】

下り坂が継続、線路をくぐる

上の写真と同じ場所【L地点】から、180度向きを変えると、もうすぐそこに東北新幹線の高架が見える。手前に在来線の東北本線が走っている。線路の交差地点まで500mほどだ。

縦断図から、線路は地下道でパスすることが分かる。小高い盛り土区間から地表に下ってきた道路が、更に地下に潜るのである。走っていて楽しい道路になれば良いが、どうなるだろうか。

【L地点・南東方向(矢巾中心部)方向を望む】すぐ近くを鉄道が走る。南道路は地下道でパスする。

線路は、地平に在来線がある。新幹線の高架は比較的高度が低い。

盛岡駅周辺や岩手飯岡駅の近くでは、地平(1階)が在来線、「2階」が道路の跨線橋、「3階」が新幹線というパターンが見られる。

この場所は、新幹線が「2階」の高さ。もし、これを跨ぐには、「3階」の高さで橋を作らなければならない。建設費もかかりそうだし、維持管理も大変だろうと思う。

地下道でパスするのは、賢明な判断だ。
ちょうどこの場所だけ、橋脚と橋脚の間が広くなっている。地下を掘る時に橋脚が干渉しては、難工事になるだろう。

線路との交差地点を近くで見る。新幹線の高架は、橋脚と橋脚の間がこの場所だけ広くなっている。

この場所しかくぐるところが無いとすれば、カーブで大きく方向を変える線形も納得だ。

ただ、何かが引っ掛かる。上手く出来過ぎているような気がする。その辺は後で調べることにして、線路の向こう側へ進む。

第4回へ続く


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