実録空の巣症候群・それは突然やってきた

近年、立て続けに子どもたちが親の手を借りずとも自力で生きていける目途が立ち、肩の荷がすうっとおりた感じがした。

本来なら「さあ、これからが自分の人生だ!」と喜ぶところだ。実際、今まで気持ちの上で、あるいは経済的な制約から解放されたらやりたいことは山ほどあり、数年前から新しい事を始めるの準備を少しずつしてきた。

「何から始めようかな・・・」そう思うとわくわくしたものだ。

ところが実際に「自由」になった途端、何の前触れもなく急激にテンションが下がって気分がどん底に落ち、何もする気が起きなくなった・・・それは本当に突然で、予想だにしない出来事だった。

その日からわけもなく憂鬱な気分が心を支配し、一日中気分が晴れない。やるべきことが手につかず、楽しい事はもっと手につかない。忙しい間は多少気がまぎれるものの、ほっと一息ついた途端にまたわけもなく心がどん底まで沈んでしまい、もうどうしようもない。

そういう時はとりあえず寝てしまおうと思うものの、体を横にしても妙に頭が冴えてほとんど眠れないまま朝を迎える。そんな状態のまま底が見えないほどひどく憂鬱な1日がまた始まると思うと、毎日朝が来るのが怖くてたまらず、生きる事から逃げたくなった。

・・・それはついほんの半年ほど前の話。

最初は何が原因でそうなったのかさっぱりわからなかったが、ある時それが「子どもの自立」をきっかけに始まった事を思い出してふと気づいた。

「もしかして、これって・・・」

そこでようやくこの憂鬱の正体が「空の巣症候群」であることに気付いた次第である。

しかしその後もしばらく心身の状態が良くなる気配もなく、やがてそれは周囲の人を巻き込んで大迷惑をかける羽目となっていくのだった・・・

(続く)

後記:私自身の「空の巣症候群」についての体験記を、備忘録として不定期で書いていこうと思っています。他の同年代のお母さんで私と同じ状態に陥った人っているのでしょうか・・・?ネットで検索すると結構同じような人がいるみたいなのですけど・・・



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