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カブトムシが死んだ話。トカゲを外に放した話。

「グリーンヒル奥沢保育園」は世田谷区にある認可保育園です。
0歳から6歳までの50人の子どもたちと過ごしています。

カブトムシのお墓を作る

保育園ではカブトムシを育てていて、年長クラスが餌やりをしています。カブトムシは繁殖が成功してもう5代目です。

7月の初旬に、カブトムシが1匹ひっくり返って動かなくなっているのを子どもが見つけました。
子ども同士で話合ったところ「もしかしたら明日になれば動くかもしれない」という子どももいたので、2〜3日そのままにして様子を見ていましたがカブトムシは動きません。
これはとうとう「カブトムシが死んだ」ということを子どもたちが受け入れたので、お墓を作ろうということになりました。

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カブトムシを裏庭に埋めると、子どもたちはあたりに咲いている雑草の花を摘んで飾り、きれいに石を並べてお墓を作ってあげました。
ここで「お花がかわいそうだよ」と言う子どももいたのですが、「お墓に飾るんだから、いいんだよ」と他の子が言うと、納得してくれました。

トカゲを飼うのはむずかしい

カブトムシをお墓に埋めたその帰り道で、保育士がトカゲを見つけて捕まえました。早速教室に持ち帰ると、子どもたちが図鑑でどんなトカゲなのか調べてくれました。

図鑑は漢字にふりがながふってあるとはいえ、年長さんにとって文字を読むのも一苦労ですし、そもそも索引の引き方も知りません。ひたすら実物のトカゲと図鑑の写真を見比べるだけで探し出すので大変な作業です。
とうとうこれではないかというトカゲを見つけ出し、どうやら「ニホントカゲ」の子どもらしいということになりました。

トカゲの飼い方を保育士が調べたところ、エサは生きた虫。
子どもたちに伝えると「じゃあ、埋めたカブトムシを掘り出してあげよう!」ということになりました。
さすがに「カブトムシがかわいそうだよ!」と反対する子もいたのですが、子ども同士の話し合いの結果、死んだカブトムシを掘り出してトカゲに与えることになりました。

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しかし、トカゲのカゴに死んだカブトムシを入れてもトカゲは興味を示しません。
保育士が「生きていて動いている虫じゃないとトカゲは食べないそうだよ」と子どもに伝えると、子どもたちは毎日虫を捕まえてトカゲにあげることは難しいということに気が付いて、トカゲを元いたところに放してあげることにしました。

子どもにとって「死」を理解するのはとても難しいことです。大人だってわからないのですから当たり前です。
子どもは、カブトムシが死んでいると気がつくまで何日もかかったり、お墓に埋めたカブトムシを今度はトカゲの餌にしたり、大人からすると不思議なことをします。
しかし、子どもが自分なりに「生き物が死ぬ」ということを受け入れ、そのことについて自分なりに考えて、話し合ったり行動したりする姿を見て、子どもの成長はすごいと感じ入った出来事でした。


奥沢


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