📚この本で学んだ１４のこと「Think Smart 　ロルフ・ドベリー」　

①否定の道

ローマ教皇がミケランジェロに尋ねた。

「あなたの才能の秘密を教えていただけないでしょうか？あなたはどのようにしてダビデ像を作り上げたのですか？」

ミケランジェロはこう答えた。

とても簡単です。ダビデでは無いものを全て排除したのです。

よりクリアな思考をし、より賢く行動するには、ミケランジェロの言葉を思い出そう。ダビデに意識を集中させるのではなく、ダビデでないものに集中して、それを排除すれば良いのである。
この否定の道と言う考え方が、最初に提唱されたのは神学の分野だ。

神が何であるかは言い表せないが、何が神でないかははっきり言えると言う否定法で神を探ろうとした。現代で言えば何が成功をもたらすかは言い表せない。だが、何が成功を妨げたり無しにしたりするかははっきりと言えるということである。

②エネルギーを充電しないと意思力は機能しない

クッキーを好きなだけ食べられるグループとクッキーは目の前にあるが、ラディッシュだけを食べられることを許されたグループがあった。

クッキーを食べることを禁止された学生たちはその問題を解いた後クッキーを好きなだけ食べられた。学生たちの半分の時間で諦めた。
自制心を働かせ、クッキーを食べたい気持ちを我慢したことで、精神力を使い果たしてしまったために問題を解くための意思の力が残されていなかったからだ。
意志力はバッテリーのように機能する。我慢することに、エネルギーを消費尽くしてしまうと、少なくともその後しばらくは難題をこなせるだけの力がなくなってしまう。

先延ばしを避けるには、自制心を絶えず維持し続ける事は不可能だと言う事実を頭に入れておかなければならない。
バッテリーを充電するためにリラックスしたり横道にそれたりと言う合間の時間が必要。
しかし、なんといっても効果的なのは期限を設定すること。
心理学者のダンアリエルは先延ばしを最も効果的に防げるのは、外部から期限が設定されている場合であることを突き止めている。結論。先延ばしは不毛だが、人間的である。先延ばしを防ぐために、あらかじめいくつかの手を打っておこう。

③カチッサー効果

ハーバード大学の心理学者エレンランガー、1970年代に行った実験のこと。図書館でコピー機の前に行列ができると、列の1番前に並んでいる人にこう尋ねた
「すみません。5枚だけ先にコピーを取らしてもらえませんか？」
だが、順番譲ってくれる人はそれほど多くなかった。

今度は理由を添えてみたすみません。
「5枚だけ先にコピーをとらせてもらえませんか？急いでいるもので。」

すると、ほとんど全員が順番を譲ってくれた。

意外だったのは次の実験結果。
今度はこう訪ねた。

「すみません。5枚だけ先にコピーをとらせてもらえませんか？何枚かコピーを取りたいので。」

全く理由になっていないにもかかわらず、またもやほぼ全員が順番を譲ってくれた。列に並んでいる人は、誰でもコピーを取ろうとしているのは当たり前なのに。
つまり、ここで言いたいのは行動に理由を添えるだけで、その行動は周りからの理解情報を得やすくなるということである。
驚くべきことにその理由が意味をなしているかどうか重要ではない。
何々なのでと言うだけでその行動が正当化される。
当たり前のことだとしても、理由が書かれているだけで、私たちの気持ちは落ち着く。
逆に理由がないだけでイライラさせられる。
人間は理由を知りたがる生き物、科学根拠のない理由であっても、私たちには理由が必要なのである。
人の上に立つ人間は、そのことをきちんと理解している理由を告げなければ、社員のモチベーションが低下する。

④IKEAのレストランが順路の真ん中にある理由

人は比較し吟味し決断すると疲労困憊してしまう。
そういう状態を「決断疲れ」と呼ぶ。先延ばしについても同じように意思の力はバッテリーのように機能するので、再び充電しなくてはならない。
では意思の力を充電するにはどうすれば良いのだろう。
休憩を取ったりリラックスしたり何かを食べさせたりすると良い。血糖値が下がりすぎると意思の力を衰える。
IKEAには10,000点もの商品が置かれた長い店内通路を歩いていると、消費者の決断疲れが強くなる。
IKEAのレストランが順序のちょうど真ん中にあるのもそのためだ。
IKEAは手頃な価格でスウェーデン風のケーキを提供し、その後あなたがまた意思力を取り戻して、ろうそく立てを選べるようにしている。
裁判所では、大胆な判決の出る割合は時間が早い。
長時間の経過とともに、大胆な判決の出る割合は０に近くなり、休憩を挟むと突然また65%に戻ると言う。
血糖値が高い休憩後の方が仮釈放が認められると言う大胆な判決が出る割合が高かった。

⑤初頭効果と親近効果

人は最初に得た情報をもとに判断して判断をしてしまう。脳が後ろのほうに並んだ形容詞よりも、初めのほうに並んだ形容詞に向きを置く。
親近効果は後から入ってきた情報の方が記憶に残りやすいと言う現象。
すぐ何らかの対処しなくて良い時は、初頭効果の方が強くなり。時間が経つと親近効果のが強くなる。
結論。何においても途中で受ける印象にはあまり影響がない。スピーチでもセールストークでも書籍でも事情は同じ。

⑥ボーナスがモチベーションを低下させる

スイスのチューリッヒ処分場建設のボランティア活動に賛成するかどうかを尋ねると、参加者の50.8%は、イエスと答えた。
理由は、国家の維新公平さの観点、社会的な義務を果たす、雇用を生み出すためと皆それぞれであった。
また、次のとき。「1人につき50万円保証を出す」と言う条件をもとに、もう一度同じことを聞くと、賛成と答えた人の割合は半分に減少した。
金銭を改善させると進んで物事を行うとする欲を減退させてしまうと言う結果である。

⑦試験のプレッシャーに勝てたのは計画のおかげ。

3つのグループ

学期に開催されるパーティーのことに集中して考える。

期末試験のことを集中して考える。

期末試験のことを集中して考え、明確な学習計画を立てるように考える。

いくつから実験で明らかになったんだが、その課題にどのように対処するかと言う明確なイメージができていれば、進行中の課題で頭がいっぱいになってしまう事は無い。

頭を課題から解放するにはその課題を終わらせなくてはならないと考えたが間違っていた。
課題が終わっていなくて、それに対処するためのきちんとした計画さえ立てていれば充分なのである

⑧内観の錯覚

相手が自分の考えに共感しなかった場合、私たちは3つのパターンのいずれかの反応を示すことになる。

１．相手が無知なのだと考える。

２．相手は愚かなのだと考える。

３．相手に悪意があると考える。

自分が確信していること以上に納得のいくものはない。
何があっても自分の信じることに固執しようとするのは自然な反応だが、それは危険なことでもないか。
内観、つまり、自分の内面を見ていられる答えは、ほとんどでっち上げだからだ。

⑨言葉は、思考の鏡

思考することを怠ったり、未熟だったり、ものを知らなかったりすると、頭の中は不明瞭になる。
隠そうとしても、言葉から溢れだす。隠せる時もあるが、隠せないときもある。
言葉は、思考の鏡だ。思考が明瞭であれば、発言も明瞭になるが、思考が不明瞭であれば、発言は無駄話にしかならない。
しかし、厄介なことに、私たちが本当に明瞭な思考ができていること、とても少ない。世界は、複雑で、たった1つの観点を理解するにも、じっくりと、思考を巡らされなくてはならないからだ。

⑩スリーパー効果

プロパガンダが効果を発揮するわけ。
戦争中、兵士たちに国が作ったプロパガンダ映画を見せた。
その時の兵士たちの様子は、兵士の戦意向上にはつながらなかった。
なぜなら、映画を伝えようとしていたメッセージの信頼性が上映される前に既に損われていたからである。
ところが2ヶ月後予想外のことが起きた。
2ヶ月前に映画を見ていた兵士を見ていない兵士よりも戦争に対して高い共感を示していたのだ。
今のところこの現象が起きる理由としては、情報源に関する知識は情報の内容よりも崩壊するのが早いためではないかと言う説が有力である。
つまり脳は情報の入手先、国が制作したというプロパガンダ映画は比較的早く忘れてしまうが、情報そのもの「戦争は必要である。良いことなのだ」は、すぐ忘れないと言うこと。
そのため、信用度の低い情報源から得た情報でも、時間とともに信用の度合いが上がっていくと言うわけである。
そのメッセージにおける信頼性の低い要素は、メッセージの内容が忘れられるように早く消え去ってしまう。

⑪ハンマー効果

「道具がハンマーしかないものは、どんな問題の中にも釘を見るものだ。」

アメリカの作家マークとウェンの言葉である。

誰もが自分の得意分野に偏ったものの見方をすると言う「職業による視点の偏り傾向」を見事に表した。自分の専門分野内の限られた思考、モデルだけを身に付けて、その周辺に留まって遭遇する問題を全て、そのわずかな思考モデルを使って解決しようとする。

自分の脳に2つ、3つの道具を追加するよう心がけを、あなたの得意分野から大きく離れた思考モデルを習得する

⑫曖昧さ回避

私たちは確率がはっきりしているものが好き。

ここに2つのツボがある。Aのツボには赤いボールと黒いボールが50個ずつ入っている。Bのツボにも100個ボールが入っているが、赤いボールと黒いボールがいくつ入っているかわからない。
どちらかのツボに手を入れて赤いボールを取り出したら、あなたは大金を獲得できる。
あなたはAとBどちらのツボ選ぶだろうか？
大抵の人はAのツボだろう。
では別の質問を今度は黒いボールをを取り出せればあなたは体験を獲得できる。しかしあなたはまたAのツボを選ぶだろう。
しかし、それでは辻褄が合わない。なぜなら最初の質問ではあなたはBに入っている赤いボールをAより少ないと推測したんだ。
それならば2つ目の質問では、当然、Bのツボのはずではないか。

この心理傾向には、エルズバーグのパラドックスという名前までついている。私たちには確率がわからないものより確率がはっきりしているものを好む傾向がある。

⑬特徴肯定性効果

存在しているものはないより、ずっと価値があるように感じられる。欠けているものを見つけるのは存在するものを認識するよりもずっと難しい。

目の前にある数字を見つけるよりも、目の前に見えない数字を見つけることの方が難しい。
散歩をしていた時、体のどこにも痛みを感じていないのに気づいた。
交響曲第9話なくても生きているのに、こんなに素晴らしい交響曲がこの世に存在するなんて、私たちはなんと幸せなんだろうと思った。

この効果は予防キャンペーンにも行かされている。
「喫煙は肺がんの原因になります」と言う方が「喫煙しなければ肺がんにならない人生を送れます」というよりもインパクトはずっと強くなる。

「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」
と言う物事の存在理由と有名な問題がある。この問いかけは特徴肯定性効果を疑うための有効な種類になる。

⑭物事は多くの要因が重なった結果として起こる。

ひとつではない。多くの要因が重なった結果として起きるのだ。

それなのに、私たちはいつも「たったひとつの原因」だけを突き止めようとしてしま「りんごは熱すれば落ちる。なぜ落ちるのだろうか？地球の引力によるものだろうか。

茎が枯れるからだろうか？日光で乾燥するからだろうか？重くなりすぎるからだろか？風に指さぶられるからだろうか？それとも下に立つ少年がそれを食べたいと思うからだろうか？これらのどれも原因ではない。それらすべての理由が重なりあって起こる」
とロシアの作家は書いているが、この記述は的を射ている。