見出し画像

春に向けて気分を盛り上げていく音楽(2024年)

冬だから当たり前なのだけど、寒すぎて気分が滅入ってくる。ここ数年は手足がしもやけで痛くて、文字を打つPCとマウスすら冷たい。
だからせめて音楽だけは気分のアガるものを。
とはいえゴリゴリだったり、イケイケアッパーな感じだけではなく、あまり下世話にならない選曲で、なおかつこの1年以内にリリースされた作品を中心に選択した感想などを。


Get Up Sequences Part Two/The Go! Team

UKブライトンの6人組による7枚目のアルバムは、2023年2月のリリース。レーベルはMemphis Industriesから。

アルバムタイトルにPart Twoとあるように、2021年にリリースされたアルバムの続編でバラエティ豊かな音楽性を楽しめる。というか、これまでリリースされたアルバムの音楽性が雑多なのは毎度のこと。
あざとさを感じるドラムロールとか、ワンショットの印象的なシンセサウンドとか、やたらとノリのいいリズム隊とか色んなアッパー要素を詰め込んでいる。グイグイくる感じが暑苦しいけど鬱陶しさは無い。
根底にはどこか懐かしさを感じられるファンクがあって、カラフルでやり過ぎなのにダサくならないのはそのせいかも。


Pieces Of Treasure/Rickie Lee Jones

様々なスタイルで歌うRickie Lee Jonesによる15枚目になるスタジオ・アルバムは、ジャズ・スタンダードのカバーとなる。2023年4月のリリースでレーベルはBMG Modern Recordingsから。

同じようにジャズ・カバーだった『Pop Pop』(1991年)を未だに好んで聴くのだけど、今作も期待通り。ダウナー気味な歌い方と、少ない音でシンプルに構成された音楽が刺さる。
現代的な音圧高めで音の密度も濃い音楽とは真逆を行く素朴な音楽で、インスタントでいいからコーヒーでも淹れながら聴きたい。


EXP/DJ Shufflemaster

金森達也によるDJ Shufflemasterの2001年リリースのアルバムが4曲のトラックを追加して2023年1月に再発。レーベルはドイツのToresorより。

存在感のあるシンセやパーカッションの跳ねる感じによって生み出されるドライブ感のあるミニマルなテクノで、反復する4小節の気持ち良さに気分が高揚する。
正直に言ってこのアルバムはリアルタイムで聴いていないのだけど、今の耳で聴いてもむしろ心地よい。Aメロ、Bメロ、サビといった構成はなく、踊ることに特化して無駄を削ぎ落とした音楽とはこういうのだと思う。


World/Elephant Gym

台湾の3人組バンドElephant Gymの4thアルバムは2023年3月のリリース。レーベルはWORDS Recordingsから。

演奏に一定の緊張感がありながらもメロディーはポップで少しジャズやフュージョンっぽくもある。BGMに流しながら作業をすると捗りそうな音楽。
ジャンルが雑多でエキゾチックなのはアジア系ならではといった感じで「Feather」では日本語の歌詞の曲も聴ける。


Too Much Fun/Memphis LK

オーストラリア、メルボルンを拠点に活動するMemphis LKによる5曲入りEPは2023年1月のリリース。レーベルはDot Dash Recordingsから。

ジャンルとしてはハウス、ガラージュ、ジャングルなどで、いわゆるダンス・ポップだと思う。
全曲3分程度の尺でダンス・ミュージックとしてというよりはリスニング向きと思われ、切ないメロディーがグッとくる「Too Much Fun」のポップセンスがなかなか好き。


You Are Love and I Am You/The Parlor

NYを拠点に活動するEric KransとJen O’Connorの夫婦によるユニット、The Parlorのアルバムは2023年5月のリリースで、レーベル名もThe Parlorとあるのでセルフリリースと思われる。

宇宙と手を広げた女性というのが、どこか新興宗教っぽさも連想させる壮大なカバーデザインだが、ジャンルはネオサイケなドリーム・ポップとなって陶酔感とポップなメロディーのバランス感がユニーク。

「The Cloud of Unknowing」での、柔らかいシンセ・パッドやストリングスとシューゲイザーのようなギターサウンドの組み合わせも好き。


Full Tilt Carry/The Carry Nation

NYを拠点に活動する二人組Will AutomagicとNita AvianceによるThe Carry Nationによるコンピレーションは2023年5月のリリース。レーベルはNervous Recordsより。

ジャンルとしては比較的なテックハウスやトライバルなハウスを中心に20曲が収録(追加でDJ Mixも)。全体的に90年代っぽいハウスを現代に蘇らせたような印象で、時代が二周りくらいしたのかも。

のっけから印象的な電子音のフレーズのループと、声を張り上げる女性ヴォーカルのPaurro「Mi Viejita」で心を鷲掴みにされる。
アシッドなベース音とアフロ・ビートっぽいXander「Eli Escobar」、80年代ハウスを彷彿とさせるDevoyeの「Radius Clause」や、アルペジエイターで鳴らしたシンセ音が印象的なShaun J. Wright「You've Caught My Eye」も好き。


Changing Channels/Pangaea

Kevin McAuleyことPangaeaによつるアルバムのリリースは2023年10月で、レーベルはHessle Audioから。

元々はダブステップをつくっていた人らしいけど、ハウスやドラムンベースっぽい曲も収録されている。
お気に入りは、90年代初期を彷彿とさせるテックハウスの「Installation」。複雑なパーカッションのリズムが疾走する「If」もアガる。


Echoes Of Yesterday/Goodge

UKハイウィコム出身のGoodgeによるアルバムは2023年5月のリリースで、レーベルはCold Bustedから。

R&B、ジャズ、ファンクを混ぜたような控えめなサウンドで、ヴォーカルはなし。アダルトな雰囲気のローファイサウンドが心地よい。「Heart Of The City」のキラキラした感じとか好き。
街歩きしながら、こういうグルーヴ感のある曲を聴けたら楽しいと思う。



Like An Orchid/merci, mercy

シドニーを拠点に活動するシンガーソングライターによる5曲入りEPは2023年11月のリリースでレーベルはLiberation Recordsから。

色とか柄がとっ散らかっていて、少し気味の悪いカバーデザインだが、意外にも分かり易いメロディーのギターポップでとても聴きやすい。
90年代以降のUKインディーバンドのようでもあって結構好き。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?