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from MonochroMe #D93245 桜と快晴

時々、ものすごく自分に優しくしたい日がやってきます。基本的に私は自分のことを甘やかしてしまいがちなのだけれど、晴れた天気のいい日くらいは自分のことを許してあげたいなと思います。

思えば最近は忙しくしてしまっていた。嫌なことを嫌なまま受け入れなければならない瞬間も多々あった。寒さと暑さの間で鬱屈とした気分になって、重い体をその重さのままベッドに横に倒していた。

そんな自分を変えるには、まずは着替えて、外に出る事から始めようと思いました。


夏も間近に感じる空の青さに、私は『桜』を見に、六本木に参ります。

『ダミアン・ハースト 桜』国立新美術館 2022.3.2~2022.5.23

最新作である〈桜〉のシリーズでは、19世紀のポスト印象派や20世紀のアクション・ペインティングといった西洋絵画史の成果を独自に解釈し、色彩豊かでダイナミックな風景画を完成させました。それはまた、1980 年代後半以降、継続的に抽象絵画を制作してきた作家にとっては、色彩や絵画空間に対する探究の大きな成果でもあります。大きいものでは縦5 メートル、横7メートルを超える画面に描かれた風景は、儚くも鮮やかに咲き誇る桜並木の下に身を置いた時のように、私たちを幻想的な世界に誘います。

『ダミアン・ハースト 桜』展覧会概要より

桜の花は日本人にも馴染み深い。私も今年、桜を見上げながら食事をしたのが記憶に新しい。春の風物詩と言えば桜で、桜はいつも、私たちの世界に凛と佇んでいる。そういう普遍的な凛々しさを持つ桜が、私はとても好きなのです。

桜には、繊細さや柔らかさや、透け通るような淡さと刹那さのようなものを感じます。桜は散り際が最も赤く染まって美しいし、桜が散るところはとても情緒的に思います。散ってしまうから美しいと、残酷にも思ってしまうほど。

けれどこの展覧会に並んだ桜並木は、とても色鮮やかで、大胆で、力強い、そういう美しさがありました。それは儚さの反対にある、揺るぎのない美しさ。

入口から入って奥側の壁沿いに、一つの桜の絵がありました。
私はその絵の前で、呆然と、その美しい赤色を浴びるのです。

真っ赤な赤色に目を惹かれて、つい立ち止まってしまう
そしてそれは、いつまでも

私はもしかしたら今まで、酷く色の少ない世界を生きてきたのかもしれない。
私はもしかしたら今まで、私一人の世界にしか目を向けていなかったのかもしれない。

桜の色は、淡いピンクのみならず、濃密な赤と、さんざめく紅の入り混じり。とても華やかな桜の色に私はなんだかとっても嬉しくなってしまって、と同時に、とても元気を貰ったのです。


#D93245  チェリーレッド

外に出れば、六本木は絵の具を溢したような青空で、それがまたとても可笑しかったのです。私の薄手のコートも青色で、私は展覧会の桜色のチケットを鞄に仕舞う。
多くの人が私とすれ違うように国立新美術館に吸い込まれるように入っていって、きっとみんな、個別の感動を味わうのかもしれません。そんな姿を想像する私は少し厭らしい。でもそんな自分を、今日は少し好きでいようと思います。

少なくとも今日この一日は昨日よりも、少しばかり、いい日になる気がしたのです。

淡い色の桜もありました!
こちらもとても素敵でしたので、お裾分け


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