from MonochroMe #D93245 桜と快晴
時々、ものすごく自分に優しくしたい日がやってきます。基本的に私は自分のことを甘やかしてしまいがちなのだけれど、晴れた天気のいい日くらいは自分のことを許してあげたいなと思います。
思えば最近は忙しくしてしまっていた。嫌なことを嫌なまま受け入れなければならない瞬間も多々あった。寒さと暑さの間で鬱屈とした気分になって、重い体をその重さのままベッドに横に倒していた。
そんな自分を変えるには、まずは着替えて、外に出る事から始めようと思いました。
夏も間近に感じる空の青さに、私は『桜』を見に、六本木に参ります。
桜の花は日本人にも馴染み深い。私も今年、桜を見上げながら食事をしたのが記憶に新しい。春の風物詩と言えば桜で、桜はいつも、私たちの世界に凛と佇んでいる。そういう普遍的な凛々しさを持つ桜が、私はとても好きなのです。
桜には、繊細さや柔らかさや、透け通るような淡さと刹那さのようなものを感じます。桜は散り際が最も赤く染まって美しいし、桜が散るところはとても情緒的に思います。散ってしまうから美しいと、残酷にも思ってしまうほど。
けれどこの展覧会に並んだ桜並木は、とても色鮮やかで、大胆で、力強い、そういう美しさがありました。それは儚さの反対にある、揺るぎのない美しさ。
入口から入って奥側の壁沿いに、一つの桜の絵がありました。
私はその絵の前で、呆然と、その美しい赤色を浴びるのです。
私はもしかしたら今まで、酷く色の少ない世界を生きてきたのかもしれない。
私はもしかしたら今まで、私一人の世界にしか目を向けていなかったのかもしれない。
桜の色は、淡いピンクのみならず、濃密な赤と、さんざめく紅の入り混じり。とても華やかな桜の色に私はなんだかとっても嬉しくなってしまって、と同時に、とても元気を貰ったのです。
#D93245 チェリーレッド
外に出れば、六本木は絵の具を溢したような青空で、それがまたとても可笑しかったのです。私の薄手のコートも青色で、私は展覧会の桜色のチケットを鞄に仕舞う。
多くの人が私とすれ違うように国立新美術館に吸い込まれるように入っていって、きっとみんな、個別の感動を味わうのかもしれません。そんな姿を想像する私は少し厭らしい。でもそんな自分を、今日は少し好きでいようと思います。
少なくとも今日この一日は昨日よりも、少しばかり、いい日になる気がしたのです。
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