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妊娠20週目 また羊水検査で悩む
昨日、産婦人科に定期検診に行ってきた。
エコー検査に1時間半もかかった。
手の指がちゃんと5本あるかとか、細かく調べていた。
そのあと、診察室へ行って医者と話したとき、赤ちゃんが小さいと言われた。
小さいことは大きな問題じゃない、と言ったあとで、やっぱりダウン症の可能性があるから羊水検査か血液検査を受けるべきだ、と説得された。
羊水検査による流産などの危険性がいかに低いかを医者が一生懸命に説明し始める。
わたしは中国語が聞き取れなかった部分もあり、なんであんなに悩んで受けないと決めて断った羊水検査を、また勧められているのかがよくわからず、ただただ困惑していた。
医者に、もし障害があっても産むから、検査は無駄だと思う、と言ってみたが、わたしの中国語が伝わらなかったのか、返事が返ってこなかった。
よくわからないまま、明日の午前中に予約を取るから、他の医者の診察を受けるようにと言われた。
家に帰ってから、付き添っていた旦那さんに聞いてみると、明日の医者は遺伝子に詳しい医者だとのことだった。
ダウン症があっても産みたいなら産んでいいこと、それはお義母さんも同じ気持ちであること、ただ育てていく負担は大きいと思うよ、ということを旦那さんに言われた。
羊水検査は受けない、ダウン症でも産むと決めているのに、何のためにまた病院へ行くのかと思いつつ、仕方なく今日も病院へ行ってきた。
医者から昨日はよくわからなかった、なぜわたしは羊水検査をするべきなのかということについて、詳しい説明がされた。
以前の血液検査やエコー検査で、ダウン症のリスクを調べた結果、1/8という高い結果が出ていて、昨日のエコー検査で足が短かったため、ダウン症の可能性が高い、とのことだった。
ただし、単純に背が低いために、足が短いという可能性もあるらしい。
その先生からも、また昨日と同じように、羊水検査のリスクの低さやら費用やらの説明がされる。
リスクは低いから心配することはないのよ、と言うので、わたしは心配してるんじゃない、障害があっても産むから、検査は無駄だと思っているんだ、と伝えると、
そう、障害があっても産むのね。でも、ダウン症の人は合併症もあって、一生お世話していかなきゃならないのよ。
わかっています、もう長いことよく考えたんです、と返すと、さらに、
長いこと考えたのね。一生、お世話していけるのね。ダウン症の人は65歳くらいまで生きるけど、あなたその時何歳になっているの?最期までお世話できるの?誰かお願いできる人がいるの?それにもし兄弟ができたら、その子たちにも一生お世話させなきゃならないことになるのよ。
確かにわたしは先に死んでしまうかも知れないけど施設とかがあるだろうと言いたかったが、中国語で何と言っていいかわからず、ただ言い返せないまま、涙が溢れてきた。
すると、施設にいれることを言っているのか、
本人も辛いと思うわ。両親が世話するのとは違うのよ。
というような言葉が聞こえた。
羊水検査の他にも、さまざまな受けたほうがいい検査の説明がされ、わたしはどれも必要がないと思ったし、受けたくなかったけれど、家に帰ってから旦那さんと相談していいですか、と言って話を終わらせた。
羊水検査を受けられる病院の名刺を渡されて、待合室で待つように言われた。
台湾では、妊婦が34歳以上なら、羊水検査を受けるのに政府から補助が出るらしい。
病院の待合室にも、その補助についてのポスターが貼られていて、羊水検査を受けて、良い妊娠を、というようなことが書かれていた。
ポスターをビリビリに剥がして引き裂いてやりたくなった。
日本では、母体保護法でどんな赤ちゃんも産みましょうと定められており、医者から羊水検査を勧めることはないそうだ。
わたしが引っかかったダウン症のリスクの検査だって、日本ならそもそも受けなくてもよかったのかもしれない。
ダウン症があっても産むというわたしの決断は、そんなに甘いのだろうか。
ただ胎児を堕したくない、という、わたしのエゴなのか。
わたし自身が、堕したことで罪悪感を感じたくないから、わがままを言っているんだろうか。
ダウン症の子ども自身にとっても、堕したほうが幸せなの?
でも、そんなの、誰だって生きてたら苦しくて死にたくなっちゃう時、あるんじゃない?
生まれてこなきゃよかったって思うくらい、苦しい時、みんな多かれ少なかれ、あるんじゃないの?
65歳まで面倒見切れるのかって言うけれど、
わたしの寿命なんて、何歳まで元気でいられるかなんて、そんなの知らない。
明日事故に遭うかもしれないし。
それはわたしだけじゃない、みんな同じ。
それなら、健常児を妊娠した人には、あなた、この子が成人するまで責任持って面倒見られるの?今の時代、大卒じゃないと苦労するけど、その学費は払えるの、って、聞いたらいいじゃない。
世の中には、幼い子を残して病気や事故で亡くなってしまうお母さんだっているじゃない。
台湾に、ダウン症の人のための、どんな制度や施設があるのかなんて知らない。
どうしてダウン症なら堕ろせと言うの。
そうじゃなくて、ダウン症の人のために、こんな制度や施設がありますよ、と教えてくれたらいいじゃない。
きっと、台湾の政府は、ダウン症の人がより良く生きるためにどういう支援が必要か、じゃなくて、どうしたらダウン症の人を排除できるか(そもそも産ませないためにどうしたらいいか)に重点を置いているんだろう。
わたしのお腹の子どもがダウン症かどうかの、1/8という確率は、とても高い気がする。
羊水検査を受けて、陰性なら安心できるし、陽性なら産むまでにダウン症について調べて、心の準備ができる。
でも、きっと陽性なら、医者は堕ろせと言うんだろう。
どう戦って、説得したらいいのかわからない。
なんで堕したくない、というのをこんなに責められ、医者をどう説得するか悩まなきゃいけないのか。
ダウン症の人は産まないようにしましょう、と国をあげてやっているようなこんな国で、ダウン症の子どもを産んで、その子が幸せになれるとは思えない。
そんな国に、ダウン症の人のためを思った政策なんてなさそうだから。
陽性だったら、旦那さんと離れて、日本に帰って産むべきだろうか。
ありがたいことに、日本の家族はみんな、もしダウン症だとしても産むことに賛成してくれているし、両親は仮に帰国して育てることになれば、育児に全面的に協力し、サポートすると言ってくれている。
ダウン症なら堕すよう勧めてきた医者には、堕した場合、わたしは一生、心のケアが必要になるだろうけど、その責任を取れるのかと問いたい。
もう5ヶ月もお腹の中で一緒に過ごしてきて、胎動を感じ始めたところだ。
どうやら堕せるのは今月いっぱいまでらしい。
医者は間に合わなくなるから早めに羊水検査を受けるようにと言ってきた。
間に合わなくなってしまえばいいのに。
堕すかどうかで、もう揉めなくてよくなる。
陽性なら堕すことが前提なら、羊水検査なんてやっぱり受けたくない。
今の医療技術の進歩を思えば、羊水検査のリスク自体は、本当に低いんだろうと信じているけど、
もし、陽性だったときに、また、堕すべきだ、どうして堕さないんだ、一生この子の責任取れるのかと言われるのが目に見えていて苦しい。
ダウン症の子を育てていく苦労なんて知らない。
やってみなきゃわからないもの。
それは健常児だって同じで、虐待のニュースを見ると、自分がノイローゼにならずに、立派に育児できるか不安になったりもする。
でもやっぱり、奇跡的にわたしのお腹に来てくれたこの子を、頑張って育てていきたい。
障害があってもなくても頑張って育てていこうって覚悟決めたんだよ、もう構わないでよ、余計なこと言わないでよ。
子どもは堕さない前提で、話を進めてよ。
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