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ありたい未来をつくるコツは”楽しみ” にある                          〜竜王そば振興会に携わるみなさんに聞く「竜王そば」と「地域活性化」との関係とは〜

職場での仕事に追われる中、休みの日ぐらいは何か仲間と”楽しみ”を持ちたいって思うことはありませんか?

今から20年ほど前、兼業農家のサラリーマン松瀬佐二郎さんもその一人。集落の人たちと触れ合える”楽しみ”の場を持ちたいと思っていたのだそう。

そこで始めたのは、「自分で作ったそばを、自分で打って、食べたらおいしいだろうな!」と、3人の仲間で1枚の田圃にそばを蒔くこと。

この”楽しみ”は、たくさんの人とのつながりをつくり、今では竜王町の特産「竜王そば」として地域活性化に貢献するまでに広まっている。

佐二郎さんが亡くなった後もバトンをつなげている”竜王そば振興会”の松瀬伊さんと松瀬清さん、JAグリーン近江の辻澤さんと森さんに、「竜王そば」と「地域活性化」との関係についてお話を伺いに行ってきた。

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”地域活性化や農地を守ろうとして始めたわけじゃない。”と清さん

高齢化や農業の機械化への移り変わりで、兼業農家農のサラリーマンは、農作業をすることは少なく、農業を話し合う機会も少ない。それならば、自分たちで、”楽しむ”場所を作っていこう!と始めたもの。

1年目は全滅。全く収穫できなかった。それにも関わらず2年目。佐二郎さんは新たな仲間と、圃場を増やし3haに挑戦。待望のそばを味わうことができた。

この楽しみはみんなにも届けたいと、「出前のそば打ち体験教室」を始める。テーブルさえ準備すればOK、自宅、集会所、学校等で身近な仲間と気軽に楽しめることが好評で、予約が殺到し、サラリーマンであるメンバーは休日返上で大忙しに。

3年目は、もっと知ってもらい楽しんでもらおうと「そば&自然食フェスティバル」を、行政に頼らない自主的なイベントとして企画し開く。

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4年目には「竜王町そば振興会」として正式に発足し、本格的な活動へ。
麦後の圃場管理作物としてのそば活用できないかと、JAと生産部会化。かねてから集落の人の集う拠点を持ちたいとの思いもあり、そば処店舗「さわえ庵」を構える。

(上部写真はさわえ庵安土店の「近江牛そば」。そばは伊さんの手打ち。私たちを迎えるために、朝から打って用意してくださっていた。)

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”全部やるから楽しい”と伊さん

いつのまにか自分たちで栽培し、自家製粉、自家製麺、直接店舗販売できる。まさしく地産地消、全部のシステムが整っていた。

これらの取り組みが広まるにつれ、そばの栽培希望者が増えていき、多い時には40haの田圃に真っ白い花を咲かせることができたそうである。

思いつきで始まったサラリーマンの小さな”楽しみ”が、結果的に地域にとっては「竜王そば」という特産品に、農家にとっては麦後の圃場管理に、住民にとっては新たな白いそば花畑の風景にと、地域貢献へと広まっていた。

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”最初から描いていたことではなかった” しかし、”思ってないことはできない”と清さん

最初からこんな未来をかかげ、見せられていたら、そんな大それたことはできないと、参加しなかったと思う。佐二郎さんが、いつの間にか次の展開を決めていて、人を采配してはじめてしまっている。それじゃ仕方ないなと、ついつい巻き込まれながらやってきた。そしたら、ここまで広まっていた。

みんなを引っ張ってきた佐二郎さんが亡くなった時、これからどうするか、迷いはあった。でも、周りを見渡してみると、生産から販売管理まで全ての土台はすでに完成していた。

ここまできたら、やめられない。とバトンをつなげることにした。

今の目標は、佐二郎さんの目指した、竜王町に拠点を持つことだそう。

「佐二郎さんとの歩みは楽しかったのですね?」と問いかけると、「いやいや、そうじゃない」と笑顔を見せながら口々に。「でも、本当に感謝している」と、嬉しそうに話してくださった。

佐二郎さんが言う”楽しみ”という言葉の奥には、「集落内で人々が触れあうことが大事」という本質的な思い、それが佐二郎さんの元に集まる仲間にもあったからなのかも。

しかし、これからも続けていくことは簡単ではない。

収穫量はここ5年ほど、安定していない。特に2017年2018年は、長雨や台風被害で作物全体の収穫量が10分の1へ激減したように、これからも天候不順などの外的な影響が大きい。それ以外にも、人不足による収穫期の遅延などの直接的な課題もあるという。

無農薬で育てる国産の良質な”竜王そば”を求めるこだわりの飲食店は多く、つながりカフェsobanomiもその一つ。特に今年は需要に対して供給が追いついていないのが現状なのだ。

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そば粉のガレットを提供してきたお店”さらざん”の目指す”そばを通じたハッピーサイクル”への思い。つながりカフェsobanomiもその思いを共に目指そうとこの春から運営をしている。しかし、これを循環させることは、そう単純ではない。環境、高齢化、経済、政治の仕組み、、、複雑に絡み合っている。

それでも、できることはある。

一つには、やはり、顔の見える関係から、自ら選択して”楽しく美味しく食べる”こと。ではないかと思う。

あなたも一緒に、食べて、この風景を支えませんか?

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ーどんなときも自分らしくあるためにー 自分の仕事研究家 カフェ店主「京都烏丸五条の京町家カフェ”つながりカフェsobanomi”」 学びの場づくり「つながりを大切にするコミュニケーション”NVC学び合いの会in京都”」 企業向け研修「”NVCを用いた頭を切り替えるための発想法”」
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