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古参の少女漫画好きが選ぶ、心がささくれた時に効くおすすめ少女漫画5選!(昔の)

初めまして。
都内でゆるゆると書籍やコミック、広告に関わる諸々を生業としております。
本や漫画、雑誌、WEB、読み物は何でも好きです。雑食です。

そして生粋の少女漫画好きです。(少年青年漫画も何でも好きです)
今の作品もそれなりに読んでおりますが、歳の離れた姉達の影響もあり、
割と結構古参のファンです。

今回は、色々としんどい事の多い昨今、
世の中捨てたもんじゃないな〜とほっこりしたり
心の糧になるような、少し(かなり?)昔の少女漫画を
独断で、無理やり5作品選んでご紹介したいなと思います。

(※あくまでも読んだ事がほぼ無かったり知らない方向けですので、
玄人様の厳しいお言葉は何卒ご容赦を…(チキン)

◇◇◇◇

少女漫画。ご縁や興味のない人にとっては、おそらく
「恋愛ものばっか」「目が顔の半分占めてる」
という概念が少なからずあるジャンルなのではないかな?と。

基本、間違ってないです。
学園物、ファンタジー、SF、スポ根、コメディ、歴史物、ホラー、ミステリー、セカイ系他カテゴライズ出来ないジャンルと本当に幅広く奥深いですが
根本には恋愛が付き物です。
切っても離せません。目は大きくキラッキラです。
(そうじゃないものもあります)
それが昔から少女達の心を育んできたのですから。

オススメ作品紹介の前に、余談になりますが、
少女漫画を語る上で外せない「恋愛」
まさにそれがテーマと言ってもいい、「わたしのマーガレット展」という
展覧会が、2014年六本木森ビルのギャラリーでありました。
集英社の少女漫画雑誌「マーガレット」50年もの歴史を一挙公開の、素晴らしくよく出来た企画展でした。

貴重な何十年も前の原画も綺麗な状態で観ることができ、
ファンならば全てにもう感涙耽溺でしたが、
この展覧会で、個人的に一番キュン死したのが…
展覧会場に入るまでの導入口でした。導入からこれか…と。

混雑を避けるため入場人数制限をされており、カーテンに仕切られた入口に設置されたスクリーンで、マーガレット作品の印象的な場面を集めた短い映像が流れます。テーマは「100のキス・・・Love & Kiss Forever」
ちょっと映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿とさせますね。

おっベタなのきたなーと汚れた大人の心でもって
最初は「入場制限とか勿体ぶんなや…」なんて思ったりしましたが(スミマセン)各作品の名場面が、万華鏡のごとく怒涛で流され、作品の主人公が語った言葉
『たどってきた全て(恋愛)が今を作った』

"「わたしのマーガレット展」“カレイドスコープシアター”メイキング映像" https://youtu.be/zRAmzuS1ZVc

もうこれに、展覧会観る前から涙腺ヤラれました。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストシーンの如く。

そう、「私の」マーガレットなんだよね。
少女だった一人一人の想い出と寄り添ってるのよね…

「恋愛」というともすれば軽視されるかもしれない軸を、50年貫く。
その潔さ。プライド。ずるい。…尊い。号泣。
…はい、チョロいです笑
その後も展覧会の中身の充実ぶりに、制作企画側の愛を本当に感じました。
広告も電車内吊りジャックまでしてたけど、目立っててストレートでセンスよかったなあ。
グッズ展開まで見事でしたわ。チョロい私ホイホイでしたわ。
ベルばらメモ(マーガレットコミックスになってる)やバッグやお菓子や色々奮発しましたわ。

…余談長すぎましたすみません。

私は記憶の限りでは4歳の幼少期から、歳の離れた姉達や従姉妹より
少女漫画英才教育を受けたような少女漫画猛者(自称)なので、
少女漫画界のトキワ荘的メンバー(萩尾望都、竹宮恵子、山岸凉子、大島弓子、木原敏江など)の神作品の恩恵もあずかりつつ、
一時は各少女漫画雑誌をほぼ全網羅していました。

………さて。やっと本題!

「ディープ過ぎ」と歴年の漫画の編集者様にも引かれたわたくしが選ぶ、
今でも今こそ読んだらいいよ!!な5選です。

◇◇◇◇

1.「潔く柔く」(著・いくえみ綾)

マーガレット展の話題を出したので、別マ代表(当時)を最初に。
『いくえみ男子』(一見モサッとしてるけど妙にフェロモンがあり、だめんずなんだけどモテる男)という言葉を生み出したいくえみワールド。
特徴は「やけにリアル、でもドラマチック」かな。
「潔く柔く」は、主人公の少女の恋愛と成長を軸にしつつ、
様々なカップルのオムニバスにもなっています。
あ、実写映画にもなりましたね。
いくえみ綾さんの作品って、昔からとっくにドラマや映画や
アニメなんかになってても不思議じゃない作品が多いと思うけど、
あんまりそういう展開しないんですよね。作家さんの意向かなあ。
「いくえみ綾」という稀代のリアル恋愛ストーリーテラー
代表作のひとつであろうこの作品。
これを読むと、女性はいくえみ作品特有のチクチク刺さるセンシティブさに共感したり悶えたり、男性は読んだらリアルな細かい女子心理がわかりやすいですよ。そこらにいそうなリアルな普通の子ばかりを描いています。
いくえみ綾さんといえば、作品の登場男子を、その時御本人がご趣味で
ハマっている有名人に似せる癖があり、古くはモデルが奥田民生さん、
香取慎吾さんだなこれってモロ分かるのですが
「潔く柔く」はオムニバスだから、登場人物も多くて
そのクセが出ていない気がしますね(ない方が好きかな)。
いくえみ作品の中でも比較的誰でも読みやすく、しんみりしつつ爽やかです(ワインの感想みたいになった…)。

2.「BASARA」(著・田村由美)

田村由美さんも言わずと知れた天才ストーリーテラーでございますね。
「田村由美にハズレなし」。
「7SEEDS」も勿論名作です。長かったけど。
今も「ミステリと言う勿れ」という名作が進行中ですね。
デビュー時から何を主題にしても現代でもファンタジーでもコメディでもシリアスでも短編も長編も上手いです。
そしてやっぱり、私は世代的にも「BASARA」なのです。
絵はクセがあるので好みが分かれるかもですが、読めばそんなのどうでも良くなるかと。というか絵はうまい。あと色彩センス抜群と思ってます(←何様目線)。
簡単に言うと「BASARA」は「文明崩壊後の日本を舞台にした、架空戦記ヒロイックファンタジー」…だそうです(wiki参照)。

とにかく、アツいのです。
熱い。戦いも恋愛もアツいです。登場人物も多いのですが、
皆個性があり超魅力的。皆切ない。
モブっぽいキャラや小さな動物まで大事に描かれるのも田村作品の特徴。
しんばし一家(フクロウ)かわいいです。癒し…
そして、強い名言の嵐。
「己の望むことを!己の望むように!己で考え!己で選び!己で決めろ!
己を信じ 己を頼め 己で荷を背負い 己で責めを負い己の意思で 判断で
誇りを持って 己のために生きよ」…鼓舞されますねえ。これ今読んでも。
強くなりたい時にも読みたいです。戦に挑む気分になれます。
ヒールにも脇キャラにも細やかにドラマがあり
大流行の「鬼滅の刃」にも似たドラマ感がちょっとあるかなあ。
(「鬼滅」も作者様は女性といわれていますが、そういわれると
女性特有のエモい感情表現の繊細さがありますね)
ラオウ様(名言多し)やキングダム好きな人にも向いてるかも…?
かなりときめくドラマチックな恋愛は勿論盛り込んであります。
数奇な数々の運命に翻弄されつつ、何度倒れそうになっても強く挑んで戦う
なんて、少女漫画イメージの垣根を越えて、
面白いに決まっているよね!田村由美万歳!

3.「グラン・ローヴァ物語」(著・紫堂恭子)

こちら、かなり昔の作品ですが、ちょっとマニアックかもです。
私はこれを描いた紫堂恭子先生が大好きです。
この作品、当時星雲賞コミック部門とられているんですね。
あらすじはまたまたざっくりと、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界を
舞台に、人間の台頭と神秘世界の終焉を描いたもの…です(wiki参照)。
「指輪物語」っぽさもありますね(影響を受けられてるそうです)。
長編ではないですが、大変上質なハイファンタジーです。
決して派手な目立つ絵とかではなく(失礼)、
普遍的な温かみのあるタッチと世界観には、宮崎駿ぽさも感じました。
そのタッチで、結構怖い造形の化物も迫力です。
ファンタジーが上手い方って、たったワンシーンで異空に連れていかれるような奥行きを描くセンスのある方なのかなあと。
この方もそうだと思います。
さすが当時意識の高さマニアックさでは随一だった雑誌「プチフラワー」でデビューされただけの事はあるなと!
「辺境警備」というデビュー作(デビューでこれ!)も大好きです。

最近、久しぶりにこのグラン・ローヴァを読み返したのですが、
(自宅に居る事が増えた事により、過去の名作もたくさん読めますね)
子供の頃に読んだ時より、賢者のセリフなど深く染み入りました。
当時も感動したけれど、やはり感想も余韻も違ってきますよねぇ。
シンプルながら人生や生きとし生きるものや世界に大切な事が、
柔らかく丁寧に描いてある良作です。

4.「ALEXANDRITE」(著・成田美名子)

成田美名子さんなら世代的に「CIPHER」と迷いましたが、こちらを。
NYコロンビア大学が舞台のキャンパス青春ライフ。
大きな事件が起きるわけでもないいわゆる日常系(華やかだけど)。
読んでいた頃はまだ子供でしたが、ハリウッド映画を観るように憧れましわー。アメリカングラフィティ的な雰囲気ですかね。当時は外国が舞台の漫画多かったなあ。アメリカやイギリスやフランスが舞台で軽やかであり豪華で。いい時代だ。
今読み返して驚くのが、25年以上前の作品とは思えない、
今でも十分通用するお洒落な洗練された絵と普遍的なストーリー。
ファッション。ほんとかっこいい。今もこの服着たいわ。
でも、携帯やPCがほぼなかったりするとこで昔なんだなと気づくくらい。
そして、当時はゆるく読んでた内容が、刺さる刺さる。
名言名シーンのオンパレード。
それらが、緩やかにさらりと、優しく描かれています。
成田美名子さんも、センシティブな感情を描くのが実に丁寧で、
お人柄が出ている気がしますね。カラーイラストもめちゃくちゃ繊細。
CGない時代にこれかっていう。そういう少女漫画は多いですが…点描など…
この作品を読んで泣く日が来るとは(ライトな日常系と思っていたので)。
気持ちがささくれた時に、主人公レヴァインの軽やかさと、
悩みながらも楽しい青春に励まされます。

5.「ファミリー!」(著・渡辺多恵子)

絞るの大変だったけれど…
でも、やはりこれ。
渡辺多恵子さんといえば「風光る」が有名でしょうか。
もちろんそちらも好きです。新選組は「風光る」で深く知った(かなり脚色あるとはいえ)。
「ファミリー!」は、初期の名作です。
この作品もアメリカが舞台の少女漫画が流行っていた頃のものですね。
「BANANA FISH」とかも同時期だったかな。
これぞアメリカンハートフルホームコメディです。ザ・80年代。
「ビバリーヒルズ高校白書」や「フルハウス」が思い浮かぶ感じ。
とにかくこれも登場人物が全て魅力的。いい時代のアメリカっぽさ。
ほんとに日本人が描いたのかと思うくらいアメリカンなウィットとオチ、
でもやはりどこか日本人の作家らしい情緒が満載です。
アメリカのLAかな?の、平凡であたたかい家族愛を軸に、
ひねくれたお嬢様や、マセた「将来の夢はOLになって恋すること」の小学生の妹やゲイのお兄ちゃんや恋するお婆ちゃんや冒険する子供達や離婚した夫婦や複雑な境遇の若者…
血の繋がりがなくても、誰より分かり合えるし家族になれる。
個人的にキャプチャで貼ったシーンのトレーシーという女の子が当時も今も好きです。子供だけど大人びて生意気でしっかり者で純粋でミーハーで
何だかんだ曇りない目線でズバズバ真理をついちゃう可愛い女の子。
トレーシーは特に台詞のセンスが光るなあ。
笑って泣ける王道!!です。声出して笑うし号泣もしますまじで。
うちの姉なんて、確実にこの漫画の影響受けて子育てしてますわ。
シェレン・ママが理想なんだろなー。

◇◇◇◇

はい。以上、全体的にバッドエンドはなく、ささくれた心に効く作品群。
です。
しかしディープかな…?王道だったかも?

全て個人的には古さなど全く感じない普遍的作品だと思います。

今だからこそ、これらの作品を読んで回顧だけではなく
柔らかくて軽やかな、あたたかい気持ちになるのっていいですね。

少女漫画は「恋愛」メイン。「恋愛脳」。
でも覗くと当然それだけじゃない、深くて広くて
「女の子を幾つになっても守ってくれる」ものかなあと思っています。

……そう!幾つになっても。あ、男の子でも。誰でも勿論です!

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