探鳥会レポート <H湖畔編> 2/3話 2022年6月 ホオジロは松がお好き。
先日、ゆる支部の探鳥会に行ってきました。
場所は山の上にあるH湖です。
1時間ほど歩いて休憩した場所は、運動場に隣接された東屋でした。
運動場の奥に広がる森がそこからよく見えました。
スコープを持ったベテランが松の木に焦点を合わせました。
「ホオジロが入っていますよ」
参加者は交代でスコープをのぞき込みました。
遠くの松の一番上にホオジロが止まって、くちばしを盛んに動かしていました。
もし聞こえたら、いい声でさえずっているのでしょう。
ホオジロは松の一番上がけっこう好きなのだそうです。
運動場の隣は草原になっていました。
木道が設置してあって、歩きやすそうです。
探鳥会御一行は木道に沿って草の間を進みました。
ちょうどレンゲツツジが見頃を迎えていました。
レンゲツツジの“レンゲ”とは、つぼみが集まった様子が仏様の座る蓮華座(れんげざ)に似ていることからきた名前なのだそうです。
あちこちから夏を告げるホトトギスの鳴き声が聞こえました。
平安時代の古典作品に、ホトトギスの鳴き声を聞きに外出する話が出てくるくらい、昔から愛された鳥です。
ホトトギスの鳴き声は「ホットキョキョキョ」みたいな感じでしょうか。
(個人差がありますね、はい)
その鳴き声に合わせて鳥が飛び立ちました。
鳩くらいの大きさで、扇子を閉じたみたいなしっぽが目を引きました。
すかさずベテランが
「あれがホトトギス」
「鳴きながら飛んだでしょう?」
それはどう見てもシルエットだけだったのですが、参加者からは
「へー」
「ホトトギス見ちゃった」
こんな喜びの声が上がりました。
湖を囲むように、山が環状に並んでいるのですが、その中でも一番高い山がよく見える場所に来ました。
富士山みたいに整った形の山です。
みんながその山を見上げていました。
一緒に山を見上げました。
「……飛ぶかも」
その時、上昇気流に乗って猛禽が飛び立ったのです。
「飛んだ」
「猛禽……」
「なんだ、トビか」
参加者からはいろんな声が上がりました。
天気がいいと、もっとたくさん飛ぶのだそうです。
「なんだ、だって」
「かわいそうなトビ」
トビは人間のことなんて構わずに、空を滑るように飛んでいました。
3につづく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?