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リターン予定の書体について

みなさま、
こんにちは、こんばんは。

先日公開いたしましたツイート及びnoteの記事が思っていたよりも多方面でご反応をいただけて舞い上がっております。本当にありがとうございました。今回は前回の続きになります。こちらも最後までお読みいただけますと幸いでございます。(前回のリンク↓)

では早速、、、

この度クリエイティブ組織「diotop(ディオトープ)」が企画いたします新組織『NEWTYPES(ニュータイプス)の設立』に向けてのクラウドファンディングにてリターンを予定しております書体のご説明をさせていただきます。まずは「Orbis」という書体からご説明をいたします。

「Orbis」とは何か

「Orbis」とはラテン語で「世界」という意味です。
世界で最も使われていると言われている「Helvetica」はラテン語で「スイスの」と訳されることにちなみ、少し野心的に、挑戦的に「世界」という看板を掲げたシリーズを構想しております。
なぜ「世界」と名付けたのか。大それたことを言いますが、それはこの書体のシリーズのコンセプトそのものが「世界」を意識したものだったからです。

数えきれない言葉を過去から未来へ紡いできた名書体たち。現存、ヘビーユーズされている書体を私たち「NEWTYPES」は「リスペクト」しているということを第一にお伝えしておきたいです。
そして、それらの現実を素直に受け入れ尊重するということ。そのことから「Orbis」の構想を始めました。

「Orbis」のコンセプト

この「Orbis」シリーズはコンテンポラリーライン」と位置付けて制作を開始いたしました。「コンテンポラリー」という名の通り「現代」を表した書体になっております。

例に「Orbis Grotesk」を挙げ、ご説明いたします。
「Orbis Grotesk」「Helvetica」「Univers」といった名だたるネオグロテスクの系譜を基に作られています。

さきの2つの書体の他にも「Arial」「Folio」等がネオグロテスクの代表格として挙げられます。
このネオグロテスクといわれるジャンルに位置する書体はこれといった特徴が無くいわゆる「普通」の書体であることが特徴と言えます。
なのでクセがなく、それが故に非常に使いやすく、伝えたい情報をストレートに違和感なく伝えることが出来る為、企業のロゴタイプにも幾度となく採用されてきました。特に大企業に多くその傾向を見ることができます。堅牢なイメージです。

そういったネオグロテスクの本来の「クセの無い造形」による、「高い解像度で端的に情報を伝える発信力」、それらを念頭に置き、設計、いや、現代から炙り出された「現代における新しい普通」それが『Orbis Grotesk』です。
より詳しく説明していきます。

詳しい説明

まず簡単に言いますと、「ネオグロテスク体の平均値を表した書体」になります。ヴィジュアルを用いて説明いたします。

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こちらは様々なネオグロテスクの小文字の「a」のアウトラインを重ね合わせたモノ(左)と、塗りの不透明度を下げて重ねたモノ(右)になります。
この様にして現存するネオグロテスク体の平均値を割り出し、Orbis Groteskは象られています。

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ここで留意すべきなのは、数多あるネオグロテスクからどの書体をサンプリングするか、でした。どれもこれもサンプリングするのは間違っています。「今」まさに今日も愛され使われ続けているネオグロテスクをサンプリングすることが最重要です。「Helvetica」「Univers」はもちろんのこと実際にヘビーユーズされているネオグロテスクを数種ピックアップし、サンプリングを行いました。
大半のキャラクター(ひと文字ひと文字の造形)は近しいですが、「G」のように少し造形が違うモノが度々見受けられるモノもあります。

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こういった際は選定した書体の中で多数決を取り、キャラクターを決めていきました。
アセンダー、ディセンダー、エックスハイト等、(文字の基本的な高さ等)こちらも平均値を割り出したものになっています。
当然、lightなどのウェイトも平均値を割り出しステム幅(線幅)を決め、スペーシング(文字の左右の余白部分)に至るまで平均値を求め設計しています。そしてハイクオリティな現代の印刷技術に呼応し、それに伴い今日では不必要になった細部の処理(古い書体に有りがちな行き過ぎたインキトラップ等)は排除しております。

「Orbis」にかけた想い

この字形はこの形にしたい、ここの細部はこうしたい等、そういったデザイナー本意のエゴはなく、
「現代社会が必要としている書体をつくりたい」
という想いが強く有りました。

デザインである以上、クライアントさんの「お声」はとても重要です。
この「Orbis Grotesk」におけるクライアントさんはつまり「世界中で使われているネオグロテスクそのもの」になります。

ヒアリング・リサーチ

私はこの書体を作るにあたり、様々なデザイナーさんにお話を伺いました。世界的なアワードを取られている方から、組織勤めのデザイナーさんやフリーランスの方、WEBデザイナーさん、デザイン初学者さん等。

お話を聞いたものを少しピックアップしますと、

・世界的なアワードを取られている方、組織勤めの方、フリーランスの方
「使う書体は選別・限定している」
「購入したお気に入りを使う」
「結局どれを使っても一緒」
「案件により選んではいるがまだ正解を見いだせていなく、書体迷子になることがある」
・WEBデザイナーさん
「WEBフォントはクライアントさんとの間の金銭的なこともありGoogle Fontsしか使わない」
「無料だとHelveticaモドキやFuturaモドキしか使えなくて、それらはどこかしらに癖があったりして少し歯痒い」
「良い書体はサーバー側で提供されている書体を使う」
・デザイン初学者さん
「有名な方や書籍でオススメの書体として挙げられているモノを使う」
「正直どれを使えば良いかわからない」

等々。

これらの悩みを日々お聞きするうちに、それらを解決したいと考え、この「Orbis」の着想を得ました。

誰もが納得して使える普通の書体。
ニューノーマル。

是非みなさまに
お使い頂ければ幸いです。

ネオグロテスクの「Orbis Grotesk」の他、
ヒューマニストの「Orbis Humanist」や、
ジオメトリックの「Orbis Geometric」も既に構想しております。
こちらもご期待を賜れますと幸いです。

そして、
「なんだよ、パクりにパクった書体かよ、そんなモノ誰でも作れるよ」と思われた方。
確かにその通りかもしれません。

なので私は、これらの書体を「コンテンポラリーライン」と位置付けているように、違うラインもいくつか構想しております。

開発中・構想中の書体について

打って変わってコンセプチュアルに振ったライン、
「Nude」シリーズ
こちらの書体は、文字を「多種多様な媒体」と捉えて設計しています。

「Nude」とは「裸」を意味します。
第一弾のこの「Nude」にはモデル名、つまり人名が後ろに付いてきます。現在制作しているものは「Nude Audrey」という書体になります。
ファッションショーにおけるモデルさんをイメージしていただけるとわかりやすいです。「Audrey」というモデルさんに様々なメイクや服を着せていく。メイクは「コントラスト」、服は「セリフ」、といった様に「Audrey」をLiveでデザイン、編集していく、そういった書体になっています。
これらのコントラストやセリフ、そしてウェイトはスライダーでシームレスに調節出来る、いわゆるヴァリアブルフォントになります。
下記の画像は大文字の「I(アイ)」を変形させたものです。これらのバリエーションが「一つの書体データ」に内包されており、専用のスライダーでシームレスに可変できる仕様になっています。

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そして「Nude」の後ろにモデル名がついている、ということは他のモデルが追加されていくことを意味します。
「Audrey」は洗練された骨格をお持ちのモデルさんを意識いたしました。この様にモデルさんごとに異なる骨格や性格を持ち、それに伴い様々な自分だけの「オートクチュール」を作れる、ということになります。いま構想段階にあるモデルを数名挙げると、「Sullivan」「Moses」「Gaku」があります。
それぞれ「Audrey」とは全く異なるコンセプトで制作を予定しております。

「世の中が求める普通 — “Orbis” 」
「あなたが求めるあなたの特別 — “Nude”」

この2つのラインをまずは打ち出し、書体の海で溺れている方々に一隻助け舟を出せるのでは、と考えています。

備考

書体を使うにあたり、もうひとつ気になってくるのが
「文字詰め」。
こちらもどなたが使用しても問題がない様、キーボードを叩けばロゴタイプの様に整った「スペーシング」を抜かりなく設計いたしております。

いま現在「Orbis Grotesk」がウェイトは「Thin, Regular, Bold」の3種がそれぞれ50%ほど出来ております。ここに「Ultra Light, Light, Medium, Demi Bold, Black」を含めた計「8種」が揃い次第、第一弾のリターンとして先行リリースいたします。
そしてコンデンス(横幅が狭いタイプ)、イタリック(斜傾)も随時追加していきます。こちらも出来次第追ってリターンさせていただきます。

それでは、今回はこの辺で。
またアナウンスさせていただきます。

この度も長い文章をお読みいただきありがとうございました。
引き続き『NEWTYPES(ニュータイプス)をどうぞよろしくお願いいたします。

クリエイティブ組織 diotop
タイプファウンドリー NEWTYPES

代表
オオツキ チヒロ

続きは↓から


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