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灰とダイヤモンド

”" 松明のごと なれの身より火花の飛び散るとき なれ知らずや 我が身を焦がしつつ自由の身となれるを 持てるものは失われるべき定めにあるを 残るはただ灰と嵐のごと深淵に落ちゆく混迷のみなるを 永遠の勝利の暁に灰の底深く 燦然たるダイヤモンドの残らんことを ”” 「君は知らないだろうけど、まあ、あまり人に言いたくはないけど、いやー、いいんだよ」 ちょっと俯いて、「チブルスキーだよ…」 「チブルスキー? 誰、それ」 「うーん、君知らないかなー、『灰とダイヤモンド』、アンジェ

    • 戦後5

      そういう日本に対して、アメリカを中心とする連合国、まあほとんどアメリカといっていいのですが、GHQ連合国総司令部は次から次へと指令を出してきます。ポツダム宣言にある通り、占領政策を実行してきたわけで、日本はそれを守らざるを得ないのですが、ただここで注意しておけなければならないのは、ドイツと違って日本は政府が残っていたことです。どういうことかというと、天皇の官僚ーいまや公僕なんて精神は失われましたが、そういわれていた官僚がそのまま残ったということです。逆にみれば、これが残ったか

      • 戦後4

        その点について日本の指導者が知っているのは、戦争中にちょこちょこ発表されていた連合国の人たちの意見です。たとえば昭和19年10月、孫文の長男の孫科が「ミカドはその地位から去るべきである。・・・日本において、軍国主義と軍閥の力と天皇制とは、本質的に織り合わされているのだ」・・・ こういった意見が発表されていましたから、はたして連合国がどう出てくるかー天皇制をどうするのか、裕仁天皇の身柄をどうしようとしているのかーについて、日本のトップがいてもたってもいられないほど疑心暗鬼にな

        • 戦後3

          さてGHQによる占領政策が開始され日本政府がまず直面した問題は、天皇陛下がいかにしてマッカーサーに会うかということでした。…いろんな工作が試みられ、…宮内省からは藤田尚徳侍従長が面会を申し込みます。…侍従長は海軍出身で、藤田さんは海軍大将です。「天皇陛下が閣下にお会いしたいということならば承諾していただけますか」という問いに、喜んで、と返事をもらったわけです。… というわけで、天皇陛下がマッカーサーのもとに赴くかたちが決まりました。… マッカーサーと天皇の会見は、合計11回

        灰とダイヤモンド

          戦後2

          ですから「一億総懺悔」は、そう影響がなかったという人もいますが、その後の日本人の精神や日本の歩みを見ても必ずしもそうではないように思えるんです。みんなして悪かったんだからお互い責めるのはよそうじゃないかという「なあなあ主義」につながりもし、同時に、この言葉のなかに、トップ層の、結局は戦前戦中と変わらない国民指導の理念が垣間見えるからです。つまりこれが、「戦後どういう日本をつくるか」をわれわれがしっかり考えるための大きな障害になったと言いますか、むしろわれわれにそれを考えさせな

          戦後1

          半藤一利氏著「昭和史 戦後篇」からの抜粋です。 この国はすでに「新しい戦前」に至ったようです。戦後「新憲法」によって「平和国家」を目指してきたはずのこの国が、なぜいま「新しい戦前」を迎えているのか? その問いに対する答えがこの名著にあると思います。 文字数の制限もありますので、必要と考えられる箇所を数回に分けて抜粋記述していきます。 昭和20年8月15日昼の天皇放送によって、太平洋戦争という悲惨な歴史が一応、終わりました。 8月17日、天皇陛下命令として日本陸海軍に対し