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宝塚のライブ配信のありがたさを改めて考えてみる〜あらゆる状況の人へ観劇の機会を〜

舞台であれライブであれ、ステージというものは生で観るのが一番だと思う。

画面越しでは伝わらない空気感や息遣い、額に滲む汗など、その場にいないとわからない事ってたくさんある。

例えば、紅ゆずるさんのサヨナラ公演だった「エクレールブリアン」のボレロのシーン。一糸乱れぬフォーメンションとダンス。客席全体が息を呑んで観ていたあの空気感は、画面ごしで見ても味わえないもの。

そうと分かっていても、今の私にはライブ配信がとってもありがたいものなのだ。

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先日試聴した月組の大劇場公演。終演後のあいさつでたまきちが、「ライブ中継を観ている方も、ぜひ今度は劇場にいらしてください」といったニュアンスのことを語っている場面があって(言葉の細かい部分はちょっと忘れてしまった)。

そのニュアンスが、劇場こそがNo. 1で、ライブ配信は補助的なものだと私には聞こえた。

もちろん彼女たちにとっては舞台が主戦場であり、職場であり、舞台人はステージに立ってなんぼの生き方。

そう考えるのは当たり前だし、私自身も舞台をやっていたからすっごくわかるんだけど、ライブ配信に救われている人がたくさんいるんだということを知ってもらいたいなあって。

様々な事情で、これまでは観劇を諦めていた人がたくさんいる。

住んでいる場所、身体的な事情、家庭の事情。行きたくても行けない人は、この世界にたくさんいる。

スカイステージや衛星放送の放送で宝塚を楽しめても、今まさに劇場で行われている公演を観るためには、劇場に足を運ぶか、ライブ配信を観るために各地の映画館へ行く必要があった。

でも今は、ネット環境さえ整っていればどこでも観ることができる。

入院先の病室でも、家で寝込んでいても。電車に乗れない、人混みに行くのがどうしても無理という状況でも、楽しく観劇することができる。

これって、とても素晴らしいこと!!

1人でも多くの人に宝塚を観てもらいたいと願うなら、劇場に行くという選択肢以外の観劇方法があるって超重要だと私は思う。

23年も宝塚を観続けているけど、実は劇場という空間が得意じゃない。映画館も苦手。

見知らぬ人と長時間同じ空間にいるのがしんどくて、何よりも精神的に辛いのが、「当日席に着くまで自分の隣や前後の人がどんな人かわからない」というストレス。

周りの人に恵まれなかったら、観劇はとってもストレスフルになってしまう。前のめりになる人が前に来たら舞台は全く見えないし、ゴソゴソする人が隣だった時は気が散って仕方がない。

そういう「行くまでわからないという環境」が私にとってはめちゃくちゃストレスで…。

家で観ることができるライブ配信ならば、こういうことは一切考えなくていい。めちゃくちゃ気が楽。

大劇場まで片道2時間近くかかるから、その時間と体力も節約できる。昔はなんてことなかった2時間という時間も、家庭を持った今では割としんどい。

諸々のストレスで観劇の翌日は寝ていたいくらいなんだけど、子供もいるしそんなことはとても無理。

子持ちのママにとって、観劇という非日常の世界はとにかくリフレッシュになる。だからなるべく劇場に行って、家から離れることが大切なんだけど、とにかく体力気力が削られるんだよーーーー!というジレンマ。

ライブ配信は、こういった観劇へのストレスを無くしてくれた。ありがとうライブ配信、ありがとう宝塚歌劇団の偉い人たち!

そんな風にプラスに捉えているので、あまり「劇場こそが素晴らしい」をスターが言いまくるのはどうなんかなあって疑問に思ってしまったんだな…。

「ライブ配信が行われることで、これまで観ていただけなかった方にも気軽に宝塚に触れていただけるようになって嬉しいです」

「どんな形でも観劇をしていただけること。そして楽しんでいただけることが私たちにとっての喜びです」

自分がもしもトップスターで、今の公演状況の中で挨拶をしないといけなかったら、私ならこんな感じに話すかなぁ。

もう病室から出ることが叶わない方だっている。どうしても家から出られない人だっている。その人たちにとって「劇場に来てください」は、「そう言われても、どうしても無理なんだよ」と自覚させる言葉になってしまう。

そこまで想像して喋れ!!なんてことはもちろん思っていなくて。これはライブ配信がありがたいと感じている人にしか、わからない感覚だろうから。

映画館みたいに、当日空いている席から座席指定できれば、なるべく人がいない席を選べるのだけど…普通の舞台ではそんなこと不可能だしね。

舞台は好きだけど、あの空間が苦手という人間にとって、ライブ配信は生命線みたいなもの。本当にありがたい。

いつかこの情勢が落ち着いたら無くなってしまうのかもしれないけれど、できることなら続けて欲しいなあと願っているのです。人気公演のチケットの争奪戦も心理的にしんどいしね…。

なかなか劇場に行けなくたって私は宝塚が大好きだ!!いろんな事情を持っている人たちのために、これからも観劇の選択肢が多いことを望みます。

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