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私は恋しい。あの頃の、クウネルが。

「これまで読んできた本の中で、1番多いジャンルは何でしたか?」

「ええと…あ!暮らし系の本です!!」

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クウネルという雑誌が大好きだった。

「だった」と過去形なのは、今店頭で並んでいる「Kunel」は、同じ名前だけど全く別物の雑誌になってしまったから。

冒頭の会話は、5月にとある占星術のセッションを受けた時に聞かれた質問。

これまで色々な本を読んできたけれど、「どんなジャンルを1番読んだか」を聞かれるまで、自分が暮らし系の本をたくさんたくさん読んできたことに気づいていなかった。

そのきっかけになったのは、確実に「あの頃の、クウネル」。


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実家を出て恋人(今の旦那さん)と暮らすことになった時、1冊も捨てることができなくて、大きな段ボールに全部詰めて持ってきた。27歳の頃。

それから10年が経って、この質問をきっかけに引っ張り出しては読み返す日々を過ごしている。

そう、全て持ってきてはいたものの、日々の生活に必死だったから段ボールに眠ったまんまだったのだ。なんてもったいない!

初めて買ったクウネルは、2004年3月1日発行の「本はいいなぁ。」大学2回生の時だった。


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大学の帰り道。JR京都駅のエスカレーターを降りたところにお土産物屋さんと並んで三省堂書店があって(三省堂だったと思うんだけど…記憶が曖昧。なんせ18年も前…驚愕…!)、だいたいそこで買っていた。たまに烏丸の大垣書店、大阪のジュンク堂、あらゆるところで買い集めてきた。

*あの頃は本当にお金がなくて、バイト代は昼ごはん代などに消えてしまうしで、手元に置いておきたい号だけを買っていたのを今になって後悔してる。

クウネルの好きなところ。

何部も刷られて全国の書店に並んでいる本なのに、自分だけの宝物のような気持ちにさせてくれる。

しんどい時、疲れている時に、床や布団の上に過去のクウネルを積んで、上から順番にひたすら読む。それだけで、元気をもらえる。

こんな風に生きている人たちがいるんだと、会ったこともないのに、なんだか友達になれたような気持ちになる様々な特集。

そして、普通の人がいっぱい出てくる。

クウネルを開かなければ知ることのなかった、日本中、世界中のどこかの街で、ささやかな日常をコツコツと生きている人たちが。

自分の仕事や家事を楽しみ、テレビに出ることも、華々しく取り上げられることもない、普通の暮らしを営む人たち。

1番初めに買ったクウネルで印象に残っているのは、奄美大島で看護師、助産師としてお仕事をするとある女性の特集だった。

他には、「ご愛用ルームシューズここにあり!」という足元の写真しか出てこないページもあるし、英国ウェールズの「ねぎ」の特集もある。ねぎってあの、ねぎ?そうです、食べるあのネギです。

人の食べているものに異様に興味がある私は、毎号の「エブリデイ・マイ弁当」と「ただいま食事中」も大好きだった。


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そんな今でも手元に全て残してあるクウネルも、途中で少しテイストが変わったかな?と感じた時期があり、よくよく見てみると編集長の方が変わったタイミングだった(2011年頃)。岡戸絹枝さんが編集長だった時代のものが1番好きだ。

そして今では、全く別のテイストの雑誌として販売されている。今、書店に並んでいるkunelは本当に全然違う雑誌で、どうして同じ名前をつけているんだ?と見るたびになんとも言えない気持ちに。

この頃のクウネルを知っている人は、今どれだけいるんだろう…。

ああ、クウネルが恋しいな。クウネルから派生した単行本も買っていたし、常に刊行されていた時は気づいていなかったけれど、そばにいつも寄り添ってもらっていた。

もしも今、お気に入りの雑誌があればコツコツと買い続けることが1番の応援になる。そして雑誌は古本としてあまり出回らないから、多少場所を取っても、お気に入りの号は手元に残しておくのをお勧めしたい。

私も子供が生まれてから手狭になった家を片付けるため、何度か全てを売ろうかなと考えた。でもその度にどうしても手放せなかった。

改めて読み返してその素敵さ、暖かさを実感している今、本当に手放さなくて良かったと思ってる。

私がこれまでの人生で1番読んできたのは、暮らし系の本。

その土台にはクウネルがいる。きっといつまでも。

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