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たった一口

理性と本能がグラグラっと揺らぐと、親指はプルタブを開けていた。

そして、一口流し込む。

長いこと保管していた缶ビール。いつ飲むかもわからないままだった缶ビール。

一口飲んで満足してしまった。

持ち上げたアルミ缶は重たい。

私はこのプルタブを開けることを楽しんでいたのだ。

お酒を飲むという行為を楽しんでいたのだ。

だから量を飲みたいわけでもない。

たった一口、プルタブを開けるという非日常を楽しみたかったのだ。

美味しいご飯を食べます。