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短編『何も気にならなくなる薬』168

たまにグリーン車。
贅沢な話だと思う。
しかし、移動時間にカフェ代を使ったと思えばなんてことはない。
むしろ、こういう使い方があるからこそ、こういうサービスが存在するのだと思う。
誰しもがケチで、お金を払わなくなってしまえば、おそらくこうしたお金を払うことで特別な経験や空間を手に入れられるサービスはなくなってしまうだろう。
誰しもが電車を利用しなくなり、自転車に乗り、また歩くようになってしまえば、電車の必要性はなくなってしまうだろう。
ただしこれは大げさな例だ。
現に利用者はすごい人数だ。
その全員がケチになることはまずない。
しかし、母体が小さくなればその影響力は大きくなる。
例えば飲食店。
気に入ったお店がなくなる悲しさは言わずもがな、もっと通っておけばよかったと思うのも無理はない。
実際は客としての自惚れだが、たった一人でもそれが積み重なればプラスにもマイナスにもなる。
「好きな場所には、通えるうちに通っておけ」
「推しは推せるうちに推せ」とでも言ったほうがわかりやすいだろうか。
本や漫画もそうだ。読者がいるから続きが出る。
芸能もそうだ。
客がいるから続いている。
好きなものは是非他の人に薦めて欲しい。
好きな場所や物事が増えると、普段の仕事もほんの少し頑張れるのではないだろうか。

美味しいご飯を食べます。