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自分がAC6のトレイラーに感動した理由

日本時間4月27日23時00分、「アーマード・コア6」のゲームプレイトレイラーが公開された。
Twitterはお祭り騒ぎ。自分もお祭り騒ぎ。祭りだ祭りだ。
しょこたんも結婚した。祭りだ。祭りだ。おめでとう。

興奮冷めやらぬ中、今一度トレイラーを見返してみると、これが何故か感動してしまった自分がいた
9年という時間のせいか、それとも単純にトレイラーの素晴らしさにヤラれたのか。
ある程度時間を置いて(興奮を落ち着かせて)からトレイラーを見返してみると、今回の新作が従来とは少しばかり異様な雰囲気を醸し出していることに気が付いた


世界進出を視野

SF映画のような冒頭

12月10日のTGA(The Game Awards)で「AC6」が発表されたことで、従来シリーズとは違う状況が生まれつつあるということを以前の記事で書いたが、今回日本時間の深夜に発売日等の情報が発表されたことから、やはり今作は海外展開を強く意識していると言っていい
冒頭からSF映画ばりの高クオリティの映像は一見すると海外SFゲームにも見える・・・が、恐らくこれはプリレンダムービーだと思うので、実際のゲームプレイのグラフィックではない可能性がある。
しかしながら、この冒頭の部分でSF作品であることを明示していることは、より多くの人に作品の方向性を示すための意味合いが強い
これまでの作品の場合(世界観のスケールの違いはあれど)劇中世界がどういう状況でどういう技術レベルなのかというのが暗黙の了解としてそれほど描写していなかった。
例えば「AC4」の場合、トレイラーでは当然のようにACが登場し、
「ACV」では謎の施設での作業風景から始まる。ゲームをプレイした人ならばそれが発掘作業だと理解できるが、トレイラーからはそれがわからない。
(同じ宇宙の映像を使った2000年の「AC2」もまた、当時の最新ハードであるPlayStation2のロンチタイトルであった)

その世界がどれぐらいの技術レベルでどんな状況なのかというのをシリーズ未経験者でも一発で理解できるという意味では、このトレイラーの冒頭は非常にわかりやすいものだと言える



アニメーションの追加

まさかのタンク脚部にジャンプ機能が!?

トレイラーの中ではACを構成するうえでは欠かせない脚部(ようは機体の足にあたる部分)の特徴をそれぞれ描写している。
二脚、逆脚、四脚、タンクのそれぞれに違った動きを見せるのは従来通りだが、各々に固有のアニメーションが用意されているように見える
特に今作は「スタッガー状態」と呼ばれる要素が追加されているらしく、それらを表現ならびにゲームのギミックとして取り入れる関係上、視覚で判断できる形で機体のアニメーションを追加したものと考えられる。

各脚部の特徴が、操作した時の“感覚”に重きを置いていた従来作と違って、
今作は機体のシルエット以外のアニメーション部分にも違いも見せることで脚部の違いをわかりやすく表現している
例えば滞空時間に長けている四脚の場合、
既に同じ特徴を持っていた前作の「ACV(VD)」と違って、滞空する場合は足を大きく広げる変形機構が用意されている。

ただ脚を広げるのではなく、おおげさに見せている

タンク型に関しても、地上戦が主な特徴であるためか無限軌道でドリフト走行をやってのけている映像もあり、そのうえ多少なりともジャンプしている映像もあったりと、これまで以上に脚部の特徴が強調されている。

そしてなにより注目すべきは、近接武器であるブレードに多様な種類が追加されたことと、それに応じたアニメーションが多く用意されている点だ
従来通りのものから両刃、鞭を振り回す光景はこれまでのACシリーズではなかったものであるし、単調なモーションの繋ぎ合わせが多かった従来と違い、スタッガー状態からの攻撃という戦闘中の折り目折り目のアクションが入ったおかげで戦闘にメリハリとアニメーションによる魅力を両立させていると思われる



“機械”と“奇怪”の共存

従来よりもデザインの方向性が幅広い

ひとくちに「アーマード・コア」と言っても、その実、作品毎に色がまるで違う
2013年発売の「ACV」は頭身や機体の大きさの比率等がアニメらしいヒロイックなものではなく、無骨な、いわゆる兵器という意味では想像しやすいデザインだった。
2006年発売の「AC4」は「ACV」までには至らない無骨がありつつも細身なデザインが多くを占めており、デザインワークスではそれらデザインの核を「奇形」という言葉で表現している
更に遡って1997年の初代「AC」から2005年の「ACLR」までは、マクロスでおなじみの河森正治氏によるデザインを起点にして共通しており、既にアーマード・コアらしいデザインと言う定義は形骸化していると言っていい

そういったシリーズの歴史の中で今作のデザインは、どちらかというと初代からのシンプルな系譜である印象が強い。
それはこれまで増える一方だった要素の大半を削っているためとも言えるが、一方で画像のように「AC4」時代を彷彿とさせる"奇形"も登場している。
「ACV」の無骨なデザインの敵キャラクターが登場したかと思えば、明らかに機械とは名ばかりな生物的なデザインの敵も登場したりと、
これまでのシリーズの集大成にも感じる幅広い方向性が垣間見える
恐らくは物語上におけるデザインの違いということであろう。
しかしながらワームや蜘蛛のようなデザインの敵キャラクターは、もはや怪異と戦っている異質な光景にも見える・・・



過去作オマージュの数々

過去作を彷彿とさせる敵

インタビューによって、今作の主人公(プレイヤー)はなんらかの手術を受けて戦闘に特化した人物「強化人間」となっている。
この言葉は初代「AC」から「ACLR」までに用意された初心者救済システムの名称で、ミッションをこなしていく過程で失敗や多額の経費によって自らの所持金が赤字になると、強制的に強化人間になる手術を受ける。
(作品によって違ったり、そもそもなれなかったりする)
強化人間になるとレーダー機能が強化されたり、射撃精度やエネルギーの消費が小さくなったり等の恩恵を得ることが出来る。
実に18年ぶりに復活した言葉であるが、同じように今回は過去作で主人公含む傭兵達の総称「レイヴン」という名称も登場した。

現状それらの要素が物語上どういう意味を持ってるのかわからないが、
「ACV」のオーバードウェポンを彷彿とさせる敵がいたりと、そこかしこに過去作のオマージュを盛り込んでくるあたりは、単純にこの約10年を待ちわびたファンへのサービスとも言えなくはないが、
トレイラー終盤の台詞、および今作の開発環境を考えると、単なるオマージュではないようにも見えた



小倉さんに託された"継承"

アーマードコアという名前を託されたことの意味

今回の「AC6」のプロデューサであるオグこと小倉康敬氏は、
10年前「ACV」で宣伝を担当した人物。
「ACV」の発売前はフロムソフトウェアとしては珍しくネットでの生配信を行い、当時のシリーズプロデューサであった鍋島俊文氏と共にゲームの映像を交えながら解説していた。
当時は2011年に起きた東日本大震災の傷跡も深く、
それ故に暗い気持ちにならないよう、終始明るく、むしろやりすぎなぐらいの放送をしていたことを記憶している。

2013年に「ACVD」が発売され、以降約10年間シリーズは沈黙することになるが、
この時、初代から続けてきたシリーズプロデューサの鍋島俊文氏はフロムソフトウェアを離れた。
その前の2004年の「ACNX」では、同じくプロデューサを担当したことがある佃健一郎氏が既に離れており、こちらはマーベラスにて「デモンエクスマキナ」を2019年に出している。

それまでシリーズを担ってきた人物がいなくなったことに加え、2009年の「デモンズソウル」および2011年の「ダークソウル」のヒットによって、以降はフロムソフトウェアという社名より現代表取締役の宮崎英高氏の名前が取り沙汰されるようになり、自然とフロムソフトウェアは高難易度ダークファンタジー作品を量産するようになる
しかしながら宮崎英高氏はACシリーズは続けることを度々発言しており、
フロムソフトウェアという会社を代表するゲームであることは、なによりも会社自体がそう思っていたということになる。

2017年の20周年記念番組に、フロムソフトウェアのサウンドチーム「FreQuency」と共に出演。
その際に発せられた続編に対する意気込みが、5年後の年末に我々消費者に映像をもって伝わることになる。


見せてもらいましょう
借り物の翼で、どこまで飛べるか

ゲームプレイトレイラー最後の台詞

トレイラーの最後に発せられたこの台詞は、実際に小倉さんに投げかけられていると言ってもいい。
20年以上もプロデューサとしてシリーズを続けてきた鍋島氏、佃氏が抜けて出来た穴を、10年前にシリーズが沈黙するようになった最後の作品に携わった人物が、今度はプロデューサとして再始動を担う立場として今に至る
「アーマード・コア」という名前は現時点ではまだ借り物だが、これがユーザー達の反応によって、借り物ではなく、正式に名前を冠することになるかどうか

これも巡りあわせだ
共に、壁超えと行こうじゃないか

立ちはだかるは我々消費者が抱える「アーマード・コア」の理想像。
過去作品のオマージュと思われる言葉やビジュアルは、正統な「アーマード・コア」の名前を継承するに値するものになっているかどうかの試練とも言える。
すなわち、過去を打倒して初めて「アーマード・コア」は再始動を果たすのだと



聳え立つは20年の歴史を持つ巨大な"壁"。
新「アーマード・コア」に相応しいものかどうか、試される日は近い。

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