見出し画像

森ビヨ・勝手にアナザーストーリー6話

【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー6話】

この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。

※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)

【登場人物】

・ツムギ(17)

・カナエ(17)

・タマエ(17)

・山上(18)

・浜田先輩(18)

・ネネ(17)

・ヒカル(17)

・夢子(17)

・ユッコ(16)

・ショーコ(16)

※小嗣先輩(19) 演劇部OG。演技が上手い。明るく後輩をいじる

※蓮本先輩(19) 演劇部OB。眼鏡のインテリ系。透き通った歌を歌う

(※=オリジナルキャラクター)


1 崋山高校・体育館舞台上手

  ヒカル、舞台中央に残るノゾミとツムギを見ている。

  ヒカルの後ろには、待機している夢子、ネネ、ユッコ、ショーコ、浜田。

ヒカル「もう五~六分はやってるから、そろそろオチつけないとー」

夢子「そうだね。ショーコとネネは、まだ出れてないから出ちゃおうか?」

ショーコ「この流れでどうやって出れば良いですか……?」

浜田「そうだなー。ヒカルが女子全員侍らせていくとか?」

ネネ「それ良いですね」

ヒカル「じゃあ、皆、僕にメロメロになって、ついてきて!」

ショーコ「なんか、そう言うと語弊があるような……」

ヒカル「とりあえず、出るからね!」

  ヒカルと夢子、ネネ、ユッコ、ショーコ、舞台中央に出ていく。

浜田「がんばって~」


2 同・体育館舞台

  緞帳を背にエチュードを眺めている小嗣先輩と蓮本先輩。

  舞台中央にいるノゾミとツムギの元へヒカル、夢子、ユッコ、ショーコがやってくる。

ノゾミ「なんか、さっきより女子増えてね?」

ツムギ「流石は悪魔の作った鏡! 早速、人を魅了し続けているということだね!」

ノゾミ「お前、それ言えばどうにかなると思ってるだろ……」

ヒカル「僕は、どうしてもこの鏡を渡すことはできないんだ!」

ツムギ「何故……?!」

ヒカル「それは、好かれる快感を知ってしまったから! 誰にも嫌われたくないんだ、僕は!」

ノゾミ「生っちょろいこと言うな~」

ツムギ「誰にも嫌われたくないのは、皆、同じだろ! 君はどちらかと言うと周りから好感度高い方じゃん! その鏡が本当に必要なのは僕だ!」

ノゾミ「おい、本音でてるぞ!」

ツムギ「とにかく寄こせ!」

  ツムギ、ヒカルの持っている手鏡を無理やり引っ張る。

  負けじとヒカルも引っ張り、その後ろを夢子、ネネ、ユッコ、ショーコが手伝う。

  ノゾミもそれに対抗してツムギを引っ張る。

  押し問答になったのち、鏡は滑って床に落ちてしまう。

浜田N「ぱりーん!!」

一同「ああ!!」

  浜田、上手から出てくる。

浜田「お兄さん、割ってしまったね。この鏡の世界も永遠は無かったってことさ。この鏡でかけた呪文はもう解けてしまうよ」

  ヒカルについてきた女子、ここはどこと周りを見て捌けていく。

ヒカル「こ、この鏡、もう一枚売ってもらえませんか?!」

ツムギ「ぼ、僕にも売ってください!!」

浜田「フフフ。人間の強欲さが見れて、良い暇つぶしになったよ。同じ時は二度と過ごせない。君は一度のチャンスを逃したのさ」

ヒカル「そ、そんなぁ」

ツムギ「それじゃあ、僕にだけでも売ってください!」

浜田「君は、本当に強欲だね。人と同じものを簡単に手に入れようなんて、できる訳ないのさ」

ツムギ「そんなぁ……」

  ツムギ、ノゾミと一緒に捌けていく。

浜田「それじゃ、アディオス!」

  浜田、ウインクを飛ばして去っていく。

  一人、舞台に残されたヒカル、絶望した表情で手鏡を拾い集める。

  その時、蓮本先輩がパンパン!と二回手を叩き、エチュード終了の合図。

  部員、一度がわっと舞台中央に集まってくる。

蓮本「お疲れ様~! 十分くらいの大作だったけど、このまま新人デビューで流していいほどの出来だったよ」

山上「ヒカルの上手いストーリーアシストのお陰だな!」

ヒカル「えー、本当ですか?」

夢子「そうだよー、流石ヒカルくん!」

小嗣「確かに、ヒカルはストーリーアシストが凄い上手いわ。上手く広げていってテンポ間もいいし、舞台を広く使ってて面白かったよ」

蓮本「今回の新人デビューは何か元々あるお話をオマージュするのはどうだろうと思ってたんだけど、皆がやったエチュードが、いくつか参考に持ってきたお話のストーリーラインを彷彿とさせて、驚いたよ!」

ツムギ「何のお話なんですか?」

  蓮本、自分のカバンから『雪の女王』の絵本を取り出す。

一同「雪の女王?」

小嗣「そう、雪の女王! これが題材のアニメーション映画にもなったから知ってる人も多いかな?」

カナエ「でも、さっきのエチュードと全然ストーリー違いません?」

タマエ「せやせや」

蓮本「それが、原作のアンデルセン童話だとあらすじが少し違ってね……」

小嗣「ある日、悪魔の弟子が天使をからかおうと、どんな物でも歪んで見える鏡をもって空を飛んでいました。しかし鏡を滑って地上に落としてしまい、鏡は粉々に割れて、その破片は方々に散ってしまったのです。破片は屋根の上で絵本を読んでいた幼馴染のゲルタとカイの元に降り注ぎ、カイの目と心臓に刺さってしまいました。その日からカイはすっかり人が変わって、ゲルタをいじめるようになったのです。そして、ある雪の日にカイはソリに乗った目が眩むほど白く輝く美しい女性、雪の女王に城へ連れ去られてしまったのです」

浜田「本当にストーリーラインが似てますね」

ユッコ「カイは最後どうなっちゃうんですか?!」

蓮本「カイは、女王に氷の板で永遠を作れれば自由にすると言われるんだ。でも、永遠なんて作れない。そこへゲルタが助けに来るけど、カイは彼女の事を忘れてしまっている。でも、ゲルタの流す涙で悪魔の鏡の破片が流されて、彼は元の自分に戻るんだ」

小嗣「それから二人は元の町に帰る。そして、帰ったら、自分達が大人になっていることに気が付くの」

ヒカル「……大人に?」

山上「すごい面白い話ですね」

蓮本「今日のエチュードを参考に、雪の女王のオマージュにしようかなと思ったんだけど、皆どう思う?」

ノゾミ「良いと思いまーす!!」

小嗣「じゃあ、良いと思う人は挙手―!」

  皆、挙手している中、ヒカル真剣な顔で考え事をしている。

山上「おい、ヒカルは反対か?」

ヒカル「い、いや、賛成です!」

蓮本「それじゃ、決まりだな!」

  その後も盛り上がる部員達をよそにヒカルは考え事に夢中。

  その様子を隣から心配そうにのぞき込むツムギ。

【次回に続く!】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?