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今すぐ会社をやめたい人へ。27歳で仕事をやめて留学した私の”ゆる準備”のすすめ

私は27歳で会社を飛び出し、中国で2年間暮らしました。
そして31歳で会社を辞め、現在までの5年半、フリーランスとして働いています。

そんな話をすると、

「よく会社を辞める勇気があったね」とか
「あのときは猪突猛進に飛び出していったよね」とか

よく言っていただくことがあります。

たしかに、私も自分の同僚や友達がそんな選択をしていたら、そう言いたくなっちゃう(笑)

私の父は定年まで大企業勤めで、家族みんな安定志向。私自身もときどき我に返り、どうしてそんなギャンブルみたいな人生を送っているんだろうと首をかしげたくなります。

私は社内で優秀だったわけでも、秀でた能力があったわけでも、なんでもない単なる会社員でした。むしろ独立してからのほうが、自分のスキルには自信がついてきました。

ではなぜ、20代や30代前半で、そのような勇気のいる決断をすぐにできたのかと言うと。

その前から準備していたからなんです。

27歳で海外へ行ったときは、25歳くらいの頃からボンヤリと、海外で働いてみたいと思いました。なんとなく、今のまま30代まで働くイメージが湧きづらい気がしていました。

毎日遅くまで働いて、居酒屋で友達と愚痴を話して、寝るだけの部屋に戻る・・・。そのルーティンに、疑問を感じ始めたころでした。今やっている仕事は、将来もやりたいのかな。私はずっとこの会社にいるのかな。

そうして「もっとデザインのスキルが欲しい」と、NYの美術大学で学び直すことに、憧れをもちはじめました。

まずは英語の勉強からはじめた

当時ちょうど、30代後半で大学院のMBAを取得された方が身近にいました。もともとアメリカの大学院で学ぶことを希望していたけれど、仕事の事情で国内の大学院で学ぶことになったそう。

その人に聞いてみたんです。「私も海外の大学か大学院に行ってみたいと思って、迷っているんです」と。するとこう、答えてくれました。

「海外の大学なら、TOEFLの合格点数に達することが必要だよね。まずは英語の勉強からやってみたら?それなら今すぐ始められるし。勉強しながら考えたっていいんじゃない?

これは目からうろこでした。

留学するなら、一大決心をして準備を開始しなければいけないと思っていた私。合格するためには、作品数十点を掲載したポートフォリオ、推薦状、TOEFLの合格点など、あらゆる準備が必要で、途方に暮れていました。
しかし、英語の勉強からやりはじめるのであれば、比較的ゆるくはじめられそうです。

私はさっそく本屋さんで、TOEFLの問題集を買い、勉強することにしました。

いつもは友達と飲んでいるであろう時間に、ひとり家に帰って、勉強をしてみます。はじめは全然解けなくて、あまりにも難しくて、時間も全然足りなくて、呆然としました。大学受験のとき以来久しぶりに、単語帳を黙々とつくって、それを通勤時間やお昼の時間に覚えて。

でもね、それがね、楽しかったんです。

それまでの私は今いる環境に不満を持ち、ただ愚痴るだけでした。もちろん状況は何も変わらず、次の日は二日酔いのまま会社に行きます。まさに負のルーティン。

でも英語の勉強をはじめてからの私は、違います。前の私が飲んでいたような時間に、私は新しい単語を、ひとつでもふたつでも覚えられる。

放っておけば流されてしまう川の中で、一生懸命オールを漕いで、自分の目指す岸にむかって進んでいるような気がしました。

会社での生活はまったく変わらなかったけれど、私の気持ちはだいぶ変化しました。つねに未来を向いている感じがして、それだけでも英語の勉強をはじめてよかったと思ったんです。

ちょっと挫折しそうなときは、美大の情報を調べて、数年後の自分を妄想してみたりもしました。あの時間、楽しかったなあ。

TOEICは何度も受験して、勉強を開始してから1年半後くらいに、合格点をやっと取ることができました。大学受験のときより、自分の英語力がアップしている実感がありました。


26歳で通った美大受験の塾

そして、英語が軌道に乗ってきてからはじめたのが、絵の勉強です。

絵の勉強も「留学するのかしないのかわからないけど、とりあえずやってみよう」と、ゆるい気持ちではじめました。

ただ自分ひとりでは、アメリカの美大に提出するポートフォリオは到底つくれません。そこで「すいどーばた美術学院」という、美大受験生にはわりと有名な美術塾の、海外留学コースに入塾することにしたんです。

毎週土曜日、池袋まで電車に1時間乗って通って。会社を有給とって参加した夏期講習では、5日間、朝から晩までみっちり絵を描き続けて。ときにはヌードモデルさんのデッサンなんかもあり、ドキドキしながら描いたものでした(笑)

この絵の勉強も、まあ楽しかった。会社と家以外に、自分の新しい世界が見つかったような気がしました。塾で出会う高校生との会話も、おもしろかった。自分はまだ20代で若いと思ってたけど、ずいぶんギャップがあるなぁなんて思ったりもしました(笑)

半年この美術塾に通った結果、ポートフォリオに必要な作品点数はなんとかクリア。そしてTOEFLの合格点と合わせて、NYの美大3校に提出をしたところ、そのすべての学校から合格通知をいただくことができました。


「500万円貯める」がミッションだった

あとは忘れちゃいけないのが、貯金です。

アメリカの美大の学費は、年間150万円〜200万円必要です。それにプラス、家賃も高い。教育ローンを使うにしても、せめて2年間は自腹で生活できるだけの額、具体的には500万円を貯金しようと思いました。

そこで私が実践したのが、毎日1000円以内で生活すること!

会社にお弁当をつくって持っていき、朝や晩はもちろん家で食べます。余った分は積み立てて、洋服代などにまわしました。

また家賃を節約するために、会社近くでの一人暮らしから、実家通いにしたことも大きかったです。
実家から赤坂にあったオフィスまで、1時間半かけて通っていました。終電に乗り遅れたときは、会社のソファで寝て夜を明かしました(笑)妹の家にもずいぶんとお世話になったなぁ。

でもね、そんな節約生活だって、案外楽しめちゃうものでした。友達があれ買ったこれ買ったと言っていても、そんなの全然気になりませんでした。私にはもっと大きな叶えたい夢があったから。


仕事もラストチャンスだと思うと頑張れた

英語、絵、貯金。それらの準備をゆるく続ける過程で、不思議だったこと。それは「仕事をますます頑張れた」ということなんです。

準備をすすめる中で「もうこの会社で働くのは最後かもしれない」という実感が、自分の中でどんどん芽生えていきました。それなら、ここで全力投球をできるのはラストチャンス。大変そうだけど自分の糧にはなりそうな仕事にみずから手を挙げ、やらせてもらいました。

結果その仕事が、今フリーランスになってからも、欠かせない経験となりました。その時に出会った先輩方に仕事をいただく機会は今でもとても多くて、やらせてもらってよかったなと思っています。


こんな感じで、まずはできることから「ゆる準備」してみると、ものごとを進めながら自分の気持ちに整理がついたりするので、おすすめです。もんもんと悩むより、少しずつでも自分の足で進んでいくと、必ず発見があります。それに、楽しいです。

転職だったら、履歴書をまずは書くとか。今までの経歴やポートフォリオをまとめるとか。

起業だったら、できそうな副業をやってみるとか。誰かの手伝いをしながら、営業してみたりだとか。

きっと何かしら、今の自分で無理なくはじめられる「ゆる準備」があるはず。結果的に、今のところに留まるというのも、それはそれでひとつの決断です。きっと、ゆる準備したからわかることもあるはず。

そんな私も、いつか海外に住みたいなという夢は今でも捨てられなくて、英語や中国語を勉強中です。海外にいながらnoteを書けたら理想的です。

いっしょに楽しんでいけたらいいですね。
すてきな週末をお過ごしください。ではまた火曜日!

小森谷 友美
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